2018年現在、完全に社会の流れはキャッシュレス化に向かっています。
下記は経済産業省が発表している『クレジットカード決済の健全な発展に向けた研究会』という報告書の前文です。
このようにハッキリと「カード社会にします。」と名言しています。
ここではその理由について分かりやすく説明します。
クレジットカード払いが得して現金払いが損するキャッシュレス化が進む理由
理由①:【店舗側のメリット】人件費が大幅に削減できる!
カード利用者からすると、クレジットカードでの決済は現金よりもスムーズにできるので一言でいうとラクですよね。
ラクなのはカード利用者だけでなく、店舗側もラクなのです。
レジに多額の現金を用意する必要もなければ、会計時に小銭をわちゃわちゃする必要もありません。
何より、店舗側の一番のメリットは人経費を削減できる点にあります。
例えば、レジに人がいるのは、現金のやり取りが必要だからですよね。
駅の自動改札のように、切符や電子マネー、定期を通すだけでよかったら人は必要ありません。
それは街にある店舗でも同じことで、お会計に人が必要なくなればスムーズにお会計が出来るうえに人経費が削減できます。
昔は駅の改札では駅員さんが1人ひとりの切符を見てスタンプを押してからしか改札を通ることができませんでしたが、今では機械が読み取ってくれるので人を配置する必要がありません。
例えばレジに人がいることで月に25万円のお給料を支払う必要があるとしましょう。一年間で300万円のコストが必要です。
それをただクレジットカード決済に対応させるだけで300万円が不要になります。
クレジットカード決済であれば
- 釣り銭を用意する必要がない
- 業務終了時に売上げを賃金庫に納金する手間がない
- 莫大な人経費を削減できる
- お客さんもスムーズにお買い物ができる
というあからさまなメリットがあります。
もし経営者であれば、確実に「クレジットカード決済に対応した方がいい!」と思いますよね。
実際に「クレジットカード決済のみにしか対応していません」というファミレスが登場しています。
下記は2017年11月1日に日本経済新聞に掲載された完全キャッシュレス化に対応したファミレスの記事です。
現実レベルで店舗はキャッシュレス決済に注力していて、例えクレジットカード会社に数%の手数料を支払ったとしても、手数料分のメリットは十分あるというわけです。
理由②:【店舗、利用者側のメリット】様々なシーンで支払いが楽になる!
キャッシュレスになることで効率化されるのはレジ作業があるサービスだけに限らず、日常の様々シーンまでにおよび、カード利用者にとってもかなりのメリットとなります。
例えばAmazonなどのネットショッピングの配達をする配送業でも、商品受け渡し時に現金を貰う必要がなく、配送にかかる時間を大幅に短縮することができます。
代金引き換えで注文すると、配達員が来た時に現金を渡す必要があります。
しかし、クレジットカードを持っていれば注文すると同時に支払いを行なうことができるので配達員に現金を支払う必要はありません。
これはカード利用者、配達会社の両方にとってもメリットなのです!
配達会社は現金を受けとってもそれは商品の代金であり、配達会社の利益ではありません。
なので配達会社からすると、現金で支払われるのはただの時間がかかるメンドクサイ手間なんです。
一方、商品を購入した人も代金引き換えで商品を頼むと代引き手数料を取られるので金銭的に損をします。
つまり、図でまとめると下記のようになります。
消費者 | 配達会社 | |
メリット | ・代金を用意する必要がない ・商品を受けとるだけで良い ・代金引き換え手数料を支払う必要がない |
・代金のお釣りを用意する必要がない ・代金を受けとる手間が省ける ・会計ミスや代金を管理する必要がない ・時間を削減できた分他の配達や仕事ができる |
上記のように、現金を使うことはもはや何の得もなくなってきています。
これから大手の会社をはじめとして、クレジットカード決済や電子マネー決済のみの対応の店舗、サービスは確実に増えてくるでしょう。
理由③:【国側のメリット】国が脱税を見抜きやすい!
実は、国全体をキャッシュレス化することは、カード利用者、店舗、クレジットカード会社の他に国に対してもメリットがあるという強烈な事実があります。
これは経営者でもなければ気付かないことですが、事業主は毎年の売上げに対して国に税金を収める必要があります。
簡単にいうと、売上げが上がれば上がるほど、税金を多く収めなければいけないので、経営者は出来るだけ実際の売上げより低く見せたいのが本音なんですね。
よく「経費で落としてくれ!」というのは、経費にすると税金がかかる範囲から外れるので、経費で落とすことは税金対策になります。
もちろん税金対策諸々はあり違法ではありませんが、税金対策のつもりで堂々と違法なことを行なっている人もいます。
脱税が横行する一番の原因は何か?と言ったら現金の手渡しなのです!
例えば、2017年6月には国税庁が、2016年の脱税総額は161億円相当にのぼったことを発表して話題になりました。
データ上でのお金のやり取りがあれば監視がしやすいので税金の申告漏れも減り、もしキャッシュレス社会になれば明らかに国の税金が増収されるのです。
中学や高校の教科書でも習ったことがあるかもしれませんが『トーゴーサンピン』という言葉があるとおり、国が把握している税金の割合は下記のようになっています。
- サラリーマンなどの給与所得は10割
- 自営業者などの事業所得は5割
- 農業や水産業、林業を営む事業者の所得は3割
- 政治家の所得は1割
つまり、「サラリーマンの税金は把握できるけど、自営業や政治家の税金は把握し辛い!」というのが国の本音なのです。
これらの事実を見ても分かる通り、国にとって現金でのやり取りを増やすより、クレジットカード決済などの誤摩化せないデータ上の記録が残るお金のやり取りに変える方がメリットが大きいのです。
理由④:【店舗側のメリット】支払いをデータ化できてラクになる

クレジットカード決済に対応すると、全てがデータ化されるので、店舗側としては絶大なメリットがあります。
会社の経費やその他諸々のお金が発生した時には記帳する必要があります。
例えば個人経営の飲食店の店長はお店が閉まった後に一日の売上げを記録として手で記帳していきます。
これってスゴい手間ですよね。いうなれば2度手間です。
起こった出来事を再度日記に書いているようなものです。
もしクレジットカードや電子マネーで決済した場合は、それ自体がデータとして残るのでわざわざ自分の手で入力したり記帳したりする必要がありません。
今でこそ事務作業としてデータを記入する仕事などがありますが、店舗や会社からすると1円の特にもならない作業にお金と時間を掛けているようなものです。
それがキャッシュレス化されればお金と時間が削減できるので、店舗側にとってもキャッシュレス化することはメリットが大きいのです。
理由⑤:【店舗、国側のメリット】外国人観光客の観光業を活性化できる
海外旅行に行ったことがある方なら体感レベルで分かると思いますが、海外に行けば必ず外貨への両替が必要になってきます。
まず両替を行なう場所で一番に思い浮かぶのは空港だと思いますが、空港の両替手数料は法外レベルに高くなっています。
例えば1万円を両替すると、外貨の価値で1,000円程度の手数料を取られることも珍しくありません。
ただ両替するだけで10%もの手数料を取られていたら貯まりませんよね。
しかし、クレジットカードであれば、ATMなどを利用することで手数料を抑えて、さらにレート通りに現金が確実に引出すことができます。
例えば下記は私自身が海外に渡航した際にクレジットカードでキャッシングをした際の明細です。
この安さと便利さに加えて、海外ではクレジットカードが利用できないお店はほとんどありません。
小さな個人経営のお店でもほとんどのお店がクレジットカード決済に対応しています。
このようなキャッシュレス化が進んでいる海外に行くと「便利だな〜」と痛感するのですが、問題は日本です。
海外の人が日本に来た場合、同じように「手数料が高いから現金に両替をしたくない!」や「カードで決済したい!」と思っているのです。
特に日本は世界の中でも物価が高い方なので、クレジットカードを利用して手数料を安く済ませたいと思っている人は多いのです。
海外の観光地では入場料をクレジットカードで支払えるのがスタンダードですが、日本の神社やお土産屋でクレジットカードに対応していない店舗は、海外の人からすると信じられないくらい多くなっています。
例えばイタリア、ローマの観光名所であるコロッセオでは入場料はクレジットカードで支払うことが出来ます。
もちろん日本でもスカイツリーのような近代的な観光地ではキャッシュレス化が進んでますが、日本のキャッスレス文化が圧倒的に成長していないことを示す数値は下記のようになっています。
国 | 決済比率(%) | |||
クレジットカード | デビットカード | 電子マネー (プリペイドカード) |
合計 | |
インド |
2.6 |
31.6 |
0.3 |
34.5 |
シンガポール |
31.6 |
22.3 |
1.8 |
55.7 |
日本 |
15.7 |
0.2 |
1.4 |
17.2 |
ロシア |
2.7 |
28.6 |
2.2 |
33.5 |
ブラジル |
18.1 |
10.2 |
0.1 |
28.3 |
ベルギー |
0.2 | 34.5 |
0.1 |
34.9 |
フランス |
0.4 |
24.9 |
0.0 |
25.3 |
アメリカ合衆国 |
22.3 |
18.1 | – | 40.4 |
カナダ |
36.4 |
19.1 |
– | 45.5 |
インドのような発展途上国でもキャッシュレス決済の比率は日本の2倍です。
他の国と比べても圧倒的に日本はキャッシュレス後進国なのです。
つまり、海外の人が日本に訪れると「え!カード使えないの!?日本は不便だな〜…」という感想を持ってしまいます。
クレジットカードが使えると思ってたのに使えなかったら、その分観光地での売上げは減りますよね。
これから2020年の東京オリンピックに向けてキャッシュレス決済に対応する店舗は確実に増えてくるでしょう。
実際に経済産業省では下記のような報告書が上げられています。
※26年7月 経済産業省『クレジットカード決済の健全な発展に向けた研究会』2ページ参照
要約すると「観光客のためにもキャッシュレス化の環境を整えるべきだよね」という内容です。
まとめ
キャッシュレス化が今後確実に促進される理由は単純にカード利用者側だけのメリットではなく
- 店舗にもメリットがある
- カード利用者にもメリットがある
- 国にもメリットがある
- 海外観光客にもメリットがある
という3重、4重の理由が重なっていることが理由です。
逆にいうと、この流れに逆らって「クレジットカードは絶対に発行しない!現金払いにこだわる!」という人は時間も手間もクレジットカードで得られるメリットも受けることができず、損していく一方のなです。