自己負担2,000円で自治体から返礼品をもらえるふるさと納税。手軽かつ簡単にできるふるさと納税制度を活用して、人気の返礼品をゲットしている人も多いでしょう。
一見メリットしかないこの制度で、 1つ気を付けることがあります。それは控除限度額。
今回は、控除限度額を超えて寄付してしまったときの対策をご紹介します。

控除限度額を超えてしまった人、超えそうな人は参考にしてください!控除限度額はシミュレーションを使って確認できます。
ふるさと納税で限度額を超えたら損をする
ふるさと納税で損をする人、しない人、それぞれわかりやすく解説していきます。
まずは、あなたの控除限度額を確認していきましょう。
- 控除される金額は年収で決まっている
- 控除限度額の計算方法
- ふるさと納税をするデメリット
控除される金額は年収で決まっている
控除上限額は1月1日~12月31日までの所得により確定します。
そのため、あなたの年収により控除上限額に差が生じます。
- 【年収300万円の人】
28,000円(控除額26,000円、自己負担2,000円) - 【年収400万円の人】
43,000円(控除額41,000円、自己負担2,000円) - 【年収500万円の人】
61,000円(控除額59,000円、自己負担2,000円)
上記の控除上限額は「独身者または共働き」「ふるさと納税以外の控除がない」場合の控除上限額の目安です。
家族構成やふるさと納税以外の控除の有無によって控除限度額が異なります。



あなたの詳しい控除限度額はシミュレーションを使って計算しましょう。
控除限度額の計算方法
ふるさと納税した寄付金額は、所得税と住民税から控除されます。
それぞれどのくらいの割合で控除されるかは、以下のように計算できます。
①所得税からの控除 + ②住民税からの控除(基本分) + ③住民税からの控除(特例分)
- ①所得税からの控除=(ふるさと納税額 – 2,000円)× 所得税率 × 復興税率
- ②住民税からの控除(基本文)=(ふるさと納税額 – 2,000円)× 10%
- ③住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額 – 2,000円)×(100% – 10% – 所得税率 × 復興税率)
参考資料:総務省(ふるさと納税のしくみ)
たとえば、年収300万円(独身者)の場合で当てはめると、以下の結果となります。
- ①所得税
=(27,000 – 2,000円)× 20% × 1.021 = 5,105円 – ①
- ②住民税(基本文)
=(27,000 – 2,000円)× 10% = 2,500円 – ②
- ③住民税(特例分)
=(27,000 – 2,000円)×(100% – 10% – 20% × 1.021) = 17,395円 – ③
ふるさと納税の寄付金額 = ①5,105円 + ②2,500円 + ③17,395円 = 25,000円
上記の仕組みは理解していなくても、それぞれのふるさと納税サイトにあるシミュレーションでかんたんに計算できます。
ふるさと納税をするデメリット



ふるさと納税で応援したい自治体に寄付ができて、返礼品がもらえてメリットばかり。デメリットはないのでしょうか。
ふるさと納税のデメリットは、基本的にはありません。しいていうなら、以下のデメリットが考えられます。
- 節税にはならない
- 税金控除のための申請が必要
- 控除限度額を超えると自己負担になる
ふるさと納税は節税ではなく、翌年の税金の前払いです。寄付額から自己負担2,000円を除いた金額を、翌年の所得税や住民税から控除される制度です。
そのため、ふるさと納税をすること=節税ではありません。
また、税金控除のための申請が必要となり、その手間が生じます。ふるさと納税で寄付する自治体を決め、返礼品をもらうだけで完了はしません。
さらに、控除限度額を超えて寄付した場合は自己負担となります。翌年の税金を先払いし、返礼品を楽しみ控除を受けるためのふるさと納税です。
しかし、自分の控除限度額を把握していなければ損をすることがあるため、注意が必要です。
基本的にデメリットはありませんが、節税との違いや申請方法、控除限度額を確認する手間がかかります。
ふるさと納税しないほうがいい人の特徴
ふるさと納税は誰でも利用できる制度ですが、以下の項目にはてはまる人は損をする可能性があります。
- 住民税と所得税を払っていない人
- 所得が低い人
- 退職予定のある人
住民税と所得税を払っていない=納税の必要がない、ということです。
生活保護を受けている人、扶養する親族がいる人、合計所得が45万円独身者・135万円以下の人(障碍者・未成年者・寡婦、ひとり親世帯の場合)が該当します。
また、所得が低い人もふるさと納税をしないことをおすすめします。なぜなら、控除限度額が低くメリットを感じづらいからです。



所得が低い人は寄付できる金額も低いため、返礼品の種類や翌年の税金の先払いできる金額が限られメリットを感じにくいのです。
同様に、退職予定のある人はふるさと納税をしないほうがいい人です。
それは、再就職まで期間が空いた場合に、翌年の住民税が下がるからです。控除限度額のシミュレーションがしにくく、上限を超えて寄付してしまい自己負担となる可能性が高くなるため注意が必要です。
12ヶ月安定した収入を得ていた年よりも、12ヶ月のうち再就職までの働いていない・収入がない・所得が低い期間のある年のほうが住民税が低くなります。
ふるさと納税の控除限度額を超えていないか確認する方法
メリットがたくさんのふるさと納税。気を付けるべきはたったひとつ、控除限度額です。
控除限度額を超えてしまう事象は、想定していた年収よりも所得が低いことが原因で誤差が生じている可能性が考えられます。
それでは、ふるさと納税の控除限度額を超えていないかを確認する方法を3つご紹介します。
- 限度額計算シミュレーションを使う
- 国税庁や自治体で確認する
- 翌年の住民税を確認する
限度額計算シミュレーションを使う
改めて控除限度額を計算してみましょう。
控除限度額シミュレーターを使うと、想定年収を入力するだけで想定される限度額が一瞬で表示されます。
計算に頭を使う必要もなく、非常に便利なツールです。ふるさと納税関連のサイトやアプリですぐにチェックすることができるので、ぜひ試してみてください。
国税庁や自治体で確認する
「想定年収でのシミュレーションだけでは不安」という人は、納税通知書(住民税決定通知)で確認してみてはいかがでしょうか。
納税通知書とは、確定申告や年末調整情報をもとに計算される正式な通知書です。納税者には直接または会社を通して送付されます。
納税通知書が届いたら、納税通知書の左下「摘要」欄をご確認ください。
自己負担額が「-2,000円」となっていれば控除限度額を超えていません。自己負担額が「-2,000円」以上の場合は控除限度額を超えていることになります。
納税通知書は毎年5月~6月に届くため、チェックしてみてくださいね。



控除がおこなわれているかどうか、控除限度額を超えていないかを確認する方法として、お住まいの市区町村の担当部署へのお問い合わせすることも可能です。
翌年の住民税を確認する
3つ目の方法は「翌年の住民税がわかるまで待つ」です。
住民税は1月1日~12月31日までの1年間の所得に対して課税されます。そのため、12月31日〆で計算することで控除限度額を超えていないかを確認可能です。
さらに、すでに寄付をおこない控除限度額を超えていた場合も、寄付した分や自己負担分を取り戻すこともできません。控除限度額を超えた分は自己負担となります。
税金を先払いすることで、自己負担2,000円で返礼品を楽しむことができるふるさと納税制度のお得感、を感じるためには正確な控除限度額の把握がポイントです。
12月31日に翌年の住民税を確認できますが、控除上限額を超えてしまったあとの取り消しはできません。
ふるさと納税の控除限度額を超えた場合の対処法
ふるさと納税の控除限度額を超えてしまった分は、原則自己負担となります。
超えてしまった場合は、どのように対処するとよいのでしょうか。対処法をご紹介します。
- 再度シミュレーションをする
- 確定申告をする
再度シミュレーションをする
控除限度額を超えてしまった原因として考えられるのは、以下の3点です。
- 控除限度額の計算を間違えていた
- 控除限度額を計算せず寄付していた
- 年収が想定年収を下回った
まずは、控除限度額を再度計算しましょう。
控除限度額シミュレーターに実際の年収を入力するだけでOKです。正確な金額を確認したい場合は、源泉徴収票をもとに控除限度額シミュレーターに入力してみましょう。
源泉徴収票とは、年内に会社から支給された総額と、労働者が支払った所得税額が記載された書類です。12月の給与明細と共に受け取ることが一般的です。
控除限度額を改めて算出したのち、自分が寄付した金額との差額を確認しましょう。
控除限度額を超えて寄付した金額がわかります。たとえば、年収300万円の独身者が30,000円分の寄付を行った場合の超過分は3,000円ということになります。(寄付金額30,000円 – 控除限度額27,000円)
確定申告をする
ワンストップ特例制度を利用していた場合、自己負担を減らすことができる可能性があります。
ワンストップ特例制度とは、確定申告が不要な給与所得者(会社員など)またはふるさと納税の寄付先が5自治体以内であれば、ふるさと納税の確定申告が不要になる制度です。



ワンストップ特例制度は、住民税のみが控除対象。確定申告をすることで、ほかの税金も控除対象に加えることができます。
たとえば、所得税や住宅ローンなどを控除対象に加えることによって、控除限度額がアップし自己負担額を減らすことが可能です。
ふるさと納税の限度額はギリギリを攻めるべき?



限度額を超えなければメリットがたくさんのふるさと納税。できれば限度額ギリギリまで活用したいですよね。
ギリギリまで攻めるかどうか、考えるポイントをご紹介します。
- 源泉徴収票があるなら攻めた方がいい
- 年収がわからないならほどほどに
- 給与明細から計算も可能
源泉徴収票があるなら攻めた方がいい
源泉徴収票が手元にある場合、翌年の住民税がほぼ正確に予測可能です。
源泉徴収票を見ながら、給与収入・社会保険料など・保険料の金額をシミュレーターに入力していきましょう。算出された控除限度額通りに寄付してOKです。



給与明細を12月31日に受け取った場合は、12月31日23:59までにふるさと納税をしましょう。
年収がわからないならほどほどに
以下に該当する人は、ほどほどに進めると損をする可能性が低くなります。
- 業績により賞与金額に大幅な差がある人
- 月によって残業する・しないに大幅な差がある人
- 去年の年収が予測の参考にならない人
- 退職の可能性がある人
年収の予測が立てられない人は、ギリギリを攻めると損をする可能性が高くなります。
控除限度額に差が生じる可能性がある場合は、10月ごろまでは少なめに寄付をおこない、年収予測がしやすい年末に差額を調整するのがよいでしょう。
給与明細から計算も可能
給与明細に記載されている月収をもとに、控除限度額を算出することもおすすめです。
その場合は、ある月の月収(支給合計) × 12か月計算を想定年収とし、控除限度額シミュレーターに入力してみましょう。
- ある月の給与明細に記載されている支給合計を確認
- 想定年収を算出(4月の支給合計 × 12ヶ月 = 想定年収)
- 想定年収を控除限度額シミュレーターに入力
- 【1月の支給合計(20万円)で算出する場合】
200,000円 × 12ヶ月 = 2,400,000円 - 【4月の支給合計(25万円)で算出する場合】
250,000円 × 12ヶ月 = 3,000,000円 - 【6月の支給合計(23万円)で算出する場合】
230,000円 × 12ヶ月 = 2,760,000円
ただし、こちらもあくまでも予測。ギリギリを攻めることは危険です。
余裕をもって寄付すると、損をする可能性が低くなります。



給与明細から計算したい方は、支給額の平均値を12ヶ月でかけたものを年収としてシミュレーションするのがいいでしょう。
ふるさと納税限度額に関するよくある質問
まとめ
ふるさと納税制度は、自己負担2,000円で全国各地の返礼品を楽しむことができる制度です。損をしないために気をつけなければいけないのは3つ。
- 自分の住民税が課税対象であることの確認
- 12月31日までに寄付をおこなうこと
- 控除限度額を超えないこと
基本的には、控除限度額さえしっかりシミュレーションできていれば損をすることはありません。もし、控除限度額を超えてしまった場合は、確定申告をすることで控除限度額の上限を上げることもできます。



この記事を読んで、みなさんの疑問や不安が解消され、ふるさと納税やってみよう!と思ってもらうきっかけになれば幸いです。
2022年12月3日 17:16