業務委託・請負・委任の違い?契約を書く際の注意点
2018年 05月 16日 06: 46
業務委託・請負・契約、一見どれも「誰かに仕事を任せる」という、同じような意味でとられがちな言葉です。
しかし、この3つに明確な区別があるということをご存知でしょうか?
言葉の意味が違えば、相手に任せる内容も変わってきます。
さらに言えば、税においても違いが出てくるのです。
契約となればこれらの意味を厳密に使い分けることが求められます。
知らなかったでは済まされません。
そこで、今回は、業務委託・請負・委任契約の3つの違いについて説明します。
委託・請負・委任の関係性
一見横並びのように見える委託・請負・委任の三つですが、実はそうではありません。
委託という言葉が持つ意味は他者に依頼し、行ってもらうことであり請負と委任の意味も含んだものになっています。
業務委託を行いその契約の目的によって、請負もしくは委任契約となるのです。
この目的によって求められるものが代わってきます。
以下で詳しく見ていきましょう。
業務請負契約
請負契約の一番大きなポイントは、仕事を行い、その結果に対して報酬を支払うとしていることです。
そのため、請負契約では決められた結果、完成された結果が求められます。
委任はこのように結果が求められない点が非常に大きな特徴となっています。
このことは民法の632条と643条によって規定されています。
請負契約の主な例としては建築請負契約などが挙げられます。
これに関しても、完成した建物という結果に対して報酬が支払われる、という契約になっています。
業務委任契約
委任とは正確に言えば法律行為の委託を指します。
しかし、法律行為以外の事務処理に関しても準委任として扱われるため、一般的に委任契約といえば、事務処理を委託する契約とされます。
委任契約では請負契約と違い、一定の結果を出すことは義務となっていません。
これは委任が一般的には相手との信頼の元依頼する契約だからです。
しかし、適当に行っていいかというと、もちろんそうではありません。
委任は契約の前提として善管注意義務を負っています。
これは善良な管理者の注意義務をもって仕事を行わなければならないということです。
このような委任契約には弁護士への依頼契約や、医師に対しての診療契約などが挙げられます。
請負契約と委任契約の収入印紙税
請負契約と委任契約では、当然のことながら作る契約書も「請負契約書」か「委任契約書」と変わってきます。
実はこの2つ、収入印紙を必要とするか、しないかという点でもかわってくるのです。
そのため当然収入印紙税の差が表れることになります。
印紙を必要とする文書は印紙税法によって厳密に定められています。
どのような文書に印紙が必要かは印紙税額一覧で確認することができます。
この一覧を確認すると請負に関する契約書は番号2番で定められており、契約金額に応じて記載されている税を納める必要があります。
しかし、委任契約書は一覧表に記載されていません。
したがって印紙税法によって規定された課税文書ではないのです。
ただし、税金対策のため委任契約にするといったことはできず、請負か委任かの違いは契約の目的によって分けられているということに注意しなくてはなりません。
最後に
以上のように、委託という言葉を区別したものが、請負、委任でありそれぞれの契約目的によって使い分けられるということを確認しておきましょう。
同じように思えてしまう言葉でも一度契約を行えば勘違いしていたでは済まされません。
この契約は何を求めているのか、何が求められているのかをしっかりと確認するようにしましょう。
また収入印紙に関しても、税金が関わってくるため請負契約の際は忘れることなく処理を行いましょう。
このような契約で契約書などを作成する際には、これで大丈夫なのかと悩んでしまうことも少なくありません。
そうした場合には一度専門家に相談してみてることをおすすめします。
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