副業はふるさと納税の限度額に影響あり?計算や申請方法を解説

副業

2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を出したことで、会社員として働きながら空き時間には副業をするという方が多くなっています。

しかしいまだに会社が副業禁止のため、会社にバレないように副業をしてる方もいるでしょう。

副業収入もある方がふるさと納税をする場合に「副業分の限度額をどう計算したらいいかわからない」という方や「ふるさと納税をすることで本業にバレないかな?」と心配になっている方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、副業収入を含めたふるさと納税限度額の計算方法についてや、副業をしている方がふるさと納税をする際に注意すべきポイントについて解説します。

副業が会社にバレてしまう原因や対処法についても解説しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

副業ありのふるさと納税限度額の計算方法

副業でも収入を得ている場合のふるさと納税の限度額の計算方法を、以下の内容で解説していきます。

  • 所得 = 本業給与 + 副業収入
  • 副業収入の計算方法
  • 副業の経費は控除される
  • ふるさと納税限度額の計算方法
  • 副業収入に含まれない項目

ふるさと納税の限度額は「収入」や「家族構成」によって変わるため、副業の収入もあるという方はすべての収入を合算した「総所得」で計算しましょう。

それでは、以下で詳しく解説していきます。

所得 = 本業給与 + 副業収入

ふるさと納税の計算に必要な所得は、本業と副業を足した「総所得」で計算します。

たとえば、会社員として年収が「400万円」と副業で年間「50万円」の収入があった場合の所得は、以下のとおりです。

400万円(本業)+50万円(副業)=450万円(所得)

ふるさと納税の納税限度額を調べるためには、本業と副業の収入を足した総所得で計算しましょう。

副業収入の計算方法

副業収入には、主に以下の4パターンがあります。

  1. 給与所得
  2. 事業所得
  3. 不動産所得
  4. 雑所得

※参考:国税庁「課税される所得と非課税所得」

所得税法では所得の種類が10種類に分類されており、そのうち副業として収入が得られやすい4種類の所得について、具体例をあげながら以下で詳しく解説していきます。

1.給与所得

給与所得とは、会社員やアルバイトとして雇われて働くことでもらえる給料やボーナスなどのことです。

たとえば本業をしている人が、夜間や休日を利用して以下のようなアルバイトをしている場合にもらえます。

給与所得の例
  • コンビニのアルバイト
  • 登録制の派遣バイト
  • イベントスタッフ
  • ビルの清掃員
  • 交通整備

給与所得は会社に派遣スタッフやアルバイトとして雇われているので、働いた時給分しっかりと給料がもらえることが特徴です。

アルバイトで得た収入の「所得税」は本業の会社で合わせて徴収されるので、副業をしていることがバレやすいというデメリットがあります。

2.事業所得

事業所得とは、農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業などの事業により得られる所得のことです。

事業所得の例
  • 経営者
  • 個人事業主
  • タレント
  • You Tuber
  • 開業医

事業所得では、事業のために使用した費用は経費にできる特徴があります。

3.不動産所得

不動産所得とは、所有している不動産を他者に貸し付けることで得られる所得のことです。

不動産所得の例
  • 所有している一軒家やマンションを貸して家賃収入を得る
  • 所有している土地を駐車場にして利用料を得る
  • 船舶や航空機を貸して得た収益

不動産所得でも、マンションの修繕費などにかかった費用は経費にできます。

4.雑所得

雑所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得のどの所得にも当てはまらない所得のことです。

雑所得の例
  • 公的年金等(年金、恩給など)
  • 個人でお金を貸した場合に受け取った利子
  • FX取引で得たお金
  • 原稿料・印税
  • 講演料

事業所得として認められない副業は「雑所得」になることが特徴です。

副業の経費は控除される

副業で収益を上げるためにかかった費用は、確定申告の際に経費として控除できます。

経費にできるものは「副業をするうえで発生した支出」であり、プライベートな支出は経費として計上できないので、混同しないように注意が必要です。

副業の種類別に経費となる支出の例を、以下に紹介します。

せどり(転売)
  • 商品の仕入れ代
  • 仕入れ時にかかったガソリン代や移動費
  • 販売手数料や振込手数料
  • 売れた商品の梱包費や送料
  • せどりに関する勉強代(書籍・セミナー)
Webライター
  • パソコン代
  • Wi-Fi代
  • 飲食代
  • 家賃・光熱費の一部
  • 電気代の一部
不動産の貸し付け
  • 固定資産税
  • 損害保険料
  • 広告宣伝費
  • 修繕費
  • 支払利息

副業でかかった支出の「レシート」「領収書」「請求書」は、決められた期間までしっかりと保管しておきましょう。

経費計上した支出の証明書類は白色申告で5年間、青色申告で7年間保管しておく必要があります。

ふるさと納税限度額の計算方法

副業分の収入もある方のふるさと納税限度額の計算方法を、以下に紹介します。

まずはじめに、本業と副業の所得を足して「所得の総額」を把握したうえで、限度額のシミュレーションをおこないましょう。

限度額シミュレーション①所得の総額を赤枠内の「あなた(寄附者様)の給与収入」に入力して、配偶者の有無を選択する
控除上限シミュレーション

上記の操作をおこなうだけで、簡単にふるさと納税限度額がわかります。

たとえば、本業の年収が400万円と副業で50万円の所得がある場合のシミュレーション結果は以下のとおりです。

400万円(本業)+50万円(副業)=450万円(総所得)

限度額シミュレーション2
シミュレーション結果

ふるさと納税の限度額を計算する場合は、本業と副業の所得を足した「総所得」シミュレーションをおこないましょう。

副業収入に含まれない項目

フリマアプリなどで生活に使用していた「30万円以下の生活用動産」を売った場合は、副業収入に含まれずに税金がかかりません。

生活用動産とは生活に必要とされる不動産以外の財産のことで、生活用動産には下記のようなものが該当します。

  • 衣服
  • 家具
  • 書籍
  • 自動車
  • 安価な貴金属

たとえば、生活で使用していた「家具」や「衣服」をメルカリなどのフリマアプリで売っても、収益に対して税金はかからないということです。

生活で使用していた不用品であれば、フリマアプリなどで売って収入を得ても副業収入には含ません。

ただし売ることを目的に商品を仕入れた場合は、生活用動産に該当しないため副業とみなされて税金がかかります。

副業している人がふるさと納税で気をつける点

副業で収入を得ている人がふるさと納税で気をつけるポイントは、以下のとおりです。

  • 副業収入が20万以下でも申告が必要
  • 副業が会社にバレる可能性がある
  • 副業が赤字の場合給与所得から控除できる
  • 副業の所得が20万円以上だと確定申告が必要
  • 確定申告を忘れた場合の対処法

副業収入が20万円以下なら「確定申告をしなくても良い」ということは知っていても、住んでいる自治体へ住民税の申告はしなければいけないと把握している方は意外と少ないのではないでしょうか。

副業収入と税金の関係や、副業が会社にバレてしまう原因について以下で詳しく解説していきます。

副業収入が20万以下でも申告が必要

副業の収入が20万円以下の場合でも、住んでいる自治体に住民税の申告をする必要があります。

なぜなら、住民税は所得の総額の約10%と一律で決まっているからです。

副業収入が20万円以下の場合
  • 所得税:申告不要
  • 住民税:自治体へ申告が必要

住民税の申告方法は確定申告と同じく「2月16日〜3月15日」の期間内に、地方自治体の役所で住民税の申告書を提出することで完了します。

副業の所得が経費を引いて1円以上あるという場合は、必ず自治体へ申告しましょう。

副業が会社にバレる可能性がある

副業により総所得が増えた方は、副業が会社にバレてしまう可能性があります。

なぜなら総所得が増えることで、会社から天引きされる住民税が上がるからです。

ふるさと納税をすることで翌年の住民税が控除されて下がるため、会社の経理に住民税の総額が増えたとは気付かれづらいでしょう。

しかし、年末調整で会社にふるさと納税の寄付証明書を提出するので、経理が細かく照会すると副業がバレてしまう可能性があります。

たとえば本業収入が300万円と副業収入が100万円ある場合、本業の300万円だけだと寄附上限額は5万円ですが、副業を足した400万円だと7万円まで寄付できます。
年末調整で経理に7万円分の寄附証明書を提出すると、寄附額が多いと怪しまれる可能性があるでしょう。

副業が給与所得ならもっとバレやすい

副業がパートやアルバイトなどの給与所得の場合は、会社に副業がバレる可能性がもっと高まります。

なぜなら給与所得の場合、住民税の納付方法が自動的に特別徴収になるからです。

住民税の納税方法は、以下の2通りの方法があります。

  • 特別徴収:給料から自動的に天引きされる
  • 普通徴収:納付書が送られてきて、自分で納付しにいく

パートやアルバイトなどの給与所得では「特別徴収」で納税することになるため、会社から天引きされる住民税が高いと会社にバレてしまう可能性があるので注意が必要です。

2つの会社に雇われて給与所得をもらっている場合は、給与の高い本業の会社から副業分の住民税も徴収されます。

副業の収入が給与所得以外の場合は住民税の支払いを「普通徴収」にすることで、会社にバレずに副業分の住民税だけを納税することができます。

副業が赤字の場合給与所得から控除できる

副業が赤字の場合には、給与所得から控除できる方法があります。

副業だとしても税務署に開業届を提出して青色申告が認められると、所得税法による「損益通算」が適応できるからです。

損益通算とは1年分の利益と損失を相殺できる制度で、赤字の所得をほかの黒字になっている所得から差し引きすることで所得税の納付額が抑えられます。

たとえば副業でマイナス30万円になってしまっても会社員の給与所得で赤字の30万円を相殺することができるので、1年間の総所得が下がり所得税も少なくなります。

青色申告が認められている副業をおこなっている方は、副業で赤字が出た場合には給与所得から控除して所得税を抑えましょう。

青色申告は「事業所得」か「不動産所得」と認められると申告できます。雑所得の場合は白色申告となり、損益通算による控除は受けられないので注意しましょう。

総所得が変わるので、ふるさと納税限度額も変わります。限度額を超えて寄付すると損をしてしまうので、総所得がわかったらシミュレーションをしておきましょう。

副業の所得が20万円以上だと確定申告が必要

副業の所得が20万円以上になった方は、確定申告をしなければんりません。

確定申告をすることで、ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用していても申請が無効になってしまいます。

そのため、確定申告の際に寄附金控除の申請も忘れずにおこなう必要があります。

副業の所得が20万円以上ある方は、ふるさと納税をワンストップ特例制度ではなく確定申告で申請しましょう。

副業の所得が20万円以下でも確定申告すると所得税がかかる

副業の所得が20万円以下だったとしても、確定申告をした場合は副業分の所得を申告して所得税をおさめる必要があります。

副業収入が20万円以下の会社員でも確定申告が必要なケースは、以下のとおりです。

  • 医療費控除を受ける
  • 初年の住宅ローン控除の申告をする
  • ふるさと納税の寄付先自治体数が6つ以上ある

確定申告をすることで申告しなくてよかった年間20万円以下の売上も所得に入るので、わずかですが所得税が上がります。

本業400万円/副業10万円の場合(税率20%)
  • 確定申告なし:400万円×0.2=80万円の所得税
  • 確定申告あり:410万円×0.2=82万円の所得税

確定申告をすることで2万円多く所得税を払うことになります。

副業により毎月1万円程度の働きをしたはずなのに、2ヶ月分タダ働きしたことになってしまうでしょう。

副業の所得が20万円以下でも、確定申告をすることで所得税が上がってしまいます。

確定申告を忘れた場合の対処法

確定申告でふるさと納税の寄附金控除の申告を忘れてしまった場合には、国税庁に「更正の請求」をすることで控除が受けられる可能性があります。

更生の請求とは、すでに提出した確定申告の申告額に誤りがあった場合に正しい金額に訂正することを求めるための手続きのことです。

更生の請求をするための書類は「税務署」からもらうか、国税庁のサイトの「確定申告書等作成コーナー」からダウンロードできます。

更生の請求は確定申告から5年以内までおこなえるので、確定申告で控除の申告を忘れてしまった際には更生の請求書を提出しましょう。

確定申告期間(2月16日〜3月15日)に、忘れずに確定申告を済ませましょう。

ふるさと納税と副業についてよくある質問

ふるさと納税の期限はいつまで?

ふるさと納税の申し込み期限は「1月1日〜12月31日の1年間」です。

注意点として決済をした時点で申し込み完了となるため、12月31日までに決済しておく必要があります。

たとえば、2022年12月31日にふるさと納税サイトで返礼品まで選択して、支払いをコンビニ決済で2023年1月1日におこなってしまうと、2023年分の寄附としてカウントされてしまいます。

ふるさと納税の申し込みは、12月31日までに決済まで完了させておきましょう。

ワンストップ特例制度の場合:必要書類を翌年の1月10日必着で送る
確定申告の場合:翌年2月16日〜3月15日の期間内に申請する

一時所得はふるさと納税の計算に含めますか?

一時所得が50万円を超えない場合は、ふるさと納税限度額の計算に含めません。

なぜなら、一時所得は年間で50万円を超えない限り確定申告をする必要がないからです。

一時所得とは労働以外で偶発的に得た所得のことで、以下の内容が当てはまります。

  • 懸賞や福引の賞金品
  • 競馬や競輪の払戻金
  • 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金など

一時所得が50万円を超えない場合は、ふるさと納税の計算に含めずに限度額を計算しましょう。

ふるさと納税の限度額を簡単に計算する方法は?

ふるさと納税の限度額を簡単に知りたい場合は、ふるさと納税ポータルサイトで調べられます。

簡単シミュレーションでは「年収」と「家族構成」を入力するだけで、おおまかな限度額がわかります。

会社員がふるさと納税する際に気をつける点は?

会社員がふるさと納税の際に気をつけることは、以下の3つです。

  • 控除を受けられる金額には上限がある
  • 減税や節税をしているわけではない
  • 副業がバレる可能性がある

確定申告の必要がない会社員の方は、ワンストップ特例制度を利用することで簡単に寄付金控除が受けられるのでおすすめです。

会社員の方がふるさと納税で確定申告をする必要のあるケースについても解説しているので、興味のある方は確認してみましょう。

まとめ

この記事では、副業収入がある会社員のふるさと納税限度額計算方法やふるさと納税をする際の注意点について、以下の内容で解説しました。

  • ふるさと納税の限度額は、本業の給与と副業収入を合わせた「総所得」で計算する
  • 副業がパートやアルバイトなどの給与所得だと会社にバレる可能性が高くなる
  • 副業収入が20万円以下の場合、確定申告は必要ないが自治体へ住民税の申告をする必要がある

本業の会社に副業していることがバレる原因は「住民税」が上がるからです。

副業していることを会社の経理に気付かれないように、住民税の納付は普通徴収を選択して納付書が自宅に届くようにしましょう。

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