住民税、所得税、事業税、消費税!副業で払う税金を徹底解説
2018年 05月 28日 06: 07
個人事業をはじめた場合、開業と同時にはじまるのが税金との密接な関係です。
もちろん、会社員であっても税金は納めなければなりませんが、会社が特別徴収で代わりに納付してくれるため、直接的に、申告や納税に触れる機会はめったにありません。
そのため、税金に対する意識が薄くなってしまう方が多いように思われます。
しかし、個人事業主となったからには、確定申告や納付を自分自身で行わなければなりません。
ここでは、個人事業主が支払うことになる4つの税金について、ご紹介します。
この記事でわかること
個人事業主が納めるいろいろな税金
個人事業主が支払う税金として、代表的なものは「所得税」と「住民税」です。
会社員であれば一般的に、所得税は月々の給与からの天引きと年末調整で済んでしまう上、住民税も給与からの天引きとなります。
そのため、会社で経理を担当していたなどの場合を除いて、ほとんどの方は個人事業主になってはじめて、所得税の確定申告や納付を行うことになります。
税金を支払うことができてこそ、事業が成立したとはじめて言うことができます。
個人事業主が支払うことになる主な税金を一つ一つ確認することで、税金への意識を高めていきましょう。
個人事業主にかかる住民税
個人事業主にかかる住民税には、2種類あります。
塔道府県が課税をする「都道府県民税」と、市区町村が課税する「市区町村民税」の2種類です。
更に、都道府県民税と市区町村民税には、事業の所得から青色申告制度などの各種控除を差引いて、それに税率がかけられて算出される「所得割額」と、所得の多い少ないに関係なく支払わなければならない「均等割額」が存在します。
・均等割額も全国の各自治体によって異なるため、事業を行っている自治体に確認をする必要があります。
住民税は通常、申告を行う必要がありません。
なぜなら、所得税の確定申告を行えば、自動的に納めるべき住民税の算出を自治体が行ってくれるからです。
こうした税金の課税方式を賦課課税方式といいます。
自治体によって算出された住民税の金額は、納税通知書と納付書になって送付されます。
そして、納税は送付されてきた書面に沿うことで完了します。
なお、納付は6月、8月、10月、翌年1月の年4回となるので、注意が必要です。
個人事業主にかかる所得税
個人事業主にかかる所得税は、自分で所得を計算し、それを国に自ら申告することで、納税額が計算されます。
こうした納税方法のことを「申告納税方法」と言います。
個人事業主にとっての所得とは、サラリーマンの給与所得とは異なり、事業所得となります。
事業所得は、収入から経費を差し引くことで求めることができます。
確定申告の期限
所得税の確定申告は、年に一度行います。
株式会社などの場合は、会計期間を企業で定めるのですが、個人事業では暦年(1月1日~12月31日)の1年間が会計期間となります。
1月1日から12月31日までに発生したすべての収入と経費を計算し、その結果を確定申告書に記入し、管轄の税務署に提出することで確定申告は完了します。
提出期限は3月15日までとなっており、期限を過ぎてしまうと罰金などのペナルティが発生するので、十分気を付ける必要があります。
青色申告と白色申告
確定申告には、青色申告と白色申告の2種類が存在します。
控除を受けられるため、個人事業主にとって青色申告は必須といっても過言ではありません。
ただし、青色申告をするためには、所得税の青色申告承認申請書を事前に税務署に提出しておく必要があります。
貸借対照表と損益計算書を作成することができる複式簿記は、経理になじみがなければハードルが高いものです。
そうした場合には、簡易式簿記という比較的簡単な方法で記帳を行う白色申告を選択すると良いでしょう。
ただし、白色申告では青色申告のような各種控除が受けられませんので、気を付けなければなりません。

個人事業主にかかる事業税
個人事業主は、地方自治体に対して事業税を納めなければならない場合があります。
事業税は住民税と同じく、地方税の一種です。
事業税は法律で定められた事業を行っている場合に課税されます。
ただし、青色申告特別控除前の事業所得が290万円以下の場合には課税されることはありません。
事業税が課せられる場合、税率は3%~5%程度です。
なお、事業税は住民税と同様に賦課課税方式のため、自ら税額を計算して申告を行う必要がありません。
自治体から送付される納税通知書にしたがって、8月と11月の年2回、納付をすることになります。
個人事業主にかかる消費税
物品の販売や、サービスの提供によって代金・報酬を得た場合、個人事業主は消費税を納めなければなりません。
ただし、前々年度の課税売上が1000万円以下の場合は納税義務が免除されます。
個人事業主にとっての消費税とは、消費者が支払った代金や報酬から消費税分を一時的に預かっているというイメージになります。
そして、個人事業主自身も、事業に必要なものを購入する際には消費税を支払っていることになります。
つまり、消費税の納付とは、この差額を支払うことになるのです。
そのため、設備投資などで多額の費用を支払った場合には、それだけ多くの消費税を支払っていることになり、消費税の還付が行われることもあります。
消費税の納付は、所得税と同様に自らで納税額を算出し、税務署に確定申告を行う必要があります。
消費税の申告・納付期限は翌年の3月31日までです。
こちらも期限を超えてしまうと延滞税などのペナルティが発生しますので、十分に気を付けましょう。
償却資産の申告と納付
個人事業主が支払うべき主な税金は、上記の通り4つあります。
ここでは、その4つに加えて注目しておきたい固定資産税について、ご紹介します。
まず、事業に用いられる店舗の内装設備や備品などの固定資産を所有している場合には、毎年1月1日時点で所有している固定資産の取得年月や取得価値、耐用年数などの情報を申告する必要があります。
この固定資産(償却資産)の申告は、確定申告とは別に行う必要があり、償却資産が所在する市区町村に1月31日までに償却資産申告書を提出します。
なお、減価償却費を経費としている償却資産が150万円以上の場合には、固定資産税が発生します。
固定資産は、住民税などと同じく賦課課税方式のため、送付されてきた納税通知書にしたがって納税をすれば大丈夫です。
ただし、自動車税や軽自動車税の課税対象となる車や、特許権などの無形固定資産は課税対象外となります。
課税対象外のものは他にも多くありますので、一度確認されてみてはいかがでしょうか。

最後に
私たちは、社会で生きていくためにお金を稼ぎ、税金を支払います。
そして、すべての納税者ができるかぎり公平・公正であるために、累進課税方式が採用されています。
ビジネスにおいても、個人と状況は変わらず、いかにお金を稼ぐかが重要となります。
その中で、個人事業主が支払う税金というのは、いわばビジネスの参加費のようなものです。
責任のある事業主として経理をしっかりと行い、納税の義務を果たしていくことが、この社会の一員として強く求められます。
関連記事
-
-
役員変更手続きの流れと必要書類まとめ
会社の役員を変更したい場合は、役員変更登記をしなければいけません。 実は役員変更 ...
-
-
業務委託・請負・委任の違い?契約を書く際の注意点
業務委託・請負・契約、一見どれも「誰かに仕事を任せる」という、同じような意味でと ...
-
-
正社員・契約社員・派遣社員・パートの違い
雇用形態には主に、正社員、契約社員、派遣社員、パートなどがあり、 会社で働くにあ ...
-
-
税理士という職業について
せどりビジネスなどで副業や個人事業を始めると、弁護士や税理士などいわゆる『士業』 ...
-
-
捺印、押し印、訂正印などビジネスで使用する印鑑の使い分け方
個人事業主や会社の代表者として申請書や契約書にサインするとき、名前の横だけではな ...