クレジットカードの基礎知識コラム
積立NISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)の違いについて徹底比較!!
投稿日:18.12.03
更新日:21.04.25
2018年から新しく導入された「つみたてNISA」は、2017年から始まった「iDeCo」とよく比較されています。
どちらも「将来のためにお金を積み立てる」という目的は同じです。さらに運用益が非課税になる点もまったく同じです。
そのため、どちらを選んだらよいかわからない、と悩む人が多いようです。
つみたてNISAとiDeCoはいわゆる「イコールの関係」ではありません。人によってはiDeCoが向かない場合もありますし、つみたてNISAでは間に合わない人も存在します。
とくに一度掛けたら解約できないiDeCoは特徴を把握してから加入するほうが安心です。
今回は、つみたてNISAとiDeCoの特徴をまとめ、個人ごとに異なるライフプランに「どちらが合うのか」を考えながら解説いたします。
積立NISAの特徴について
つみたてNISAは途中で引き出し可能
つみたてNISAの運用期間は20年です。
正式には「非課税となる期間が20年」で、20年を満たすまで解約できない、いうことではありません。
つまりつみたてNISAは途中で投信を売却することで
現金化でき、急な出費にも対応できます。
また全額現金化することもできますが、一部だけ解約することもできます。
この点からは、つみたてNISAがいかに柔軟性に富んだ投資であるかがわかりますね。
つみたてNISAは1年40万円×20年間、非課税で積み立てできる
つみたてNISAは
このように投資金額と投資期間に上限が設けられています(ちなみに一般NISAは年間投資額120万円・非課税期間は5年です)。
この数字からもわかるように、
つみたてNISAで積み立てできる金額は最大800万円です。
通常は値上がり幅(銀行貯金でいう利息)に対し20.315%が課せられることになります。つみたてNISAの場合、これがまったくの0%になりますから、
資信託の分配金や値上がり益が課税によって目減りすることがありません。
つみたてNISAの投資のタイミングは1年に2回以上
つみたてNISAは、1年間で2回以上に分けて投資するルールがあります。
そのためiDeCoのように「ボーナス時に一括払い」はできません。
積立のタイミングは運用する証券会社によって異なり、毎営業日・毎週・毎月などさまざまな種類があります。
つみたてNISAの最低積立金額は証券会社ごとに違う
確定拠出年金のiDeCoは最低拠出金額は一律5,000円ですが、
つみたてNISAは投資する証券会社の規定に従います。
証券会社の中に最低積立金額が100円に設定されているところもあり、
自分に合った証券会社を選ぶことで無理のない投資ができます。
20歳以上なら誰でも加入できる
iDeCoには「60歳未満の・厚生年金または国民年金を支払っている人(免除は除く)」という加入条件がありますが、
つみたてNISAは20歳以上の人ならだれでも加入できます。もちろん年齢の上限もありません。
積立スタイルの利用しかできない
一般のNISAは通常買付と積立方式で運用できますが、つみたてNISAはその名のとおり「積立方式」しか利用できません。
わかりやすく言えば、投資信託しかできず株式の個別銘柄の購入ができないということになります。
つまりつみたてNISAを始めても株に手を伸ばすことはできません。
株式まで視野に入れる場合は、つみたてNISAではなく一般NISAを選択しましょう。
元本保証型商品がない
確定拠出年金iDeCoには、元本保証型の金融商品(定期預金)がありますが、
NISAのラインナップには元本保証型がありません。「絶対に元本を減らしたくない」という人には残念な結果かもしれませんね。
そのため、解約するタイミングによっては相場の変動で元本割れすることがあります。そのような場合は「いつでも解約できるつみたてNISA」のメリットが裏目にでてしまうのです。
スイッチングができない
スイッチングとは投資対象を途中で変更することをいいます。たとえば今投資している銘柄よりも優れた商品が登場したとき、「乗り換え」したくなりますよね。ところが
つみたてNISAはスイッチングができません。
つみたてNISAは、一度利用した非課税枠は再利用できません。スイッチングをすることは、この貴重な非課税枠をムダにしかねません。そもそもつみたてNISAは長期投資に向いている銘柄が選りすぐられています。そのため
つみたてNISAは短期的売買を行うスイッチングには根本的に向いていないのです。
つみたてNISAは「近い将来」に向けて行う投資
iDeCoとNISAを比べるうえで、かならず頭に入れておいていただきたいのが「投資の目的」です。
確定拠出年金iDeCoは「老後の資産形成のための投資」といわれていますが、それに対しつみたてNISAは住宅ローンの頭金やマイカー購入、海外旅行など「比較的近い将来」のために行う投資です。
マイホームの頭金を貯めたい、結婚資金を蓄えておきたいなど
「10年先の未来」を見据えた運用に適しているのがつみたてNISAなのです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の特徴について
iDeCoは60歳になるまで引き出せない
iDeCoの名前は「個人型確定拠出年金」です。この名前からもわかるように「老後資金を作ることが目的の投資」です。
そのためiDeCoはNISAとは違って、原則60歳まで引き出すことができません。
もちろん一部だけ現金化することもできません。つまりiDeCoに拠出しているお金は「マイホームの頭金」とか「マイカー購入費用」「教育費」など近い未来に対して行う貯蓄ではないのです。
現役世代に、いかに老後資産を作っておくかが問われる時代です。
iDeCoは現役世代に稼ぐお金を60歳になるまで「ないもの」として考える必要があるのです。
iDeCoには3つの税制メリットがある
iDeCoは60歳になるまで拠出を続ける制度です。長きにわたって拠出し続けることはけっしてラクではありませんが、iDeCoには苦労に値するだけの大きなメリットがあります。
- 掛け金は全額所得控除
- 運用益は全額非課税
- 受け取る時も控除
一番大きなメリットは1の「
掛け金は全額所得控除」です。
給与は一定額を超えると税金が掛けられます。その税金の対象から外してもらえるのが「控除」です。配偶者特別控除や扶養控除、社会保険料控除・基礎控除など、さまざまなものがありますよね。控除額は多ければ多いほど、所得(稼いだお金)が少なくなって、結果掛けられる税金が安くなります。
iDeCoに拠出したお金は全額「控除」に加えられます。つまりiDeCoに拠出するお金が多いほど(上限がありますが)所得額が減り、結果所得税と住民税を安く抑えることができます。
つまり、いつもどおり働きながら節税と資産形成を同時に進めることができるのです。
また、運用益も非課税ですので値上がりによって得た利益は税金によって目減りしません。さらに60歳になりお金を受け取る時は「公的年金等控除」または「退職所得控除」の対象となります。
iDeCo加入は年齢制限がある
60歳以上の人はiDeCoの加入できません。どのような場合でも掛け金の積立期間が60歳までであり、加入期間が最低10年必要と決められているためです。
とはいえ、50代での加入が無謀なものかといえばそうではありません。
受給開始年齢が遅れますが、節税しながら運用というメリットは他の年代と同じだけ享受できます。
受給開始年齢は、55歳の人が加入した場合、60歳までの期間は「4年以上6年未満」に該当します。加入期間が「4年以上6年未満」は「63歳」と規定されていますので63歳から受け取りが可能になります。さらに加入年齢が58歳であれば「2年未満」なのでスライドして規定の65歳からの受け取り開始、となります。
iDeCoの目的は老後の資産形成である
個人型確定拠出年金iDeCoは「老後資産形成」のための非課税投資制度です。
どうして「老後」と言われるのか、それは日本国民が加入している厚生年金や国民年金と大きく関係しています。
iDeCoに拠出したお金は、
のいずれの方法で年金と合わせて支払われます。
どう間違っても、50代の時点で受け取れるものではありません。
そのためiDeCoは、「家を新しく購入したい」とか「海外旅行に行きたい」などといった「目先の目的」を果たすためのお金ではないのです。
積立NISAとiDeCoの大きな違いとは?
引き出しのタイミングが違う
つみたてNISA |
iDeCo |
いつでも可能 |
60歳~ |
つみたてNISAは、20年の運用期間の上限がありますが20年を満たさなくても途中で解約できます。
iDeCoはよほどの理由(本人死亡・障害を負うなど)がない限りは途中脱退できません。
所得控除がある・ない
DeCoは積み立てた掛け金の全額が所得控除され、住民税で10%、所得税で15%から税金が安くなります。
一方、つみたてNISAは所得控除の適用はありません。掛け金がないため拠出したお金はすべて運用に利用されます。
節税面ではiDeCoのメリットが大きいと言えます。
運用商品の種類が違う
つみたてNISA |
iDeCo |
投資信託
ETF(上場投資信託) |
定期預金
投資信託
保険 |
NISAとiDeCo、どちらも初心者でも選びやすい運用商品が厳選されていますが、商品の種類が異なります。
つみたてNISAの運用商品は、運用期間が短めのものや値動きが激しいもの、信託報酬が高いものが除外されています。
しかし元本保証型はありません。
iDeCOには投資信託以外に定期預金や保険といった商品がラインナップされています。
積み立てる金額の上限が違う
つみたてNISA |
iDeCo |
40万円/年 |
自営業: 816,000円/年
公務員: 144,000円/年
会社員: 144,000円〜276,000円/年
専業主婦(夫): 276,000円/年 |
iDeCoは、個人事業主(第1号被保険者)・会社員・公務員(第2号被保険者)・専業主婦・主夫(第3号被保険者)によって投資上限額が異なります。会社員から個人事業主へ、会社員から専業主婦(夫)への切り替えも可能、60歳まで継続して拠出できます。
その点つみたてNISAは職業や雇用状態にかかわらず一律40万円まで積立可能です。
手数料がかかる・かからない
つみたてNISA |
iDeCo |
無料 |
口座開設手数料:2,777円(税込)
口座管理手数料合計:年間2,004円〜7,000円程度 |
つみたてNISAとiDeCoは、開設当初から加入期間にかかる手数料も違います。
つみたてNISAは口座開設も運営費用もかからず、ランニングコストは無料です。
一方iDeCoは、口座開設時にどこの運用管理機関でも2,829円(税込)の手数料が必要です。さらに、運営管理機関ごとに異なる口座開設費用や運営管理費が毎月かかります。
iDeCoに加入するときはこのような「運営コスト」もしっかりと比較することが大切です。
積立NISAはどういう目的で利用すべき?
つみたてNISAのメリットは、いつでもお金を引き出せるところでしたね。
そのためつみたてNISAは、
住宅ローンの頭金やマイカー・子どもの進学費用・結婚資金など「近い未来」に対して行う投資と考えることができます。(もちろんつみたてNISAで作ったお金を貯めておいて、老後の楽しみとして使うのもOKです。)
まとめると
- 60歳より前に使う予定の資金が欲しい
- 10年程度先の未来にまとまったお金が必要になる
このような人はつみたてNISAを選ぶとよいでしょう。
お子様が生まれてからつみたてNISAを始めるのもいいと思います。大学進学までに18年ありますので、十分つみたてNISAの恩恵を受けることができます。
また、今20歳の人がつみたてNISAを始めると、結婚やマイホームを購入する「30代」に10年ちかく余裕があります。
若い人だけに限らず現在40~50代の人が始めれば、住宅リフォーム代・夫婦水入らずの海外旅行など「第2の人生」にまつわる資金が用意できます。
このように、「遠からず・近からずの未来」に向けて利用するのに適しているのがつみたてNISAです。
iDeCoはどういう目的で利用すべき?
60歳になるまで引き出せないiDeCoは、必然的に「老後資金」となります。
60歳になっても働く人は珍しくない時代ですが、働き盛りの現役世代ほどの収入がキープできるとは限りません。
また60歳時点の健康状態は人それぞれで、すべての人がバリバリ働けるという確証もありません。
一部の人を除き、60歳を過ぎると入ってくるお金は現役世代より確実に「減る」ばかり。
夫婦ともども働けない状態なら、現在の年金制度だと最悪な場合「貧困」に陥る可能性もなくはないでしょう。
銀行に貯蓄することも大切ですが、いつでも引き出せることで60歳になるまでに貯金を切り崩すことになりかねません。
「60歳まで強制的に徴収され・引き出せない」そんなしくみのiDeCoは、老後の資産形成の強い味方です。
まとめると
- 定年後お金に苦労したくない
- もらえる年金が少ないと分かっている
- 節税したい
このような人は、無理のない程度にiDeCoに加入するとよいでしょう。
iDeCoで浮いた税金をつみたてNISAで投資運用するのも上手な資産形成の方法だと言えます。
最後に
つみたてNISAとiDeCoは、「お金を使いたいタイミング」を明確にすると選びやすいです。
そしてこれから訪れるライフイベントを書き出してみると、自分にどんなお金が必要か再確認できます。
たとえば現在筆者は40歳、60歳までに20年あります。
残された20年はiDeCo的にはギリギリセーフ。つみたてNISAは10年の加入期間を考えれば、若干の時間の余裕があります。
しかし一家の大黒柱である夫は定年60歳まであと15年、これを加えると筆者の世帯には時間的余裕がありません。
こんなときは
「iDeCoで節税+つみたてNISAでお金を増やす+銀行貯金をさらに増やす」の3本柱で進めていくのが実は一番効率的です。
iDeCoとつみたてNISAの良い所を上手に活用して、安定した未来を今から作っていきたいですね。