せどりビジネスを辞める際に廃業届は必要なのか
2017年 12月 19日 04: 08
「せどりビジネスをやっていたけど、今は別の仕事をしている」
「事情があって、せどりビジネスをできなくなってしまった」
など...さまざまな理由でビジネスを辞めざるをえなくなってしまう方がいます。
また、ほとんど開店休業状態にして放置している人もいるかと思います。
せどりビジネスをきっぱり辞めると決め人は、すぐに廃業届を提出するケースがあります。
しかし、しばらくしたら、ビジネスを再開するかもしれないという理由で、開業届を提出せずに、そのまま放置する人もいます。
では、廃業届を提出する適切なタイミングや提出方法はどのようなものでしょうか。
今回は、せどりビジネスを辞めるときに、廃業届を出すべきか、また、廃業届を提出するときの手続き・注意点について取り上げたいと思います。
この記事でわかること
廃業届の基礎知識
廃業届とは、「個人事業の開業・廃業等届出書」のことをいいます。事業をはじめるときに、開業届を提出しましたよね。
開業届を提出するときに、気づいていたかもしれませんが、個人事業の場合、開業届と廃業届は同じ用紙になっています。
廃業した日から1ヵ月以内に提出することが所得税によって定められていますが、届け出が遅れても罰則を受けることはありません。
また、収入がなくなっても確定申告をしていれば、すぐに廃業しなければならないわけではありませんが、長期間休業状態続くと、事実上は廃業と変わらなくなるので、税務調査が入ったときに、これを指摘されるケースもあります。
休業状態になっても、本人が事業の再開を強く望んでいるわけでなく、ビジネスを続ける意思がないのであれば、廃業届をきちんと提出するのが望ましいでしょう。
廃業届の書き方と提出方法
廃業届は、開業届と同じ用紙であることは述べましたが、開業するときとは若干書き方が変わります。
廃業届を書く際に注目すべきポイントは、以下のようなものがあります。
書類名に二重線
書類の名前は、「個人事業の開業・廃業等届出書」となっていますが、この「開業」のところに二重線を引きます。届出の区分
届出の区分の欄のうち「廃業」を○で囲み、廃業の理由を書きます。- 例:「個人事業を廃業して法人化したため」
「転職のため」
所得の種類
不動産所得・山林所得・事業所得のうち、せどりビジネスでは事業所得を〇で囲み、廃業する事業が「全部」であればこれを〇で囲み、一部であれば、廃止する事業を書きます。廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合
個人事業主が事業を廃業して法人成りした場合は、設立した法人名・代表者名・法人の納税地、法人の設立登記日を書きます。廃業に伴う届出書提出の有無
青色申告していた場合は、「青色申告の取りやめ届出書」も提出するので、「有」に〇をします。また、消費税を支払っていた場合(課税売上高が年間1000万円以上)の場合は、「事業廃止届出書」も提出する必要があるので、ここにも「有」に〇をします。
個人事業の開業・廃業等届出書の提出場所は、開業届を提出したときと同様に、所轄の税務署と管轄の都道府県税事務所の二か所です。2枚提出して、うち1枚は控えとして受付印をもらい、持ち帰りましょう。
廃業届提出の他に必要な手続き
せどりビジネスを営む際に、青色申告で確定申告を行なっていたり、従業員を雇ったりしていたときには、別途書類を提出する必要があります。給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
ビジネスをしていたときに人を雇い、給与を支払っていた場合は提出が必要です。青色申告の取りやめ届出書
個人事業主は、白色申告と青色申告のどちらかを選んで確定申告をしていたと思います。このうち、青色申告による納税を行ていた人は、届出が必要です。
なお、この届出書は、青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までに提出しなければならないことになっています。
事業廃止届出書
消費税の課税事業者であった場合は、事業廃止届書の提出も必要になります。所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
予定納税がある個人事業主が廃業するにあたり、予定納税額が多すぎて困らないように、税務署に減額を申請することができます。ただし、提出時期は、以下の通りです。
- 第1期・第2期分の減額申請・・・その年の7月1日から7月15日まで
第2期分のみの減額申請・特別農業所得者の減額申請・・・その年の11月1日から11月15日まで
税法上有利な廃業日
実質休業状態だけど、いつを廃業日にするのかを決めてない人もいるのではないでしょうか?
それなら、できるだけ税金を節約できるようにしたいですよね。
ここでは、いつを廃業日に設定したら、税法上有利なのかを紹介したいと思います。
小規模企業共済に加入していた場合
小規模企業共済に加入しているなら年末に廃業した方が節税効果が大きいといえます。
なぜなら、仮に収入がなくなっても、小規模企業共済の掛け金を支払い続けることができるため、確定申告において、支払った掛け金を控除することができるからです。
廃業日を年末に設定し、掛け金を年末まで支払い続ければ、確定申告での控除額は増え続け、課税所得金額を減らすことができます。
事業を廃止した場合の必要経費の特例
所得税法第63条では、廃業後に生じた必要経費を、事業を継続していれば必要経費となっていたものは、廃業した年、またはその前年度分の必要経費に算入することができます。
これは、廃業後の清掃や廃棄など片づけをする際に必要な費用などを、経費に含めるための特例です。
そのため、年度の最初が廃業日の場合、年末までの分を必要経費にできるとは考えにくいです。
特例が認められやすくなるためには、年末に近い日を廃業日とした方が無難でしょう。
廃業届を提出した後はどうなるの?
確定申告
基本的に、廃業した日をもって帳簿を締めることになりますが、年度の途中で廃業したとしても、所得税・消費税ともに翌年の3月に申告行なわなくてはいけません。青色申告をしていた場合は、3月15日までに青色申告の取りやめ届出書を届け出ることを忘れないようにしましょう。
屋号の取り扱い
また、屋号付名義の口座を開設していた場合は、廃業後もその口座を使い続けることができます。しかし、本来は解約するのが自然ですから、口座を使わなくなったら、速やかに解約するべきでしょう。
ただし、もう一度同じ屋号で開業し直すことを考えているのであれば、そのまま使い続けても、法律上は問題ありません。
個人事業税
通常は、所得税の確定申告をしていれば、事業税についての申告は必要ありません。しかし、事業を廃止した年度は、廃止後1か月以内に、所得税とは別に事業税の申告が必要です。
さいごに
自分ひとりでビジネスをしていたのであれば、廃業の手続きは簡単ですが、従業員を雇っていたり、消費税を支払っていたりした場合は、必要書類の準備など手間がかかり、面倒に感じられるかもしれません。
しかし、手続きを終えれば、スッキリとした気持ちで次のステップに進むことができるので、お早めに手続きを終えられることをおすすめします。
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