個人事業主版ふるさと納税のやり方と経費・勘定項目の仕訳を解説

個人事業主

「個人事業主がふるさと納税をする際のやり方を知りたい」と思っている方もいるでしょう。

個人事業主がふるさと納税をおこなう際の注意点を知っておかなければ、限度額以上の寄付をしてしまい、損をしてしまう可能性があります。

そこで今回は、個人事業主とふるさと納税の関係や納税の方法、税金との兼ね合いについて解説していきます。

最近サラリーマンから個人事業主になった方は、ふるさと納税のやり方が変わるので注意が必要です。

目次

個人事業主とふるさと納税の関係

個人事業主とふるさと納税の関係を、以下の4つのポイントとし、それぞれ詳しく解説していきます。

  • 個人事業主がふるさと納税をするメリット
  • 個人事業主がふるさと納税をするデメリット
  • ワンストップ特例制度が使えない
  • ふるさと納税で払う金額は経費にならない

個人事業主がふるさと納税をするメリット

ふるさと納税をするメリットに、以下のような点が挙げられます。

ふるさと納税をするメリット
  • 返礼品がもらえる
  • 税金が控除される
  • 寄付金の使い道を指定できる など

通常、所得税や住民税を納税するだけでは何ももらませんが、ふるさと納税をすると返礼品がもらえるだけでなく、税金が控除されます。

ふるさと納税をすると申請が面倒なイメージがありますが、個人事業主は確定申告をするため、寄附金控除の項目を1つ増やすだけで申請を気軽にできるといったメリットがあります。

税金の負担が軽くなるだけでなく、食品や日用品といった返礼品ももらえて一石二鳥。個人事業主にとって、ふるさと納税はメリットとなります。

個人事業主がふるさと納税をするデメリット

ふるさと納税をするデメリットには、以下のようなことが挙げられます。

ふるさと納税をするデメリット
  • 控除には限度額がある
  • 控除を受けられるのは本人のみ
  • 自分の住んでいる自治体の返礼品は受け取れない など

個人事業主がデメリットになる部分は、「控除には限度額がある」点です。

ふるさと納税の控除の限度額は、納税する本人の収入に応じて変化します。

個人事業主の場合、収入が不安定だと、控除の上限額を正確に判断するのが難しくなるでしょう。

年間所得がいくらになるのかがわかる年末からふるさと納税をおこなうなど、売上総額の把握しやすい時期から始めるのがおすすめです。

ふるさと納税は、1月1日〜12月31日が1年の区切りです。控除を申請する場合は、寄付をしたその年の12月31日までに申し込みと支払いが完了しておく必要があります。

ふるさと納税の期限をすぎると翌年分として控除を受けることになるので、注意しましょう。

ワンストップ特例制度が使えない

ワンストップ特例制度は、下記のような条件ではないと使用できないので、そもそも確定申告が必要な個人事業主には使えません。

  • 確定申告や住民税申告を必要としない給与所得者
  • ふるさと納税以外に確定申告やそれ以外の申請をしなくてもいい人 など

そのため、個人事業主はワンストップ特例制度が使えず、確定申告でふるさと納税の申請をしなければいけません。

確定申告は2月16日から3月15日の間に、必要書類を税務署に提出しましょう。

確定申告をする際は、寄付した自治体から届く「寄附金受領証明書」が必要です。忘れず保管しておきましょう。

ふるさと納税で払う金額は経費にならない

ふるさと納税で払う金額は、経費になりません。

そもそも経費とは、事業で発生した費用のことを指します。国税庁は、以下のように経費を定義しています。

事業所得、不動産所得および雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。

(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額

(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」

ふるさと納税は税金を払っていることと同じなので、経費になることはありません。

とくに個人事業主は、経費など税金関係のことを個人で管理する必要があるため、ふるさと納税で寄付した額の把握など、しっかりおこないましょう。

そもそも経費や所得などを全て計算した後に、ふるさと納税でいくら払うかが決まる仕組みです。

個人事業主のふるさと納税の重要項目と計算方法

個人事業主がふるさと納税をおこなうと、以下のようなイメージとなります。

【売上 – 経費 = 所得
→【所得 – 所得控除 = 課税所得
→【課税所得寄附金控除 = ふるさと納税後の課税所得】

寄附金控除の上限額を知るためには、経費と所得控除を正確に知っておく必要があります。

会社員では必要ありませんが、個人事業主だと自分で管理しなければいけないので注意しなければいけません。

この章では、個人事業主のふるさと納税の重要項目と計算方法について解説していきます。

経費

経費とは、事業で発生した費用のこと。例えば、以下のようなものが挙げられます。(出典:税務署「帳簿の記帳のしかた:一般的な必要経費の一覧表」

経費の一例
  • 消耗品費:文房具代
  • 修繕費:店舗の修理代
  • 水道光熱費:電気代 など

例えば、フリーライターであれば、以下のような項目が経費となります。

フリーライターの場合
  • 交通費:取材で必要な電車賃
  • 通信費:インターネット接続料
  • 接待交際費:取材で提供した飲食代 など

要するに、経費は「自分の仕事に関連しているものか」「売上に貢献しているか」といった視点が重要です。

経費でかかった金額は、領収書が証拠となります。確定申告の際に必要なので、忘れずとっておきましょう。

総所得

総所得(所得)とは、事業などで稼いだ売上から経費などを差し引いた合計の金額のことを指します。

個人事業主の所得は、基本的には事業所得に該当するでしょう。

国税庁によると、事業所得とは農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得のことを指すとしています。

所得については、事業所得以外にも以下のような項目があります。

所得名概要
利子所得預貯金や公社債の利子、合同運用信託、公社債投資信託などの収益の分配に係る所得のこと
不動産所得土地や建物などの不動産、船舶などの貸付けによる所得のこと
給与所得勤務先から受ける給料、賞与などの所得のこと
退職所得退職により勤務先から受ける退職手当などの所得のこと
雑所得副業や公的年金などの所得のこと
出典:国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」

ふるさと納税のシュミレーターを活用し、控除限度額をチェックしておきましょう。

青色申告・白色申告控除

確定申告には、「青色申告」と「白色申告」があります。

「青色申告」には最大65万円か55万円、あるいは10万円を所得から控除できる「青色申告特別控除」といった制度があり、節税が可能です。

「青色申告」をおこなうことで、所得から金額が控除されることで所得額が減り、課税される額を抑えられるなど、さまざまなメリットがあります。以下は、「青色申告」のメリット一例です。

青色申告のメリット
  • 家族へ給与を払って経費にできる
  • 30万円未満の高額なものを一括で経費にできる
  • 個人事業主は赤字を最長3年間繰り越せる など

ただし、開業届と青色申告承認申告書を提出しないと、「青色申告」できません。開業して2ヶ月以内か、その年の1月1日から3月15日の間に税務署に申請しましょう。

一方「白色申告」は、基本的に税制上の優遇措置がないといった特徴があります。

確定申告をする場合、収支内訳書、確定申告書などの書類が必要です。

「白色申告」は、「青色申告」に比べて記帳や書類作成の負担が小さいことがメリットになります。

「白色申告」は所得税上のメリットを受けられないので、節税効果が期待できる「青色申告」の方がおすすめです。

所得控除の項目には、さまざまなものがあります。次の章で解説しているので、確認しておきましょう。

社会保険料控除

社会保険料控除は、納税者した本人または生計を共にする配偶者などの社会保険料(国民健康保険や国民年金など)を支払った場合に受けることができます。(出典:国税庁_No.1130 社会保険料控除

控除できる金額は、その年に実際に支払った金額または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。

申告する方法は、保険料や掛金の金額が記載されている書類を、「給与所得者の保険料控除申告書」に添付するなどして、確定申告書の際に提示する必要があります。

申告する際には、忘れないようにしましょう。

医療費控除

医療費控除は、その年1月1日から12月31日までに支払った医療費のうち10万円を超えた部分を控除されます。(出典:国税庁_No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

医療費控除の対象となる医療費の要件は、以下の通りです。

医療費控除の対象となる医療費の要件

(1)納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。

(2)その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。)

医療費控除の最高額は200万円となります。計算式は以下の通りです。

(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円=医療費控除

たとえば、医療費に毎月3万円かかっている人は、年間すると36万円医療費がかかることになります。

そのため、36万-10万円=26万円となり、26万円が医療費控除となります。

また、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5パーセントの金額になるので注意しましょう。

また、セルフメディケーション税制といって、ドラックストアなどで購入した特定の医薬品などを購入した際、控除される制度もあります。

基礎控除

確定申告や年末調整において所得税額の計算をする場合に、総所得金額などから差し引くことができる控除の1つに基礎控除があります。(出典:国税庁_No.1199 基礎控除

基礎控除は全ての納税者に適用され、2,400万円以下の所得金額の方の控除額は48万円です。

所得が2,400万円を超えると控除額が段階的に下がり、2,500万円を超えると控除額は0円になります。

合計所得金額控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円
2,500万円超0円
出典:国税庁_No.1199 基礎控除

なお、令和元年分以前の基礎控除の金額は納税者本人の合計所得金額にかかわらず、一律38万円なので、注意しましょう。

たとえば、売上が300万円で、経費が50万かかっている人の場合、実際の儲けである所得は250万になります。

300万(売上)-50万(経費)=250万(所得)

通常上記のように、所得金額の250万に応じて、税率が決定します。ですが、それだと税率が高くなります。

そこで基礎控除を反映させることで、税率が低くなり、節税ができます。

300万(売上)-50万(経費)=250万(所得)-48万(基礎控除)=202万(課税所得)

250万(所得)から48万(所得控除)を引くことで、202万(課税所得)となり、税率を抑えられる仕組みです。

配偶者控除・扶養控除

配偶者控除は、年間の所得が38万円以下の配偶者がいる場合に、13万から38万円控除されます。

控除を受ける納税者本人の
合計所得金額
控除額
(一般の控除対象配偶者)
控除額
(老人控除対象配偶者)
900万円以下38万円48万円
900万円超950万円以下26万円32万円
950万円超1,000万円以下13万円32万円
出典:国税庁_No.1191 配偶者控除

控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の要件のすべてに当てはまる人です。

  • 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しない)
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと

なお、平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。詳しくは、国税庁のページをご覧ください。

扶養控除は、年間の所得が38万円以下で16歳以上の扶養家族がいる場合に、38万円から63万円控除されます。

区分控除額
一般の控除対象扶養親族38万円
特定扶養親族63万円
老人扶養親族 同居老親等以外の者48万円
老人扶養親族 同居老親等58万円
出典:国税庁_No.1180 扶養控除

扶養親族とは、その年の12月31日の現況で、次の要件のすべてに当てはまる人のことです。

  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと

その他の所得控除

その他の所得控除についての一覧です。

スクロールできます
名前概要控除額
生命保険料控除生命保険料、介護医療保険料などを支払った場合に受けられる合計額が120,000円を超える場合の控除額は120,000円
地震保険料控除損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料または掛金を支払った場合に受けられる・50,000円以下は支払金額の全額
・50,000円超は一律50,000円
ひとり親控除その年の12月31日の現況で、婚姻をしていないまたは配偶者の生死の明らかでない一定の人が受け取れる35万円
小規模企業共済等
掛金控除
納税者が小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合に受けられる(iDeCoの拠出金など)その年に支払った掛金の全額
出典:国税庁 No.1100 所得控除のあらまし

該当しそうな個人事業主の方は、計算する際にふるさと納税のシュミレーションを使ってみましょう。

個人事業主のふるさと納税・確定申告までのやり方

次に、個人事業主のふるさと納税と確定申告をおこなうまでのやり方について解説していきます。

流れは以下の通りです。

個人事業主のふるさと納税の流れ
  1. 寄付金限度額をシュミレーション
  2. ふるさと納税サイトを選ぶ
  3. 返礼品を選ぶ
  4. 確定申告をする

それぞれ詳しくみていきましょう。

1. 寄付金限度額をシュミレーション

所得税と住民税が控除される金額は、年収や家族構成に応じて変わります。

そのため、実質負担額を2,000円で抑えたい場合、自分がいくら寄付できるのかをシュミレーションし、把握しておく必要があります。

たとえば、ふるさと納税で支払う寄付金額を3万円とし、負担額を2,000円にしたい場合、以下のような計算式になります。

30,000円(ふるさと納税で支払う寄付金額)-28,000円(所得税と住民税の控除で戻ってくる金額)=2,000円(負担額)

もし限度額を考慮せずに寄付すると、負担額が2,000円を超えた分は納税者本人が支払わなければいけないため、注意が必要です。

限度額をシュミレーションし、いくら寄付できるのかを知った上で返礼品を探していきましょう。

2. ふるさと納税サイトを選ぶ

ふるさと納税サイトを選びましょう。

たとえば、サイトごとにはキャンペーンや使いやすさ、自治体数や返礼品の数などの違いがあります。

以下は、2023年6月時点での各サイトの情報一覧です。

スクロールできます
サイト名使いやすさ返礼品数自治体数キャンペーン
さとふる約60万点約1,200箇所メガさとふるの日キャンペーン
はじめてのさとふるキャンペーン
楽天ふるさと納税約40万点約1,500箇所毎月5と0のつく日で最大+2倍
SPUで最大16倍
ふるさとチョイス約50万点約1,600箇所はじめてチョイスキャンペーン
感想投稿キャンペーン

「さとふる」なら、マイページで情報を一元管理できたりと、ECサイトのように使えます。

初めてふるさと納税する人にもわかりやすい解説動画も付いているので、ふるさと納税の仕組みについてもわかるでしょう。

ふるさと納税サイトは30個以上もあるので、あなたにピッタリのサイトを選びましょう。

3. 返礼品を選ぶ

ふるさと納税サイトを活用して、返礼品を選びましょう。

寄付金限度額に収まるよう、好きな返礼品を選んでいくのがおすすめ。以下は、返礼品のジャンル一例です。

返礼品のジャンル
  • お肉
  • 野菜
  • 魚介類
  • 日用品
  • 家電製品 など

たとえば、寄付金限度額が約33,000円である場合、1万円台の返礼品(食品など)を3つ組み合わせるといいでしょう。

おすすめの返礼品に関する記事も参考にしてみてください。

個人事業主の方は、法人や個人など、クレジットカードを分けて利用されている方もいるかと思います。購入の際には、カードの名義に十分注意しましょう。

4. 確定申告をする

確定申告をしましょう。流れは以下の通りです。

確定進行の流れ
  1. 必要書類を集める・整理する
  2. 書類を作成する
  3. 書類を提出する
  4. 納税する

まず、確定申告に必要な書類を集め、整理しましょう。以下のような書類が必要となります。

確定申告で必要な書類
  • 確定申告書
  • 収支内訳書
  • 青色申告決算書(青色申告をする場合)

申告書の作成には口座情報や領収書、帳簿が必要です。また、寄付した自治体から返礼品と届く「寄附金受領書」は、確定申告で必要なので忘れずに取っておきましょう。

そのほか、控除に必要となる書類も、必要に応じて準備する必要があります。早めに用意しておきましょう。

書類を作成する際は、いくつか方法がありますが、簡単に管理できる会計のクラウドソフトの活用がおすすめです。

提出もいくつかやり方がありますが、青色申告で最大65万円の青色申告特別控除を受けるにも、e-Taxによる申告または電子帳簿保存がいいでしょう。

確定申告2月16日から3月15日までに、税務署に書類を提出しなければいけません。

ふるさと納税の期限についても注意しましょう。

ふるさと納税しない方がいい個人事業主の特徴

ふるさと納税しない方がいい個人事業主の特徴についてご紹介します。

該当するかをチェックしておきましょう。

  • その年の売上が赤字
  • 所得税・住民税が非課税

その年の売上が赤字

その年の売上が赤字である個人事業主は、ふるさと納税しない方がいいでしょう。

ふるさと納税は、所得控除の一つとして扱われ、「寄附金控除」に該当します。

売上があり、所得税・住民税を納めている人が控除を受けられ、得をする仕組みです。

赤字であれば、所得税の控除として引かれる分がないため、ただの寄付になってしまう可能性が高いです。

売上が不安定な個人事業主の方は、収益が安定してからふるさと納税を始めることをおすすめします。

「青色申告」によって赤字を繰り越せる場合があるので、確定申告はしておきましょう。

所得税・住民税が非課税

所得税と住民税が非課税になっている個人事業主の方は、ふるさと納税をおすすめしません。

なぜなら、所得税と住民税が非課税だと、控除される額がないからです。

たとえば、売上が100万円の個人事業主の場合、経費に30万、青色申告特別控除で65万の控除となると、以下のような計算式になります。

売上100万円-(経費30万円+青色申告控除65万円)=合計所得5万円

上記の場合、合計所得が5万円にしかならないため、所得税は非課税となります。

ふるさと納税は、所得税と住民税が控除される寄附金税制の一つです。

よって、所得税や住民税が非課税である個人事業主の方は、控除する金額がないため、ふるさと納税をしない方がいいでしょう。

個人事業主のふるさと納税についてよくある質問

Q.法人の場合ふるさと納税の勘定科目はどうなりますか?

法人の場合、「広告宣伝費」「接待交際費」など、場合によってふるさと納税の勘定項目が変わります。

たとえば、法人がふるさと納税を行う「企業版ふるさと納税」は、返礼品がもらえないなどといった特徴があります。

自治体により「表彰」や「自治体HPへの掲載」など用意していることもあるので、見返りを求めない会社といったアピール効果となり、「広告宣伝費」として扱われます。

個人事業主の場合、ふるさと納税の勘定科目は「寄附金控除」となります。

事業用の資金から寄付した際には「事業主貸」で処理した上で、確定申告時に「寄附金控除」の処理をしてもらうことも可能です。

若干の違いがあるため、注意しましょう。

Q.ふるさと納税寄附金額の目安が知りたい

ふるさと納税寄附金額の目安は、人によって異なります。

なぜなら、寄附金額の上限は年収や家族構成によって違うからです。

たとえば、寄附金額の上限が30,000円の人の場合、28,000円が控除の対象となり、実質の負担額は2,000円になります。

詳しく知りたい方は、ふるさと納税のシュミレーターに関する記事を参考に、いくら寄付できるかを調べてみてください。

Q.個人事業主はふるさと納税いつまでにすればいい?

個人事業主だけでなく、ふるさと納税は寄付をしたその年の12月31日までに申し込みと支払い終わっていなければ、税金の控除を受けられないので注意しましょう。

確定申告は寄付をした翌年の2月16日から3月15日までに、税務署に書類を提出し、寄付したことを報告しましょう。

詳しくは、ふるさと納税の期限についての記事を参考にしてみてください。

Q.青色申告と白色申告で寄附金額は変わりますか?

「青色申告」と「白色申告」で、寄附金額は変わります。

まず、ふるさと納税の仕組みは、以下の計算式のようになっています。

ふるさと納税(寄附金額)−控除額(所得税からの控除+住民税からの控除)=自己負担額

ふるさと納税(寄附金額)から控除されるのは、所得税住民税です。

たとえば、「青色申告」は10万円・55万円・65万円の控除があります。

一方、「白色申告」は基本的に税制上の控除がありません。納税する所得税と住民税の金額に違いが生じます。

従って、青色申告と白色申告は控除の金額が異なるため、計算の変数によって寄附金額が変わる、といった形となります。

Q.年金受給者はふるさと納税できますか?

ふるさと納税は寄付です。そのため希望すれば、年金受給者の方でもふるさと納税ができます。

ただし、所得税と住民税を納めている必要があります。

所得税と住民税は、年齢や年収に応じて変わるので、注意が必要です。

詳しくは、ふるさと納税のシュミレーターに関する記事を参考にしてみてください。

まとめ

個人事業主がふるさと納税をおこなう際、所得と経費を把握しておく、確定申告の際に申告するなど、税務管理を自分でしなければいけません。

誤った計算をしてしまうと、自己負担額が増えてしまうことがあるので注意が必要です。

シュミレーションなどを使って、年収などが正確に分かった上で納税していきましょう。

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