aucfan 国内最大級のショッピング・
オークション相場検索サイト

事業承継の基本。会社を息子に譲るには何をすべき?

20180302日  06: 51

中小企業の経営者にとって、後継者にして事業を引き継いでいくのかは重要なテーマの一つです。

これはどの企業にとってもいつかは訪れる重要な問題であり、早い段階から十分な準備を行っていくことが、事業承継を成功させるためには必要不可欠です。

今回は、事業承継の基本と、その最もメジャーな親族内承継について見ていきましょう。

Asian Father and son portrait at indoor house

事業承継



事業承継とは


事業承継とは、企業の経営を信頼出来る後継者に引き継ぐことをいいます。

中小企業・小規模事業者は雇用の担い手、多様な技術・技能の担い手として、今日の日本経済において重要な役割を果たしていることは言うまでもありません。
このような事業価値を後世に引き継いでいくことは、我が国の経済・社会のさらなる発展に寄与することでしょう。

しかし、少子高齢化、長期の不況に伴い、中小企業の経営者の年齢も年々上がっているのが現状です。

経済産業省によると、中小企業経営者の年齢のピークは66歳に達し、直近の経営者の平均引退年齢が中規模企業は67.7歳、小規模事業者は70.5歳であるのを考えると、2020年頃には数十万の団塊世代の経営者が引退時期にさしかかるとしています。
※参照:経済産業省『事業承継に関する現状と課題について

一方、日本政策金融公庫総合研究所が採ったアンケート調査によると、60歳以上の経営者のうち、50%超が廃業を予定しており、特に個人事業者においては、約7割が「自分の代で事業を辞めるつもりである」と回答しています。

そして、その廃業の理由としては、「当初から自分の代でやめようと思っていた」と回答したものが最も多いものの、「子供に継ぐ意思がない」、「子供がいない」、「適当な後継者が見つからない」などの後継者がないことを理由とする廃業が大きな割合を占めています(日本政策金融公庫総合研究所『中小企業の事業承継に関するインターネット調査』)。

また、中小企業経営者の高齢化が進んでいる状況の中、実際に準備に着手している企業は70代、80代の経営者ですら半数に満たないという現状があります(帝国データバンク『中小企業における事業承継に関するアンケート・ヒアリング調査』)。

準備に着手していない中小企業の中には、様々な事情から実際の取組に移ることができていない中小企業の他、そもそも事業承継に向けた準備の重要性を十分に認識していない中小企業も多数存在していると考えられています。

さらには、経営力を引き継ぐための後継者の育成に必要な期間として5年~10年はかかると考えている経営者が多く、早めに事業承継対策に取組み、後継者が十分に経営力を発揮できるよう、現経営者がバックアップすることが重要です。


承継の対象となるもの


事業承継は相続税対策と見られがちですが、相続税対策は事業承継対策の一部に過ぎません。
事業承継の対象となるものは、自己株式や事業用資産(設備・不動産等)、資金(運転資金等)だけでなく、経営理念や営業秘密、特許、技術、ノウハウ、顧客情報など知的財産あるいは目に見えいにくい経営資源も含まれます。

これらの財産を上手に引き継ぐことが、承継後の経営を安定させるために重要となります。


事業承継の3つの方法


経営者が事業を承継する際の選択肢は3つあります。残念ながら、この3つのいずれもができない場合はその事業を廃業せざるを得ないでしょう。
選択肢の3つは、それぞれに特徴があります。以下で詳しく見ていきましょう。

①親族に承継する


経営者の子息・子女など、親族に事業を継がせるというのは、日本の中小企業においては最も多い承継のパターンです。

メリットとしては、
・経営能力のある親族が承継すると社内外の関係者から受け入れられやすい
・後継者を早期に決定し、長期の準備期間を確保できる
・相続等により財産や株式を後継者に移転できるため、所有と経営の分離を回避できる可能性が高い
があります。

一方、デメリットとしては、
・親族内に経営能力と意欲があるものがいるとは限らない
・想像人が複数いる場合は後継者の決定、経営権の集中が困難となる(後継者以外の相続人にも配慮をする必要がある)
があります。

親族内承継が事業承継の中で最も多いパターンとはいえ、最近ではこれらデメリットが強くなり始め、以前より親族内承継の数は減ってきています。

また、子どもがいる場合であっても、事業の将来性や経営の安定性等に対する不安の高まりや、家業にとらわれない職業の選択、リスクの少ない安定した生活の追求等、子ども側の多様な価値観の影響も少なからず関係しているでしょう。

事業承継は、「継いでもらう側」「継ぐ側」の意思疎通が非常に重要となります。「家業だから継ぐのが当たり前」、という発想ではなく、「継ぐ側」の了解を早期に、明示的に得ることが大切です。また、後継者が学校卒業後に他社へ就職し、責任ある地位に就いている場合は、その職の後任を探すのに時間がかかる場合もあるので、そういった事情も配慮する必要があります。

②従業員などに承継する


これは会社内の人事異動によって、優秀な社員や役職者を経営者に昇格させることで事業承継を行う方法です。

メリットとしては、
・業務に精通しているため、他の従業員や取引先などの理解を得やすい
・親族内に適当な後継者がいない場合でも、承継の候補者を確保しやすい
があります。

デメリットとしては、
・親族内承継と比べて、関係者から心情的に受け入れられにくい場合がある
・後継者候補に株式取得などの資金力がない場合が多い
・個人債務保証の引き継ぎ等に問題が多い
があります。

従業員はたとえ幹部社員で優秀であったとしても、経営者とは意識の差があります。
多くの場合、自らがリスクをとって経営判断をする覚悟はできていないことが多いです。

そのため、早いうちに本人の了解を得て相応の覚悟を持ってもらうと共に、周囲の納得感を醸成するため、早めに自分の意思を伝えておくことが大事です。

ある程度の保険をかけて、何人かの後継者候補を選定、教育しながら最終的に協力と賛同を得るような従業員に経営を任せるという方法が有効でしょう。

③第三者に承継させる(M&A)


M&A(エムアンドエー)とは“Mergers(合併)and Acquisitions(買収)“の頭文字をとったもので、要は、事業自体を売却するということです。

昨今、事業承継の手段として年々増加しています。その背景には、身近に承継に適正な者がいない、親族に事業承継したくても親族が嫌がるといったケースなど、 事業承継をする相手がいないといった背景があります。

メリットとしては、
・身近に後継者として適任者がいない場合でも、広く候補者を外部に求めることができる
・現経営者が会社売却の利益を獲得できる
があります。

一方、デメリットとしては、
・現経営者が希望する条件(従業員の雇用確保、株式売却の価格等)に合う買い手を見つけるのが困難
があります。

息子に事業継承

親族内承継の方法


親族内承継を行うにあたっての注意点

ここでは、事業承継の中でも基本的な親族内承継について見ていきます。

事業承継は様々な利害関係者に配慮をする必要があります。親族内承継の場合は、次のような注意をしましょう。

(1)後継者の選定・育成
(2)従業員・取引先・金融機関への通知
(3)家族・親族への説明

(1)後継者の選定・教育

後継者を選定は事業承継に向けた第一歩となります。

しかし、誰を後継者にするかを経営者の胸中のみに留めておくのではなく、まずは後継者の候補となるものと対話をしましょう。

後継者にとって、事業を承継するということは、人生の大きな分岐点の一つとなります。

後継者に、事業を受け継ぐ者としての自覚を持たせ、事業承継に向けて経営者と二人三脚で準備を進めてもらうためにも、早い段階から後継者との対話を重ね、事業の実態とともに、現経営者の想いや経営理念を共有していくことが重要です。

そして、後継者の育成も怠ってはいけません。

中小企業の経営者には、事業運営に関する現場の知見はもちろん、営業、財務、労務等の経営管理に関する幅広い知見も必要となります。このような能力を短期間で習得することは不可能でしょうから、後継者教育には十分な期間を準備し、必要な経験を積ませましょう。

後継者教育としては、社内で行うもの(社内教育)と社外で行うもの(社外教育)があります。

(2)従業員・取引先・金融機関への通知

日常的に経営者と接し、事業を支えてきた従業員や、取引先、金融機関にとって、誰が後継者になるのか、そのような計画で事業承継を行うのかは、非常に重要な関心事項です。

その企業から生活の糧を得ている従業員にとって後継者候補の存在を知らなければ会社の将来性に対する不安が募り、士気にも関わります。

従業員から不満の声が上がらないよう、現経営者の段階から徐々に次の後継者について周知させるとともに、承継後の経営をよりやりやすくするよう、組織再編なども進めていく必要があるでしょう。

また、取引先や金融機関にとっても、経営者が高齢であるのに事業承継の計画が明示されないよりは、後継者候補の紹介を受け、事業承継に向けた計画を明示されたほうが、将来にわたって取引関係を継続していく上でも有益であることは間違いありません。

よって、事業承継を行う前に、これらの者に対して通知をしておくことは非常に重要なことです。

(3)家族・親族への説明

事業の後継者を誰にするかという問題は、経営者や従業員・取引先・金融機関だけでなく、その家族・親族にとっても重大な関心事項です。

特に兄弟姉妹がいらっしゃるような場合は、会社の経営権をめぐって争いになる可能性があります。

万が一相続が発生して、経営権をめぐって兄弟間で争ってしまうと、その間会社が機能しなくなり多大な損失を生む危険性もあります。

そのため、家族承継を行なう場合は、事前に後継者に選ばれなかった者に対してしっかりと説明し、納得してもらうよう務めなければなりません。

そこで、早期に家族会議・親族会議を開催し、親族との対話を図るなどして同意を得ておく必要があります。

財産の承継

親族内承継を行うには、上記の注意点に加えて、もう一つしなければならないことがあります。

それは「財産の承継」、つまり保有株式の承継です。
事業承継は、現経営者が保有している株式を後継者に取得させることで完了します。

株式を承継させる方法は、大きく分けて3通りあります。

(1)後継者への相続

これは相続による遺産分割を利用して後継者に株式を移転するという方法です。

後継者は無償で株式を取得することができますが、相続税が課されます。また、相続は、被相続人(この場合は前経営者)の死亡により発生するので、事業承継のタイミングが不明確となるので注意しましょう。

また、事前に親族内で話し合っていたとしても、遺言書を残しておかなければ、トラブルが発生する可能性がありますし、また遺留分減殺請求(他の相続人が最低限の相続分を要求すること)がなされる恐れもあるため、しっかり遺言書を残しておくことが大切です。

(2)後継者への贈与

現経営者から後継者に対して、株式を生前贈与します。

贈与であるので、相続と同様、後継者が株式を取得すること自体には費用を要しませんが、株式を受け取った後継者に対して「贈与税」が課されるので注意が必要です。

この贈与税は相続税よりも高額となりやすく、税負担が大きくなりがちです。また、生前贈与の場合も、遺留分減殺請求の対象となるため、相続人間でトラブルが発生する場合もあります。

(3)後継者への売買

現所有者が後継者に対して、保有している株式を売買します。

売買によって株式を移転すると、株式の移転が遺産相続に巻き込まれる心配がなくなるため、相続による事業承継よりも確実に後継者に対して経営権を承継できます。

ただし、売却する際、後継者はその株式を買い取るだけの対価として多額の資金を準備する必要があります。また、売却によって得たお金に対しては現経営者に対して所得税や住民税が課税されるので注意が必要です。

なお、適正な株式評価額よりも著しく低い金額で売却した場合は、その分を「贈与」としてカウントされるため、後継者に贈与税が課されることになります。


事業承継をサポートする国や公共団体の政策


以上のように、事業承継をするにしても、様々なリスクや負担を負わなければならず、多くの経営者が事業承継問題を先送りしている気持ちが実感できたのではないでしょうか。

このような現状を打破しようと、国や公共団体は事業承継が行いやすくできるよう、様々な施策を行っています。

後継者の発見・育成をサポートする制度


国(中小企業基盤整備機構)による支援

中小企業基盤整備機構は、後継者不在の中小企業の事業引継をサポートするため、「事業引継相談窓口」をすべての都道府県に設置しています。

また、特に事業引継支援の需要が多い全国20カ所には「事業引継支援センター」が設置され、後継者も求めている企業とその事業を行ってみたいと考えている者とのマッチングや、専門家による具体的な支援が行われています(各地の事業引継相談窓口・事業引継支援センターで確認できます。

各地の商工会議所による支援

各都道府県や市町村の多くの商工会議所が、事業支援を行っています。

例えば、後継者を探している企業と起業を志している人とのマッチングや、事業譲渡をしたい企業と事業を譲り受けたい企業とのマッチングを行っています。

その他、各自治体で独自の施策を行っている場合もあるので、今一度確認してみましょう。

株式譲渡の相続税や贈与税を猶予する制度


前述のように、相続や生前贈与の場合、相続税や贈与税が課されてしまいます。これらはかなり負担となり、事業承継をためらう一つの理由ではないでしょうか。

これに対処するため、上場していない中小企業の株式については、納税猶予の特例が設けられています。

消費税・贈与税の申告期限から5年間は、以下の要件を満たして事業を継続することが必要です。

・雇用の8割以上を5年間平均で維持 ※平成25年度改正(平成27年1月施行)前は、雇用の8割以上を毎年維持
・後継者が代表を継続
・先代経営者が代表者を退任(有給役員として残留可) (贈与税)
・対象株式を継続して保有
・上場会社、資産管理会社、風俗関連事業を行う会社に該当しないこと 等

消費税に関して:※参照:国税庁『非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例』 
贈与税に関して:※参照:国税庁『非上場株式等についての贈与税の納税猶予』 
 

事業承継を行う際の金融支援


中小企業信用保険法の特例


中小企業信用保険法の特例とは、事業承継の際に必要なお金を金融機関等から融資してもらう場合に限って、「信用保証協会」に特別に保証をしてもらえる枠を設けるものです。

銀行等から融資を受ける際、保証人となってくれる人あるいは会社がいなければ「信用保証協会」に保証人になってもらいます。

しかし、通常、事業承継直後で後継者の信用が少ない間は、融資をしてもらうのはかなり難しくなります。そうなると、事業承継から間もない中小企業にとっては大きなダメージを負うことになります。

そこで、中小企業信用保険法の特例により、「信用保証協会」に保証してもらえる金額について、別枠を設けられ、
・株式や事業用資金等の買取資金
・一定期間の運転資金
等の資金調達支援を受けることができます。

日本政策金融公庫法・沖縄振興開発金融公庫法の特例


中小企業信用保険法の特例は企業が融資を受けやすくなる制度であるのに対して、日本政策金融公庫法・沖縄振興開発金融公庫法の特例は後継者個人が融資を受けられるというものです。

経済産業大臣の認定を受けることで、日本政策金融公庫や沖縄振興開発金融公庫から、
・株式、事業用資金等の買取資金
・相続税、遺留分減殺請求への対応資金
等の資金調達支援を受けられ、また通常1.21%の基準金利(中小企業事業)が適用されると
ころ、0.81%の特別利率を適用されるため(2016年10月時点)、低金利で融資を受けることができます。

計算している男

まとめ


以上が、事業承継、特に親族内承継に関する内容です。

事業承継は準備に多くの時間と労力がかかるものですから、できるだけ早い段階から、準備をされることをおすすめいたします。

また、後継者がいる場合でも、事業承継には様々なリスクがありますので、それらのリスクを最小限に抑えるための方法や各種制度を押さえておく必要があります

事業承継は、どの企業もいつかは必ず直面する問題です。この記事で紹介した制度や手段をよく理解して、将来を見据えて有効な対策をとっていただければと思います。

 

 


 - 手続き , , , , , , ,

関連記事

民事訴訟の費用
控訴費、上告費、民事訴訟の費用はいくら?

一般的に、裁判にはお金がかかるというイメージがあると思います。 紛争を解決するた ...

せどり
せどり以外に会社員や株の収入がある場合の確定申告

普段会社員として働いている人は、基本的に確定申告をする必要はありません。 しかし ...

PAK85_deskshiryou20131223_TP_V
契約と約束の違い

私たちの生活は契約に溢れています。 例を挙げると、毎日会社に行くための鉄道やバス ...

PAK85_telshinagaramemowosuru1292_TP_V
正社員・契約社員・派遣社員・パートの違い

雇用形態には主に、正社員、契約社員、派遣社員、パートなどがあり、 会社で働くにあ ...

代理の基本
営業代理店や保険代理人、ビジネスでよく出る「代理」で何種類ある?

日常生活の中で「代理」について意識することはあまりありませんが、ビジネスにおいて ...