開業届の出し方と必要書類をまとめ!提出必須の資料をチェック!
2018年 07月 25日 06: 48
個人事業主として開業するとき、提出書類を準備しなければなりません。
提出書類には二種類あり、一つは国(税務署)へ事業の開始を知らせる個人事業の開業・廃業等届出書。
もう一つは、都道府県税事務所などに事業の開始を知らせる事業開始等申告書です。
しかし、この二つだけでは十分でない場合も多く、その時々に応じて用意しなければならない書類は多く存在します。
ここでは、個人事業をはじめる際に、提出が必要となってくる書類についてご紹介します。
この記事でわかること
個人事業をはじめる際に準備するものとは?
個人事業をはじめるときには、各行政機関に事業開始を知らせる手続き(届出)が必要となります。
各書類の提出先はそれぞれ異なりますが、すべての事業主に提出を義務付けられているのが税金に関する届出です。
税金に関する届出を怠った場合には、脱税などを疑われ、多額のペナルティを負う恐れがあるので、十分気を付けましょう。
他にも、許認可が必要な業種にも関わらず、手続きが完了していないなど、開業にあたっては事前の準備が非常に重要となります。
個人事業に必要な届出一覧
開業時に提出が必須となる書類
●個人事業の開業・廃業等届出書
●事業開始等申告書
事業で得た所得に対し、控除を受けたいと考える場合の書類
●所得税の青色申告承認申請書
家族に事業を手伝ってもらう場合の書類
●青色事業専従者給与に関する届出書
従業員を雇った場合の書類
●給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
●労働保険保険関係成立届
●労働保険概算保険料申告書
●雇用保険適用事務所設置届
●雇用保険被保険者資格取得届
●給与所得者の扶養控除等申告書
また、従業員の数が5人以上となった場合には下記の書類が必要となります。
●健康保険・厚生年金保険新規適用届
●健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
●健康保険被扶養者届
※従業員を雇った場合、彼らに発生する税金を源泉徴収しなければなりません。
源泉徴収の回数を減らしたい場合の書類
●源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書
このように開業と同時に出すべき書類は多く存在します。
希望した場合に提出する書類
提出が必須ではありませんが、希望した場合に提出することになる主な書類は下記の通りです。
●所得税の棚卸資産の評価方法
●減価償却資産の償却方法の届出書(事業内容によっては節税になります。)
●消費税課税事業者選択届出書(大幅な投資を予定している場合。)
●消費税簡易課税制度選択届出書(税金計算を簡易化したい場合。)
届出の中には、定められた期間内に提出しなければ、届出による効果を受けることができないものもあります。
そのため、早め早めの提出を心がけましょう。
開業を知らせる開業届
個人事業の開業は会社設立と比較して簡単だとされています。
しかし、個人事業の開業に際しては、いくつかの手続きを踏まなければなりません。
個人事業をはじめる場合、店舗経営や無店舗経営、ネット事業やサービス業など、どんな業種であっても提出する必要がある書類があります。
それが、「個人事業の開業・廃業等届出書」と「事業開始等申告書(個人事業税)」です。
この二つの書類を税務署や都道府県税事務所に提出します。
また、青色申告の届出をするかどうか、消費税の取り扱いはどうするのかなどといった事柄についても記載をします。
加えて、給与の支払い方法や源泉所得税の納期の特例を受けるかどうかについても記載します。
開業届の提出先
この届出書の提出先は、納税地を所轄する税務署です。
通常、納税地は所在地と同一です。
事務所の所在地が納税地と異なる場合には、事務所を展開している所在地を管轄する税務署にも提出します。
もし、納税地を所在地から事務所所在地に変更したい場合には、「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を税務署に提出します。
個人事業の開業・廃業等届出書は、事業開始から一カ月以内に行いましょう。
この期限は、法律によって全事業者に義務付けられているので、提出のし忘れは厳禁です。
なお、提出は税務署に持参するだけでなく、郵送やe-Taxによる電子申請が可能です。
個人事業の開業・廃業等届出書が国税の納付を宣誓するものであるのに対し、事業開始等申告書は地方税の納付を宣誓するものです。
地方税には、住民税や事業税などがあります。
事業開始等申告書に記載する内容としては、事業開始日や住所、屋号などです。
この申告書は、事業を管轄する都道府県税事務所と市区町村役場に提出することになります。
提出期限に関しては、各自治体によって異なりますが、多くのケースでは事業開始から一カ月以内となっています。
ただし、東京都の場合は、開業から15日以内と非常に期限が短いため、注意が必要です。
各種届出の提出期限や提出先は、事前にしっかりと確認しておきましょう。
所得税の青色申告承認申請書
個人事業の会計期間は、1月1日から12月31日と定められています。
そのため、課税期間も上記の期間と同様です。
所得は、一年間に発生した売上から経費や各種控除を差引くことで算出されます。
そして、求められた所得に応じて税率をかけ、所得税を計算することになります。
事業をはじめたら、開業届を出すだけでなく、自らの所得や税金を計算し、税務署に申告・納税を行わなければなりません。
個人事業の場合、この申告を「青色申告」にするだけで、たいへん有利な特典を受けることができます。
青色申告という言葉は、通常の確定申告の用紙が白色であることに対して、青い用紙が用いられていたことに由来します。
青色申告による特典には、青色申告特別控除や青色事業専従者給与、繰越控除などがあります。
こうした特典を享受するためには、複式簿記で帳簿の作成を行い、必要書類などを一定期間保存しなければなりません。
複式簿記は複雑で困難な分、所得控除を最大65万円受けることができます。
もし、複式簿記にどうしても取り組めないといった場合には、簡易式簿記で帳簿作成を行いましょう。
簡易式簿記で記帳した場合には、所得控除の金額が減ってしまいますが、10万円の控除が認められます。
所得税の青色申告承認申請書は、開業から二カ月以内に税務署へ提出します。
二年目以降も青色申告をする場合には、その年の3月15日までに申請書を提出します。
青色申告と白色申告の詳細や違いはこちらの記事にかかれています。困ったらぜひ見ててください!
確定申告の際の青色申告と白色申告の違いとは | 相談サポート
5人以上雇用した場合
5人以上の雇用は、社会保険に強制加入です
5人以上、従業員を雇用した場合、社会保険に強制加入となります。
ここで用いる社会保険とは、健康保険と厚生年金保険のことです。
健康保険と厚生年金保険については、それぞれの法律によって加入条件などが規定されています。
個人事業の場合、常に5人以上の従業員を雇っている場合には、社会保険に強制加入となります。
※ただし、飲食業や理容業など、一部の業種では強制加入の条件が異なるため除外されます。
社会保険の加入に際しては、健康保険・厚生年金保険新規適用届、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得、健康保険被扶養者届など、年金事務所にいくつかの書類を届け出る必要があります。
提出書類や添付書類については、各年金事務所によって異なるため、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
用意しなければならない書類が多い社会保険加入の申請ですが、その提出期限は従業員数が5人以上となった日から5日以内となっています。
期限が短いため、迅速な対応が求められます。
社旗保険料は、事業主と従業員の双方で50%ずつ負担することになります。
このことを「労使折半」と言います。
保険料の納付は、事業主が当月分の被保険者負担分の保険料を翌月の給与支払時に控除し、その月末までに事業主負担分と合わせて納付することになります。
なお、従業員数が5人以下の場合や飲食業など強制加入の条件が異なる一部の業種においても、従業員の二分の一以上の同意があれば、事業主の申請によって社会保険に加入することができます。
この場合、任意適用事業所となり、同意しなかった従業員も含めてすべて被保険者となります。
最後に
このように個人事業をはじめる際には、様々な書類を提出しなければなりません。
提出期限や提出先、記載内容もそれぞれ異なり、開業する前から準備をしておかなければ到底、期限には間に合いません。
もし、提出が遅れた場合には、申請した内容が認められない場合もあります。
そうした事態を防ぐため、専門家に依頼することをおすすめします。
専門家への相談といっても無料相談など、気軽に相談できる機会が昨今では多くなっています。
そうした機会を上手く活用しつつ、開業の一歩を踏み出していきましょう。
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