マンション売却の税金

2020-10-23

マンション売却にかかる税金はいくら?パターン別シミュレーション

住み替えや相続した物件を手放すなど、マンションの売却を予定中の人もいるでしょう。

売るからには、予め売却にかかる費用や税金などがどのくらいかかりそうかを把握し、無駄な支出をおさえたいもの。

なかでも税金については、売却の時期や控除などによって支払う税金の金額や手元に残るお金に大きな違いが出ることも…。

マンションの売却にかかる税金について、パターン別のシミュレーションも紹介しながら、わかりやすく解説します。

目次

    マンションの売却にかかる税金と支払うタイミング

    マンションを売却した場合には、どんな税金が、どんなタイミングで、いくらくらいかかるのでしょうか。見ていきましょう。

    ▼マンション売却で負担する税金と支払うタイミング
    税金の種類 内容 支払いタイミング
    所得税 不動産を売却し、譲渡所得(利益)が出た場合にかかる所得税 原則として売却した翌年の
    2月16日~3月15日
    復興特別所得税 東日本大震災の復興財源確保のための税金で、所得税額に2.1%が上乗せされる。2037年までの特別措置 原則として売却した翌年の
    2月16日~3月15日
    住民税 不動産を売却し、譲渡所得(利益)が出た場合にかかる住民税 売却の翌年の
    6月以降
    印紙税 売買契約書を作成した場合に課される国税。記載された金額に応じた収入印紙を貼付する 売買契約成立時
    登録免許税 登記内容を変更する際、国に払う税金。売主は抵当権抹消の登記費用を負担する 引き渡し時

    譲渡所得と譲渡所得にかかる税金の計算方法

    マンションを売却して得た利益(譲渡所得)にかかる税金(譲渡所得税)は、譲渡所得に税率を掛けて計算します。

    譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率

    譲渡所得の計算

    譲渡所得は、マンションを売却した価格ではなく、そのマンションを購入したときの価格やマンションの売却にかかった費用や仲介手数料などを差し引いて計算されます。

    譲渡所得の計算式は、以下の通りです。

    譲渡所得の計算式

    1. 譲渡価格…不動産の売却価格+固定資産税等精算金
    2. 取得費…不動産を購入した時の金額
    3. 譲渡費用…不動産の売却にかかった費用、仲介手数料などが該当
    4. 特別控除…不動産の売却に対する特別控除など

    1の譲渡価格は、マンションを売却した価格に「固定資産税等精算金」を足した金額になります。

    固定資産税等精算金とは、不動産を引き渡した日から、その年の12月31日までの固定資産税相当額のことです。

    本来、固定資産税は1月1日時点の所有者に納税義務があります。

    しかし、所有していないマンションの固定資産税を支払うのは、おかしな話です。

    そこで、事前に買主と話し合いをし、引き渡し日以降の固定資産税相当額を受け取り、それを固定資産税等精算金として譲渡価格に含めます。

    2の取得費は、売却するマンションを買った時にかかった金額です。

    3の譲渡費用は、不動産を売却するために直接かかった費用で、売却仲介手数料や売主が負担した印紙税、土地の再測量代などが該当します。

    4の特別控除については、後ほど「4.マンション売却の控除や特例」の見出しで説明します。

    なお、譲渡所得の計算については、こちらの記事「不動産売却の税金について税理士が解説!損しないためのポイントとは?」で詳しく説明していますので、そちらもお読みいただければと思います。

    税率をかける

    譲渡所得税は、譲渡所得に税率を掛けて算出します。このときに掛ける税率は、マンションを所有して期間によって変わります。

    ▼マンションの譲渡所得の税率
    区分 所有期間 税率
    短期譲渡所得 5年以下 39.630%
    (所得税・復興特別所得税:30.63%、住民税:9%)
    長期譲渡所得 5年超 20.315%
    (所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税:5%)
    10年超所有軽減税率の特例 ①譲渡所得金額 6000万円以下の部分
    14.21%
    (所得税・復興特別所得税:10.21%、住民税:4%)
    ②譲渡所得金額 6000万円超の部分
    20.315%
    (所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税:5%)

    マンションの譲渡所得の税率については、こちらの記事「不動産売却の税金について税理士が解説!損しないためのポイントとは?」で詳しく説明していますので、あわせてお読みください。

    譲渡所得税:原則として売却した翌年の2月16日~3月15日

    譲渡所得税は、マンションを売却して利益(譲渡所得)が出た場合に、譲渡所得に対して課税される税金です。

    譲渡所得税については、原則として土地を売却した翌年の2月16日~3月15日に確定申告をして、納める必要があります。

    税率は、マンションの所有期間によって異なります(上記「マンションの譲渡所得の税率」参照)。

    住民税:売却した翌年の6月以降

    住民税とは、都道府県や市区町村が行う行政サービスの維持に必要な費用を住民が分担して支払う税金です。

    不動産を売却して譲渡所得が出た場合にも住民税が課税されます。

    マンション売却で住民税を支払う必要がある場合は納付通知書が送られてくるので、決められた期日までに支払いましょう。

    税率は、譲渡所得同様、マンションの所有期間で異なります(「マンションの譲渡所得の税率」参照)。

    復興特別所得税:原則として売却した翌年の2月16日~3月15日

    復興特別所得税は、2011年に発生した東日本大震災の復興に必要な財源の確保を目的とした税金です。

    2013年1月1日から2037年12月31日までの間、譲渡所得税額の2.1%分が課税されます。

    復興特別所得税は、譲渡所得税と一緒に、原則としてマンションを売却した翌年の2月16日~3月15日に納めることが必要です。

    印紙税:売買契約の時

    印紙税は、課税文書にかかる税金で譲渡所得が出ていなくてもかかります。

    マンション売却の場合には、売買契約書に書かれた金額に応じた収入印紙を貼付することで納税します。そのため、契約書を作成したときに支払うことになります。

    なお、平成26年4月1日から令和4年3月31日までに作成される「不動産譲渡契約書」については、契約書に記載された金額が10万円を超えるものの印紙税の税率が軽減されます。

    軽減後の税額は下記の通りです。

    ▼印紙税 軽減後の税額
    記載された契約金額 税額
    10万円を超え
    50万円以下のもの
    200円
    50万円を超え
    100万円以下のもの
    500円
    100万円を超え
    500万円以下のもの
    1千円
    500万円を超え
    1,000万円以下のもの
    5千円
    1,000万円を超え
    5,000万円以下のもの
    1万円
    5,000万円を超え
    1億円以下のもの
    3万円
    1億円を超え
    5億円以下のもの
    6万円
    5億円を超え
    10億円以下のもの
    16万円
    10億円を超え
    50億円以下のもの
    32万円
    50億円を超えるもの 48万円

    登録免許税:引き渡し時

    「登録免許税」は、マンション等の不動産の売却による所有権の移転に伴う不動産登記を行うときに支払う税金です。

    住宅ローンなどを利用して不動産を購入した場合には、金融機関による抵当権が設定されます。

    ですが、不動産を売却する際には、何の権利も設定されていない状態の不動産を買い主に引き渡す必要があります。

    そのため、売主の負担と責任で抵当権抹消登記を行うことが必要です。

    また、登記簿上の所有者の住所と現在の所有者の住所が異なる場合には「住所変更登記」、登記簿上の所有者の氏名と現在の所有者の氏名が異なる場合には「氏名変更登記」が必要になります。

    これも売主の負担で行うことが必要です。

    つまり、登録免許税は、譲渡所得が出ていても出ていなくてもかかる税金です。

    マンション売却によるマンションの所有権の移転登記にかかる登録免許税は、

    固定資産税評価額 × 20/1000

    ですが、令和3年3月31日までに登記を受ける場合には、軽減税率が適用され

    固定資産税評価額 × 15/1000

    となります。

    なお、長期優良住宅や認定低炭素住宅に該当する場合等は更に軽減されることがあります。

    マンション売却に消費税はかかる?

    私たちが買物をした場合には、消費税がかかります。

    そのため、「マンションを売却した場合にも消費税がかかるの?」と思う人もいるかもしれませんね。

    基本的に、消費税はすべての物品やサービスを対象とします。ですが、会社員などの個人がマイホームなどを売却する場合には、消費税は課税されません

    ただし、下記のようなサービスには消費税が課税されます。

    • 不動産会社の仲介手数料
    • 融資を受けた場合には一括繰り上げ返済手数料
    • 抵当権抹消や所有権移転登記を依頼した場合の司法書士報酬

    これらは消費税の対象となるので、マンション売却の税金や費用を見積もる際には忘れないようにしましょう。

    税金がかかる場合と、かからない場合の違い

    マンションを売却した場合、どんなケースでも同じ税金がかかるわけではありません。というのは、利益(譲渡所得)が出たか、出ないかによってかかる税金の種類が異なるからです。

    どんな場合にどんな税金がかかるのかをおさえておきましょう。

    売却益の有無による税金の違い

    利益が出た場合にかかる税金

    マンションを売却して利益(譲渡所得)が出た場合にだけかかる税金には、所得税(譲渡所得税)、住民税、復興特別所得税があります。

    それぞれの税金についての詳細は「マンションの売却にかかる税金と支払うタイミング」をご覧ください。

    利益が出た場合にだけかかる税金
    利益が出たらかかる 譲渡所得税
    住民税
    復興特別所得税

    利益が出ない場合にもかかる税金

    マンションを売却したものの、利益が出なかった場合でも、印紙税や登録免許税は必ずかかります。詳細は「マンションの売却にかかる税金と支払うタイミング」をお読みいただければと思います。

    利益が出ても出なくも必ずかかる税金
    必ずかかる税金 印紙税
    登録免許税

    どのくらいの税金がかかる? [簡易的なシミュレーション]

    では、どのくらいの税金がかかるのかを簡易的にシミュレーションしてみましょう。

    10年前に取得した中古マンションを売却しました。譲渡所得の計算方法を教えてください。(特別控除の適用はないものとします。)

    (譲渡の内容)
     譲渡価額          1億3,000万円
     譲渡費用(仲介手数料等)     700万円
    (取得時の内容)
    取得価額 1億2,000万円(うち土地9,000万円)

    〈譲渡所得の計算〉

    ・取得費の計算

    非業務用の建物の減価償却費の計算式は以下です。

    建物の取得価額x0.9x償却率x経過年数(6カ月超は1年に切り上げ)= 減価償却費相当額

    上記に当てはめると、取得費は以下のようになります。

    建物 3,000万円×0.9×0.015(鉄筋造)×10年=405万円 ・・・ 減価償却費

       3,000万円 - 405万円 = 2,595万円 ・・・建物の取得費

    土地 9,000万円

    合計 1億1,595万円

    ・譲渡所得の計算

     譲渡価額 1億3,000万円

     -(取得費1億1,595万円+譲渡費用700万円)=705万円

    ・譲渡所得に対する所得税の計算

     所得税 705万円×15.315%(復興特別所得税含む)= 107万9,700円

     住民税 705万円×5%              = 35万2,000円

    <譲渡所得の計算:取得時の価額が不明の場合>

    取得時の価額が不明な場合、譲渡価額の5%を取得費として計算することができます。その場合の計算は次のとおりです。

    ・取得費の計算

     譲渡価額 1億3,000万円 × 5% = 650万円

    ・譲渡所得の計算

     譲渡価額 1億3,000万円 - (取得費650万円+譲渡費用700万円)

     = 1億1,650万円

    ・譲渡所得に対する所得税の計算

     所得税 1億1,650万円×15.315%(復興特別所得税含む)= 1,784万1,900円

     住民税 1億1,650万円×5%              =  582万5,000円

    マンション売却の控除や特例

    マンションを売却して利益(譲渡所得)が出た場合には、「譲渡所得税」という大きな税負担が発生します。ですが、控除や特例などを利用することによって節税することも可能です。

    マンションの売却で利用できる控除には、下記のようなものがあります。

     
    マンションの売却で利用できる控除や特例制度と、その併用
    制度 併用可能な制度
    (A) 3000万円の特別控除 C
    (B) 特定居住用住宅の買換え特例 -
    (C) 10年超所有軽減税率の特例 A
    (D) マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 E
    (E) 住宅ローン控除 D

    ここでは、マンション売却で利用できる控除について詳しく説明していきます。

    3000万円特別控除

    マイホームを売却した場合には、そのマンションを所有していた期間の長短に関わりなく、譲渡所得から最高3,000万円までを控除することができる特例(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)があります。

    例えば、マンションを売却して1500万円の譲渡所得が発生したとしましょう。この特例を適用することによって[1500万円-3000万円=-1500万円]となるため、譲渡所得税がかからない計算です。

    この特例を受けるには、さまざまな要件を満たす必要があります。「不動産売却にかかる税金」で詳しく説明しているので、そちらをご覧ください。

    マンション売却には「空き家」の特別控除は使えない

    また、これをお読みの方の中には、ニュースなどで「2016年4月1日から2023年12月31日までの間は、親が住んでいた自宅を相続した『空き家』を売る場合にも、この特例(「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」)の適用を受けることができる」と見聞きした人もいるかもしれません。

    ですが、この特例はマンションの一室のような「区分所有」の物件は対象とされていません。そのため親が住んでいたマンションを売却する場合には、「空き家」に係る特別控除の特例は適用されません

    相続から3年以内の売却なら「取得費加算の特例」が使える

    ただし、相続したマンションを相続から3年以内に売却した場合には、相続税額のうち一定金額を譲渡資産(売却したマンション)の取得費に加算できる特例(取得費加算の特例)は適用できます。「取得費加算の特例」については、「土地売却にかかる税金」で詳しく説明していますので、そちらをお読みください。

    マイホームの買換え特例(特定の居住用財産の買換えの特例)

    令和3年(2021年)3月31日までにマイホーム(特定の居住用財産)を売り、代わりのマイホームに買い換えた場合には、一定の要件を満たすと譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができる特例を適用できます。

    この特例の適用を受けるには、売却する不動産だけでなく、買い換える不動産も一定の要件を満たす必要があります。詳細については、「不動産売却にかかる税金」と国税庁のWebサイトを確認してください。

    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm

    ちなみに、マイホームの買換え特例は、譲渡所得に課税するタイミングを将来に先送りするものであり、税金の控除を受けられるものではありません

    つまり、将来マイホームを売ったときや、マイホームを相続した子や孫が売ったときに課税されることになります。のちのち自分や子、孫が後悔しないためにも、よく検討したうえで利用するかどうかを判断したほうがいいといえそうです。

    買換え後の住宅ローン控除

    マンションを買い換える場合、買い換えるマンションの購入に住宅ローンを組むケースもあるでしょう。その場合には、住宅ローン控除を利用することができます。

    ちなみに、住宅ローン控除は、個人が住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合などに、原則として住宅ローンの年末残高の1%を所得税額から控除できるものです。詳しい説明は、国税庁のタックスアンサーをお読みください。

    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1214.htm

    大きな節税効果が期待できる住宅ローン控除ですが、先ほど紹介した3000万円特別控除と併用することはできません。マンションを買い換える場合には、予めどちらを使うかを比較検討する必要があるのです。

    売却で損が出た場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除

    居住用マンションを売却した年の1月1日時点で所有期間5年超で、譲渡損失が出た場合には、譲渡損失の損益通算や繰越控除ができます

    これは「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」と呼ばれるもので、譲渡損失を給与所得などと損益通算することで、給与所得に課税されるはずだった税金が戻ってきます。1年で相殺しきれなかった場合には、3年に渡って繰越控除することが可能です。

    ただし、利用するには、以下の一定の要件を満たす必要があります。

    • 合計所得金額が3000万円以下の年のみ適用可能
    • 売却の前日に返済期間10年以上の住宅ローン残債がある
    • マイホームの売却価格が住宅ローン残高を下回っている

    なお、売却後の住まいに制限はなく、賃貸住宅や実家に引っ越す場合にも利用できます。

    その他の特定の要件別の控除の例

    10年超所有の軽減税率の特例

    所有期間が10年超のマンションを売却した場合には、長期譲渡所得(5年超)の税額よりも低い軽減税率が適用される特例があります。

    この特例では、譲渡所得6000万円以下の部分は税率が14.21%(所得税・復興特別所得税:10.21%、住民税:4%)です。6000万円を超える部分については、長期譲渡所得と同じで税率は20.315%(所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税:5%)になります。

    ただし、この特例を受けるには一定の要件を満たす必要があります。詳細は「不動産売却にかかる税金」で紹介しているので、目を通してください。

    パターン別に税金をシミュレーションしてみよう

    「特定居住用財産の買換え特例」を使ったパターン

    12年前に取得したマンションを売却して、9,500万円で新たにマンションを購入しました。「特定居住用財産の買換え特例」を適用した場合、譲渡所得税はいくらになるか教えてください。

    (譲渡の内容)
    譲渡価額        9,000万円
    譲渡費用(仲介手数料等)  400万円

    (取得時の内容)
    取得価額 8,000万円

    説明を簡潔にするために減価償却は考慮していません

    【結論】買換え時の譲渡所得は「なし」と見なされる、譲渡所得税はゼロ

        ただし、将来に引き継がれる取得価額は8,900万円

    「特定居住用財産の買換え特例」を適用した場合、一定の要件を満たすと譲渡所得に対する課税を将来に繰り延べることができます

    〈譲渡所得の計算〉

    譲渡代金 9,000万円 ≦ 買換資産の購入金額 9,500万円

    マンションの譲渡価額よりも、買い換えたマンションの購入価格のほうが高いため、譲渡がなかったものとみなされます。そのため、この時点での譲渡所得税はゼロとなります

    また、譲渡益全額が新たに購入したマンションを譲渡(売却)するまで繰り延べられます。

    将来に引き継がれる取得費は下記の式で計算されます。

    (譲渡資産の取得費+譲渡費用)+(買換資産の購入代金-譲渡代金)

    (売却するマンションの取得費8,000万円 + 譲渡費用400万円)

    +(買換えるマンションの購入代金9,500万円 - 譲渡代金9,000万円)

    = 8,900万円

    マンションの買換えで損失が出たパターン

    25年前にマンションを購入して住んでいましたが、2020年に2,000万円で売却。新たに住宅ローンを利用して新築のマンションを購入しました。売却したマンションの取得費は3,500万円、譲渡費用は100万円でした。なお、譲渡した年の給与所得は500万円、翌年は550万円、翌々年は600万円であるものとします。

    【結論】2020年と2020年は所得税がゼロ、2022年は課税所得額が50万円に

    マイホームを売却して買換えていることに加え、売却をして譲渡損失が出ているため、「マイホーム(特定居住用住宅)の買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」を適用できます。

    〈譲渡損失の計算〉

    譲渡所得(損失)と、損益通算の効果を見ていきましょう。

    住宅の取得費は3500万円、譲渡費用は100万円、そして譲渡価格は2000万円です。

    ここから計算式は

      2,000万円 – (3,500万円 + 譲渡費用100万円)  = 1,600万円

    となり、譲渡損失は1,600万円となります。

    〈繰越控除の効果〉

    譲渡した年(2020年)の給与所得は500万円、翌年は550万円、翌々年は600万円です。1年だけでは譲渡損失を相殺仕切れないため、2021年、2022年も繰越控除を行うことができます。

      2020年:  500万円 - 1,600万円=  繰越損失▲1,100万円

    所得税はゼロとなり、控除しきれない1,100万円は翌年へ繰越されます。

      2021年:  550万円 -1,100万円=  繰越損失▲550万円

    この年も所得税はゼロとなり、控除しきれない550万円は翌年へ繰越されます。

      2022年:  600万円 - 550万円=  課税所得50万円

    この年は所得税が課税されるものの、課税所得は50万円となり、所得税をかなり抑えられることになります。

    相続したマンションを売却するパターン

    昨年相続により取得したマンションを譲渡しました。

    (相続税の申告内容)
    相続により取得した財産  1億円(うちマンションの価額3,000万円)
    納付した相続税額    800万円

    (譲渡の内容)
    譲渡価額              5,000万円
    取得費(購入額不明のため譲渡価額の5%) 250万円
    譲渡費用(仲介手数料等)    100万円

    相続により取得した土地建物は被相続人が5年超保有していたとする

    【結論】譲渡所得税は895万8,900円

    〈取得費に加算する相続税額の計算〉

    相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに、相続で取得した不動産を譲渡した場合には、取得費に一定の相続税額を加算して譲渡所得を計算することができます

    ちなみに、取得費に加算する相続税額は次の算式によって計算されます。

    このパターンでは、相続で取得した財産は1億円、このうちマンションの相続税課税価額は3,000万円、納付した相続税額は800万円です。ここから取得費に加算する相続税額は

    (800万円 × 3,000万円) / 1億円 = 240万円

    となり、240万円であることがわかります。

    〈譲渡所得の計算〉

    次に、譲渡所得を計算します。

    譲渡価額は5,000万円、取得費は購入価額がわからないため、譲渡価額の5%にあたる250万円とします。そして、ここに上記の240万円と、譲渡費用(仲介手数料)100万円を加算します。

      5,000万円 -(250万円 + 240万円 + 100万円)= 4,410万円

    となり、譲渡所得は4,410万円であることがわかります。

    〈譲渡所得税額の計算〉

    相続で取得した財産の取得時期は、被相続人が財産を取得した時期となります。そのため、この土地他建物が5年超所有の「長期譲渡所得」で、復興特別所得税を含む譲渡所得税率は20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。

    譲渡所得4,410万円に対する譲渡所得税は

      所得税 4,410万円×15.315% = 675万3,900円

      住民税 4,410万円×5%    = 220万5,000円

    ここから譲渡所得税は、895万8,900円となります。

     (注)相続により取得した財産の取得時期は、被相続人がその財産を取得した時期となります(被相続人の取得費が引き継がれます)。このパターンは長期譲渡所得に該当するものとして計算しています。

    投資用マンション(賃貸マンション)を売却するパターン

    賃貸マンションを譲渡しました。譲渡所得の計算方法を教えてください。

    (譲渡の内容)
    譲渡価額             5,200万円
    取得費(不動産青色申告決算書より)3,050万円
    譲渡費用(仲介手数料等)      145万円

    【結論】譲渡所得は2,005万円

    投資用不動産である賃貸マンションの建物の取得費は、不動産青色申告決算書に記載されている未償却残高から計算します。

    なお、建物の減価償却費の計算に使う耐用年数は、事業用建物(賃貸不動産など)の場合は法定耐用年数、居住用建物の場合には法定耐用年数の1.5倍の年数を使います。

    そのため、同じ構造の建物で、取得時期や取得金額が同じ建物であっても、事業用建物と居住用建物とでは、取得費が異なることになります。

    〈譲渡所得の計算〉

    譲渡価額 5,200万円 -(取得費3,050万円+譲渡費用145万円)

                 = 2,005万円

    離婚に伴う財産分与のパターン

    離婚に伴い、家族で居住していたマンションを妻に財産分与しました。この場合に税金はかかりますか?

    (マンションの時価など)
    マンションの財産分与時の時価  3,000万円
     取得費            2,000万円

    【結論】「離婚後」にマンションを分与する場合は譲渡所得税ゼロ

        「離婚前」だと203万1,500円

    離婚によって財産分与で財産を渡す場合には、財産を渡す側には譲渡所得税が課されます。

    譲渡所得の計算方法は、通常の譲渡所得と同じです。しかし、財産分与による資産の譲渡は離婚後における譲渡であるため親族に対する譲渡には該当しません。そのため、「居住用財産の3,000万円特別控除」の適用を受けることができます

    このパターンでは、「居住用財産の3,000万円特別控除」の適用を受けることによって譲渡所得はゼロとなります。

    〈離婚後の財産分与の場合〉

      譲渡価額 3,000万円 - 取得費2,000万円 = 譲渡所得1,000万円

      1,000万円 - 居住用財産の3,000万円特別控除 ≦ 0

      よって譲渡所得はゼロ →譲渡所得税もゼロ

    ちなみに、離婚前に所有権を移転させた場合には、親族に対する譲渡に該当するため、「居住用財産の3,000万円特別控除」の適用を受けることはできません。

    〈離婚前に所有権を移転させた場合〉

      譲渡価額 3,000万円 - 取得費2,000万円 = 譲渡所得1,000万円

      親族に対する譲渡のため、居住用財産の3,000万円特別控除の適用なし

      所得税 1,000万円×15.315%(復興特別所得税含む)= 153万1,500円

      住民税 1,000万円×5%              = 50万円

      譲渡所得税(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)203万1,500円

    確定申告はするべき?誰がいつまでに行うの?

    マンションを売却して利益(譲渡所得)が出た場合には、確定申告が必要です。

    利益が出ているにもかかわらず確定申告をしなかった場合は、税務署からお尋ねの文書が来てしまいますので、忘れずにするようにしましょう。

    確定申告は、原則としてマンションを売却した翌年の2月16日から3月15日に行います。

    確定申告書を作成できるのは本人と税理士だけです。

    不動産会社の人が「代わりに確定申告をしますよ」という場合もあるようですが、税理士以外が代わりに確定申告をするのは税理士法違反になります。有償で請け負う場合はもちろん、無償であっても税理士法違反で罰則が科されます。

    なお、譲渡所得にかかる税金は「分離課税」として、給与所得や事業所得などとは切り離して計算し、確定申告をして税金を支払う必要があります。

    そのため、「職場で年末調整をして、税金も給料天引きで支払っている」という人であっても、確定申告をしなければなりません

    譲渡所得が出なかった場合でも、確定申告をすることで受けられる特例があります。特例を受けることで所得税や復興特別所得税、住民税が減少したりかからなくなったりすることがあります。

    詳しくは、「売却で損が出た場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除」をご覧ください。

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