確定申告をせずに手軽に寄付金控除の申請ができる方法が「ワンストップ特例制度」です。
ワンストップ特例制度を利用するための条件として、年間の寄付先の自治体数が5つ以内である必要があります。
この5自治体以内という条件には「同じ自治体の返礼品はカウントされるのかな?」と、疑問に思っている方もいるでしょう。
そこで、この記事では自治体数のカウント方法について、具体例をあげながら詳しく解説していきます。

自治体数が6つ以上となり、ワンストップ特例制度の条件から外れてしまった場合の対処法も解説しています。
ふるさと納税における自治体数と申請方法の関係
ふるさと納税における自治体数と申請方法の関係について、以下の内容で解説していきます。
- ワンストップ特例申請する場合は5自治体以内
- 確定申告する場合は自治体数は関係ない
- 同じ自治体の返礼品は1自治体としてカウントする
- 同じ都道府県でも別の自治体あつかい
- 複数のふるさと納税サイトを使っても自治体数は共有
ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用する際は、寄付した自治体数によって申請方法が変わることを理解しておきましょう。
寄付先の自治体数で申請方法が変わることを理解しておかないと、申請をしているつもりでも実際には申請が無効になっていて「寄付金控除」が受けられないという可能性があります。
それでは、以下で詳しく解説していきます。
ワンストップ特例申請する場合は5自治体以内
ワンストップ特例制度で寄付金控除の申請をおこなうためには、寄付先の自治体数が5自治体以内におさまっている必要があります。
ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税後に確定申告をおこなわなくても寄付金控除が受けられる仕組みのことです。
ワンストップ特例制度は、以下の条件を満たしている方が利用できます。
- もともと確定申告をする必要のない給与所得者等であること
- ふるさと納税以外に確定申告または住民税の申告をおこなう必要がないこと
- 年間の寄付先が5自治体以内であること
たとえば、北海道紋別市のホタテと福岡県飯塚市のハンバーグに対してふるさと納税をおこなった場合は、2自治体に寄付したということです。
この自治体数が1年間(1月1日〜12月31日まで)の間で5自治体以内であれば、ワンストップ特例制度による申請が利用できます。
確定申告する場合は自治体数は関係ない
もともと確定申告により寄付金控除を受ける予定の方は、年間の自治体数を気にする必要はありません。
ふるさと納税の申告方法には「確定申告」と「ワンストップ特例制度での申請」の2つの方法があります。
申告方法 | 特徴 |
---|---|
確定申告 | ふるさと納税を利用した翌年2月16日〜3月15日の1ヶ月間に、税務署に出向いたりe-Taxによる電子申告をしたりして寄付金控除が受けられる。 寄付先の自治体数に制限はない。 |
ワンストップ特例制度 | ふるさと納税をした自治体に申請書を提出するだけで、確定申告不要で簡単に寄附金控除が受けられる。 寄付先の自治体数は年間5自治体以内。 |
ご自身で事業をおこなっている方や、サラリーマンでも副業の所得が20万円以上ある方は「確定申告」が必要です。
確定申告で寄付金控除を申請するという方は、寄付先の自治体数を気にせずにふるさと納税がおこなえます。



確定申告では自治体から送られてくる「寄附金受領証明書」が必要なので、確定申告の時期までなくさずに保管しておきましょう。
同じ自治体の返礼品は1自治体としてカウントする
ふるさと納税は同じ自治体であれば、何度寄付しても1自治体としてカウントされます。
同じ自治体であれば違う返礼品でも、1自治体としてカウントすることが可能です。
自治体のカウント方法は、市町村まで同じ自治体なら何度寄付をしても1自治体としてカウントされますが、都道府県が同じだけど市町村が違うという場合には2自治体とカウントします。
たとえば、北海道紋別市でホタテといくらを頼んだ場合は「1自治体」としてカウントされますが、北海道紋別市のホタテと北海道小樽市のいくらを頼んだ場合は「2自治体」とカウントされます。
ワンストップ特例制度で申請をしようとしている方は、同一自治体であれば1自治体とカウントされることを覚えておくと良いでしょう。
同じ都道府県でも別の自治体あつかい
ふるさと納税では同じ都道府県内の地域に寄付をしても、別の自治体としてカウントされます。
ふるさと納税において、自治体とは「市区町村」の単位で計算されるからです。
たとえば、東京都でいうと「東京都八王子市」「東京都墨田区」「東京都利島村」など18の市区町村に分かれており、同じ東京都でも別の市区町村へ寄付した場合は2自治体とカウントされます。
ワンストップ特例制度で申請する場合は5自治体以内と制限があるため、自治体数のカウント方法を間違えないように注意しましょう。
複数のふるさと納税サイトを使っても自治体数は共有
ふるさと納税では、複数のふるさと納税サイトを使っても自治体数は共有されます。
ふるさと納税サイトによっては取り扱っている自治体が異なっていたり、サイト独自の返礼品が用意されていたりするので、複数のふるさと納税サイトを利用する場合もあるでしょう。
複数のサイトを利用してふるさと納税をおこなった場合の例を、以下に紹介します。
- ふるなび:広島県呉市に寄付(1自治体)
- さとふる:北海道紋別市と佐賀県上峰町に寄付(2自治体)
- ふるさとチョイス:山梨県大月市と山形県天童市に寄付(2自治体)
上記のように複数のふるさと納税サイトを同時に利用できますが、寄附金額や寄付先の自治体数は合算する必要があるので上限を超えないように注意しましょう。



ワンストップ特例制度を利用する場合は、寄付先の自治体数が年間で5自治体以内というルールがあります。5自治体を超えた場合は、確定申告をおこなわなければ寄付金控除が受けられません。
ワンストップ特例の条件を逸脱した場合の対処法
ワンストップ特例の条件から外れてしまった場合の対処法について、以下の内容で解説していきます。
- 前提|ワンストップ特例2つの条件
- 確定申告に切り替える
- 申告をしない場合は控除を受けられない
- 自治体数が心配なら高額返礼品を選ぶ
ワンストップ特例制度の条件から外れてしまっても、翌年の2月16日〜3月15日のあいだに確定申告をおこなえば寄付金控除が受けられます。
それでは、以下で詳しく解説していきます。
前提|ワンストップ特例2つの条件
まず、ワンストップ特例制度の2つの条件について、以下で紹介します。
- 確定申告が必要ない給与所得者であること
- .寄付先の自治体が年間で5か所以内であること
ワンストップ特例制度を利用する際は寄付した自治体ごとに申請書を送るだけで、確定申告をおこなわなくても納税の寄付金の控除が受けられます。
ただし医療費控除の申告などで確定申告が必要な方や、寄付先の自治体が年間で6つ以上になってしまった方は、ワンストップ特例制度の申請が無効になってしまいます。
ワンストップ特例が無効になってしまうと、確定申告をしなければ「寄附金控除」が受けられないので注意が必要です。
確定申告に切り替える
ワンストップ特例制度を利用して申請書を送付したあとでも、確定申告に切り替えられます。
ワンストップ特例制度と確定申告の条件や期限の違いについて、以下で解説します。
申告方法 | 申告期限 | 条件 |
---|---|---|
ワンストップ申請 | 寄付した翌年の1月10日までに必着 | 確定申告が必要ない給与所得者であること 寄付先の自治体が年間で5か所以内であること |
確定申告 | 寄付した翌年の2月16日〜3月15日まで | 寄付先の自治体数が6か所以上ある場合 寄付先の自治体に1つでも申請書を提出できなかった場合 医療費控除の申告や副業収入が20万円以上あるなどの場合 |
年間の寄付先の自治体数が5つを超えてしまった方やワンストップ申請が1月10日必着を過ぎてしまった方は、確定申告に切り替える必要があります。
切り替えに特別な手続きをする必要は必要なく、期間内に確定申告をおこなうだけで寄付金控除が受けられます。
ワンストップ特例制度の条件を逸脱してしまった場合には、忘れずに確定申告の手続をおこないましょう。



確定申告の手続きをし忘れたままだと、寄附金控除が受けられないので気をつけましょう。
申告をしない場合は控除を受けられない
ふるさと納税をおこないワンストップ申請をしていたが、ワンストップ申請の条件を逸脱していたという場合は「寄付金控除」が受けられません。
寄付金控除が受けられないと、返礼品を通常の3倍ほどの金額で購入しただけとなり損をしてしまいます。
ワンストップ申請の条件を逸脱するというミスがおこる原因としては、以下のようなパターンが考えられます。
- 2022年10月までに5自治体にふるさと納税をおこなっていた。
- 寄附金額の上限を改めて確認すると、あと5,000円分残っていたので、もう1か所に追加で寄付をおこなった。
- 寄附金額の上限しか頭になくて、年間の自治体数が6つになってしまいワンストップ特例制度の条件を逸脱した。
- ふるさと納税をおこない、ワンストップ特例制度の条件もクリアしていた。
- ワンストップ申請も1月10日必着で問題なく提出できていた。
- 確定申告時期に医療費控除の申請をしなければいけないことを思い出して、確定申告をおこなったが確定申告の際にふるさと納税についての申告をし忘れた。
上記のようにワンストップ特例制度の条件から逸脱していることに気付かずに、確定申告もできないと「寄附金控除」が受けられないので注意しましょう。
自治体数が心配なら高額返礼品を選ぶ
ワンストップ特例制度による自治体数の条件が心配な方は、高額な返礼品を選ぶこともひとつの方法です。
ふるさと納税で高額な返礼品の例を、以下に紹介します。
ふるさと納税のシミュレーションにより寄付金上限額がわかります。
たとえば、あなたの年収が日本人の平均年収の「461万円」で独身の方だとすると「約81,000円」まで寄付できます。
寄付金上限額を調べたうえで上限額にちかい高額な返礼品が選べると、自治体数を気にすることなくワンストップ制度が利用できるでしょう。
同じ自治体への返礼品購入に関するよくある質問
まとめ
ワンストップ特例制度は「年間の寄付先の自治体が5つ以内」で「確定申告の必要がない」という方なら、誰でも手軽に寄付金控除が受けられる申請方法です。
この記事では、ワンストップ特例制度の条件である「年間5自治体以内」について、以下の内容で解説しました。
- 同じ自治体であれば、何度寄付しても1自治体としてカウントする
- 複数のふるさと納税サイトから寄付をしても、自治体数は合算して計算する
- 年間の寄付先が5自治体を超えてしまった場合は、確定申告に切り替える
ワンストップ制度を利用する方は、自治体数が6つ以上にならないように気をつけましょう。



自治体数のオーバーが心配な方は、3万円や5万円などの高額な返礼品を選ぶと良いでしょう。