コミュニケーション不足や長時間労働。私たちは今後、テレワークとどう向き合うべきなのか

京都先端科学大学のキャンパス風景
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テレワークが急速に普及し、私たちの働き方は劇的に変化した。場所に縛られない自由な働き方によって、結婚や出産などライフスタイルが変化してもキャリアを継続しやすくなった人もいるだろう。

しかし、その反面多くの企業が組織内のコミュニケーション不足に直面している。コミュニケーションが減ると、人間関係の希薄化や愛社精神の減少といった悪影響をも招く。

テレワークがスタンダードな働き方として定着しつつある今、私たちはこうした課題をどう乗り越えていけばよいのだろうか。テレワークの研究に取組む、京都先端科学大学経済経営学部の安達 房子教授にお話を伺った。

京都先端科学大学 安達先生のプロフィール写真

話を聞いた人
京都先端科学大学 経済経営学部 教授
安達 房子(あだち ふさこ)

テレワーク実施で浮き彫りになったコミュニケーション不足の課題

テレワークでオンライン会議に参加する男性

ーー「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する 調査」によれば、2020年に入ってから企業の半数近くがテレワークを実施しているようです。
テレワーク実施率が飛躍的に上がる一方で、見えてきた課題も多いと思いますがいかがでしょうか?

テレワーク実施企業で働く人に対して内閣府が実施した調査では、コミュニケーションに関する課題が多かったです。従業員同士の雑談や気軽な相談、取引先との打ち合わせや交渉など、さまざまな場面でコミュニケーションの課題が浮き彫りになったと言えるでしょう。

内閣府『新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査』

出典) 内閣府『新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査』内閣府政策統括官、2020年6月

対面でのコミュニケーションが減ると、上司は部下の業務進捗を把握しづらくなります。成果までのプロセスや日々のタスクが分からないので、人事評価が難しくなります。

また、誰とも顔を合わせずに働く時間が長期化すると、部下は悩みや不安を一人で抱えるようになるんです。テレワークだと上司の様子が分からないので、オフィス勤務のように「ちょっといいですか?」と気軽に質問することができない。そのため、部下は「こんな相談をして良いのだろうか」と余計に気を遣い、悩みや疑問を相談しづらくなってしまいます。

ーーコミュニケーション不足は、従業員のメンタルにも影響を及ぼすということですね。

そうなんです。社会との接点や人とのつながりが薄れ、孤独や不安などストレスを強く感じやすくなります。さらに社員同士の連携も弱まり、会社への忠誠心や一体感が失われてしまうかもしれません。テレワークにおけるコミュニケーション不足の課題は山積みで、通常勤務に戻したり、コミュニケーション活性化の施策に力を入れる企業も増えています。

テレワーク下でのコミュニケーション不足の対策として、ZoomやMicrosoft Teamsなどリアルタイムで会話ができるオンライン会議ツールを活用するとよいでしょう。

朝の業務開始時と退勤時に業務進捗状況の報告を徹底する企業もあります。その他にもオンライン部活動を行ったり、企業によって対策の仕方はさまざまですね。

テレワークは長時間労働になりやすい

在宅勤務をする女性

ーーテレワークの課題として「長時間労働になりやすい」という点もあると思うのですが、企業ではどんな対策を行っているのでしょうか?

休日・深夜労働を原則禁止にし、長時間労働を減らすための取組みを行う企業も増えているように感じます。

テレワークは、仕事とプライベートを切り替えるのが難しいんです。やり残した業務を就業時間外に進めたり、寝る直前までメールチェックしたり、1日中仕事をしている状態にもなりかねません。時間やタスク管理がルーズになれば当然、業務の質は落ち生産性も下がりますよね。

今後は「自己管理能力」の高い人材が求められる

ーーテレワークが浸透していく中で、企業にはどのような対策が必要ですか?

場所や時間にとらわれない働き方へ対応しつつ、組織の生産性をアップさせるような仕組みに変化せざるを得なくなるといえます。

組織の生産性アップのために、社員が納得する明確な評価基準を設定する企業もあります。例えば、誰がどれぐらいの仕事量を抱えているのか、会社で決めた行動基準を満たしているかなど、業務管理の強化やマネジメントする際の工夫が必要です。

テレワークでもオフィスと同じ生産性を発揮するには、自己管理能力を高めることが必要不可欠です。健康や時間管理、モチベーションの維持など、全て自分でコントロールできるようになれば、「生産性が下がる」「従来通りのパフォーマンスを維持できない」という課題はクリアできます。

ーー社員の評価基準が変わることによって、企業では今後どのような人材が求められるようになると思いますか?

やはり、自己管理できる人ではないでしょうか。テレワークはオフィス勤務に比べ、個人の裁量が大きくなる働き方です。

成果重視の人事評価を取り入れた企業が増えており、決められた労働時間の中で高い成果を出すことが求められています。長時間働いている人や勤続年数が長い社員を高く評価する、という日本企業の古い風習を変えざるを得ない状況です。

テレワークや在宅勤務の実施条件として「自分で仕事を完結させられる」というルールを設けている企業があるほど、自己管理能力は重要なビジネススキルです。また、これからは、データ入力や請求書作成など定期的に発生する単純作業はどんどん自動化されていくでしょう。

社会情勢や企業フェーズが目まぐるしく変化する中で、自分のスキルや経験値を客観視しながらキャリアの軸を作っていかなければなりません。これまでの習慣や固定観念に縛られず、会社の変化にも柔軟に対応できる行動力も求められていくと思います。

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