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現場能力を高め、社会で活躍できる人材を。日本薬科大学の漢方アロマコースを通じて得られるものとは

秩父研修

「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神に掲げる日本薬科大学。専門性高く創造性豊かな人材の養成を目指し、様々な取組みを実践しています。

今回は数ある取組のなかから「漢方アロマコース」について、日本薬科大学の新井さんにお話を伺いました。

新井一郎(あらい いちろう)さん

大学院研究科長・教授/薬学部 教授

株式会社ツムラにおいて漢方薬の研究開発を経験。 現在は漢方を中心とする薬学教育、漢方・統合医療に関する研究、漢方・統合医療の学会や医学雑誌における学術活動、伝統医学に関するWHOアドバイザー、中国医学に関する国際標準化の日本代表として活躍している。

ライフスタイルに合わせて選べる3つのコース

座学講座

ーまず、漢方アロマコースとはどのような講座なのでしょうか?

漢方アロマコースは、文部科学大臣の認定を受けたプログラムです。 「日本薬科大学実践力育成プログラム(BP)」という名の通り、漢方アロマについて実践的な知識を体系的に学べます。

社会人のスキルアップや学び直し、女性の活躍支援を目標に、現在第5期が開講されています。2021年度も以下の3コースを開講予定ですので、自分のライフスタイルにあわせてコースを選べますよ。

  1. 漢方アロマコース(フルコース)・・・120時間以上
  2. 漢方アロマコース(短期)・・・・・・60時間以上
  3. 漢方アロマコース(e-learning)・・・60時間以上

ー開講に至った背景をお聞かせください

平成27年度に政府が掲げた「一億総活躍社会」に向けた取り組みとして、文部科学省から「職業実践力育成プログラム」の募集が開始されました。 本学もその取組みに賛同し、何らかのプログラムを開講したいと考え、長年注力してきた漢方にフォーカスを当てることにしました。

ただ、漢方に関する社会人教育、専門教育は、他にもありますので、アロマセラピーやヨガ、西洋ハーブ、薬膳、健康食品、鍼灸、マッサージなど、皆さんが興味を持ってはいるが、近づきにくく、正しい知識を得にくい統合医療と呼ばれる分野のものも数多く加え、総合的な講座としました。

文部科学省の認定要件として「実務に関する知識、技術、技能」がありましたので、即戦力人材を育成できるプログラムを意識しました。

薬剤師や医師、看護師も含め、医療関係者は実は漢方にあまり詳しくないんです。大学医学教育に正式に漢方が取り入れられたのは2001年からですから、40歳以上の医師は漢方について大学で学ぶ機会がなかった世代といえます。
薬学部においても、以前は、漢方は、原料の植物(生薬)とその化学成分を中心とした教育が行われてきましたが、2013年から、漢方教育は、薬物治療に重点をシフトするようにカリキュラムが改定されました。そのため、薬剤師の方々も、漢方薬を用いた医療に詳しい方が少ないのが現状です。

患者さんは、実際に使われている漢方や、アロマセラピーやヨガ、健康食品などのことを、医療者に話さないという報告があります。その理由は、医療者が、これらについての知識がないため、話も聞いてもらえず、全面的に否定されてしまうからです。

こういった講座を通じて、実体を理解し、現場能力を鍛えることは大きな意味があるはずです。医療関係者はもちろん、薬学の知識を持たない方も、本講座を体験することで、より社会で活躍できる人材に近づけると確信しています。本講座を受けられた方の中には、国家資格を取って統合医療に向き合うために、鍼灸学校に進まれた方が何名もいます。

実習を通じて鍛えられる現場能力

ー講座の特徴はどういった点ですか?ほかの漢方スクール(講座)との違いも教えてください

実習がとても多いという点ですね。たとえばフルコースの場合、130時間のうち約半分にあたる62時間が実習です。 体験でしか得られない気付きを得たり、面白さを味わえたりするのが本コースの一番の魅力だと思います。
世の中に漢方スクールは多数ありますが、体験授業をこれだけ提供しているのは本学だけではないでしょうか。

アロマテラピー実習フット手技指導

ただ、現在は、昨今の状況をふまえオンライン講義を増やしており、今後は、実習を行うのは難しくなってくるかもしれません。しかし、このことを逆に利用して、次年度からは、講師を日本中、世界中に広げたいと考えています。家で、外国の専門家の講義をオンラインで受けられ、質問もできるというのは、魅力的ではないでしょうか。
実習ができない状況下においても、より専門性が高く充実した学びを提供できるよう、工夫を凝らして学習の質を維持したいと考えている次第です。

また他講座との違いとして、大学が提供するという安心感・信頼感は大きいかと思います。 トップクラスの専門性を持った信頼できる公的機関や大学の研究者、一流企業の方々を交え、民間スクールとは一線を画した学びを得られるでしょう。
内容が極端に難しいということもないため、大いに活用していただけるのではないでしょうか。

ーこの講座はどのような方におすすめですか?

シンプルに「漢方や統合医療に興味がある人」に尽きるかと思います。 薬剤師、看護師、医師といった医療関係者はもちろん、プログラム内容に魅力を感じる方はどなたでも歓迎ですよ。
ただし本コースは漢方や統合医療の入門コースとして位置づけているため、深く専門的な知識を学びたい方は逆におすすめできません。

例えば漢方の流派は数多くあり、民間の講座はほとんど、その1つだけを「正しい」として教えるものです。しかし。本コースでは、漢方に関する考え方は、いくつもあることを教えますが、どれが自分の求めるものとして適しているかは、受講生の方々に判断いただきます。知識をフラットな視点で提供していますので、あくまで「学びの入口」としてとらえていただければと思います。

薬剤師の場合、漢方を学ぶことで患者さんへのアドバイスに幅が出るなど現場能力の向上に繋がります。 また普段の業務で漢方を専門としていなくても、新たな知識を獲得して損をすることはありません。

より専門性の高い薬剤師として活躍の幅が広がるのではないでしょうか。

受講生自身が「気付き」を得られる場に

薬局実習

-最後に、漢方に興味を持つ薬剤師に向けてメッセージをお願いします

本学では西洋と東洋を融合した「統合医療」の実現を目指しています。

漢方アロマコースでも西洋東洋ともに尊重しているため、セットで理解を深められるでしょう。特定の医学に偏らずフラットに学ぶなかで、受講生自身が「気付きを得る」ことを促しています。

漢方は、教わったことをそのまま受け売りする学問ではありません。学んだ内容を自身で判断し、実践を通じて知識を昇華させて、はじめて漢方を学んだといえるでしょう。

本学の漢方アロマコースを受講し、何かしらの「気付き」を得ることができましたら幸いです。

日本薬科大学漢方アロマコースの公式ホームページはこちら
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