横浜市立大学が手がけるデータサイエンティスト育成プログラム「D-STEP」の魅力とは

横浜市立大学のキャンパスの様子
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AI開発やデータ分析の需要拡大に伴い、データを駆使した課題解決の専門家「データサイエンティスト」の需要は高まっています。

こうした中、首都圏初のデータサイエンス学部と、データサイエンス研究科を開設した横浜市立大学は、文理融合・実課題解決型データサイエンティスト育成プログラム「D-STEP」を2019年にスタート。

今回は、データサイエンティストの役割とD-STEPの特徴について、同プログラムの開発者であり講義担当でもある坂巻 顕太郎先生、田栗 正隆先生、小泉 和之先生にお話を伺いました。

話を聞いた人

坂巻先生の近影お写真

坂巻 顕太郎(さかまき けんたろう)
横浜市立大学 データサイエンス推進センター 特任准教授

田栗先生の近影お写真

田栗 正隆(たぐり まさたか)
横浜市立大学 大学院データサイエンス研究科 教授

小泉先生の近影お写真

小泉 和之(こいずみ かずゆき)
横浜市立大学 大学院データサイエンス研究科 准教授

ご略歴はこちら

データサイエンティストとは?豊かな生活を支える課題解決の専門家

ーーまず、データサイエンティストとはどんな職業なのか詳しく教えてください。

坂巻先生:データサイエンティストは、誤解を恐れずにいうと、データで解決可能な課題に対して、課題の明確化、データの加工・分析から、課題を解決に導く専門家といえます。

そのため、一口にデータサイエンティストといっても、いくつかの役割にわけることができます。課題設定、データの加工・分析、新たな分析方法の提案、課題解決策の提案といったすべてを一人でこなす必要はありません。

また、業務で向き合う実際の課題も多岐にわたります。

例えば、POSデータなどを解析して新商品を開発する、CMの購買に対する効果をデータによって評価する、など様々です。

データサイエンティストは、不透明だった問題をデータに基づいて解決することで、人々の暮らしを豊かにする存在だといえます。

ーーD-STEPを通じて学ぶと未経験でもデータサイエンティストになれるのでしょうか?

田栗先生:私は、データサイエンスは問題解決のための学問だと思っています。たとえ未経験であっても、データサイエンスの基礎知識を学んだうえでスキルを磨くことにより、難しくない手法で課題解決策を提案できることもあると考えています。

データを活かし、どのように課題を解決するのかという視点や想像力を持つことは、データサイエンスを行うにあたって非常に重要なポイントです。そのための手段として、基礎的な統計学やデータ分析の学びが大切になるとも言えます。

坂巻先生:情報科学や統計学といった手法を用いてアルゴリズム開発・実装を行う人もいれば、データサイエンティストと共同し分析データを用いて新規事業を考える人など、個々のスキルによって業務の幅は異なります。

そのため、やりたいことに合わせて、それぞれの人がどのようにデータサイエンスを利用するかがポイントになります。

実データを用いて実践的なスキルを身につけられる「D-STEP」の魅力とは?

ーー前提の話になってしまいますが、まず最初にD-STEPを立ち上げた経緯を教えていただけますでしょうか。

坂巻先生: IoT活用に伴いデータ分析の需要が拡大している一方で、データサイエンティストは不足しています。

統計学などのデータサイエンスの知識とマーケティングなどの分野特化型の知識(ドメイン知識)の複合的なスキルが必要であるため、データサイエンティストの育成には時間とコストがかかるからです。

本学は2018年にデータサイエンス学部を開設し、産学官連携の人材育成プログラム「D-STEP」をスタートさせました。D-STEPは1年間の課題解決型演習を通じて、実践的なスキルをもったデータサイエンティストを育成する役割を担っています。

未経験の方でも、高校レベルの数学知識があって根気よく取り組める方なら、Aコース(1年間)を受講いただくことで、それぞれの現場で活躍できるデータサイエンティストへ成長することが期待できます。

そのために、リメディアルとして、大学レベルの知識に関するe-learningも提供しています。

編集部からの補足

D-STEPのコースは、通年のPBLで課題発見・解決までの一連のプロセスを学ぶ「Aコース」と、データ分析に特化し数理的基盤を前提とした「Bコース」、短期間でデータサイエンスに関する基礎知識や活用手法を2日間で学ぶ社会人向け「Cコース」を含めた3種類。

A,Bコースは前期と後期からなる通年のプログラムで、データサイエンスの基礎知識と応用テクニックを段階的に学習できます。

実際にデータサイエンティストとして活躍されている方をお招きしたりもするそうです。

ーーなるほど。データサイエンティストの育成講座や教材は他にもあると思うのですが、「D-STEP」で学ぶ魅力とはずばり何でしょうか?

坂巻先生:D-STEPの魅力は、現場ですぐに実践できるスキルを習得可能な点です。

実社会で活躍できるデータサイエンティストを一人でも多く育成することを最優先に考え、企業や行政からいただいたデータをもとにPBL演習(課題解決型学習)の講義を行っています。

座学に終始することなく、実社会で活きるデータサイエンスのスキルを習得できることがD-STEPの強みだと思います。

▼D-STEPが提供する実課題解決プロセスに応じた講義や演習

D-STEPが提供する実課題解決プロセスに応じた講義や演習

田栗先生:私が担当した行政課題解決のPBLでは「市民税の滞納未回収額の減少」というテーマを取り扱いました。

ある架空の自治体では、職員が市民税滞納者に電話をかけて支払いを呼びかけていますが、その際にデータは活用されておらず、滞納未回収額が多いことが課題となっているという設定です。

受講生には、電話をかけた曜日や時間帯、滞納者の年齢・性別・居住地といったデータを分析し、電話の応答率を上げ滞納未回収額を減少させるための課題解決策を提案してもらいます。

社会人、社会科学を専門とする学生、理工学を専門とする学生と様々なバックグランドの受講生を含めてグループワークを実施することで、実践の中でお互いを理解し、それぞれの強みを活かし高める能力を養うことも意図しています。

このように、解決が要請されている現実の課題に対して、データを活用し、グループでどのように解決するのかを、演習を通じて学びます。今後はある社団法人のプロモーションなど、異なる課題をテーマとした演習も実施予定です。

小泉先生:私が担当するビジネス課題解決のPBLは、実際に企業から提供されたデータを用いた演習が中心となります。購買データ、出荷数データなどの詳細なデータを活用して、業務改善や新規事業に向けた提案を行うなど、より自由な課題解決策の提案や発展的なデータ分析手法が求められる演習となっています。

前期と後期で向き合う課題の抽象度と必要な分析スキルが段階的に上がっていくため、データサイエンティストに必要なスキルが段階的に学べます。

D-STEPの受講者の傾向|今後受けてもらいたい方へメッセージ

ーー今D-STEPを受けている受講者の特徴を教えていただけますでしょうか。また、どのような方に受講してほしいかも合わせて教えてください。

田栗先生:D-STEPは今年で2期目になるのですが、受講生の多くは学生です。(受講生 35名(2019年)57名(2020年)計92名のうち1期生(2019年)は4名、2期生(2020年)は8名が社会人)

D-STEPでは、現実の社会問題を取り扱うグループワークの機会があり、社会人の方がビジネス現場の経験を持って参加されることは学生にポジティブな影響を与えています。

問題意識のある社会人の方にとっても、データで解決できる問題の理解、分析技術の実践、異なるスキルをもった人との共同作業など、様々なスキルを習得する良い機会にD-STEPはなっていると思います。今後もより多くの社会人の方にご参加いただきたいと考えています。

坂巻先生:田栗先生が言うように、データサイエンスは現実の社会問題やビジネス課題が必ず関係します。学生だけでなく、それぞれが持つ課題を解決するためのスキルを身につけたいという社会人の方にもぜひ受講していただきたいです。

マーケティング、医療、スポーツ、マテリアルやものづくりなど、データサイエンスが浸透している領域だけでなく、これからデータサイエンスを活かそうという領域の人にもぜひ参加してもらいたいです。

小泉先生:「データサイエンスに興味があるが、なんとなく一歩踏み出せない」という人にも来てもらいたいです。

D-STEPに参加することで、データサイエンスや様々な領域の専門家との関係を作れます。そうした専門家と出会える入り口として利用していただくということも嬉しいです。

ーー社会人が参加することでそうしたメリットも生まれるのですね。
D-STEPやデータサイエンティストについて、非常に勉強になりました。先生方、本日は誠にありがとうございました。

実課題を解決するためのデータサイエンスを0から学びたい、さらなるスキルを身につけたいという方はD-STEPを受講してみましょう。

詳細はこちら|公式HPへ

ご略歴

坂巻先生の近影お写真

坂巻 顕太郎(さかまき けんたろう)
横浜市立大学 データサイエンス推進センター 特任准教授

東京大学医学部卒、同大学院にて博士号取得(保健学)。専門は生物統計学(医療統計学)、疫学、予防医学。臨床試験のデザインや解析など、医療分野における統計手法の研究やその応用を行っている。

田栗先生の近影お写真

田栗 正隆(たぐり まさたか)
横浜市立大学 大学院データサイエンス研究科 教授

東京大学医学部卒、同大学院にて博士号取得(保健学)。専門は生物統計学(医療統計学)、疫学・予防医学。医療技術、医薬品開発などに貢献する数々の研究を行っている。

小泉先生の近影お写真

小泉 和之(こいずみ かずゆき)
横浜市立大学 大学院データサイエンス研究科 准教授

東京理科大学助教、横浜市立大学国際総合科学部物質科学コース助教を経て、現職。漸近論を中心とした理論統計学を専門としているが、様々な分野における統計学・機械学習などの応用研究なども積極的に行っており、スポーツデータ解析の分野などでも活動している。博士(理学)。

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