カードショップの店先などにあるトレカ自販機はランダム性がある商品ですが、高いレアリティのカードが入手できる可能性があることから、利用者から人気を集める販売形式です。
しかし、トレカ自販機は単に利用者を楽しませるために設置されているわけではなく、店舗側にとって多数のメリットが見込める販売形式になっています。
この記事では、トレカ自販機について店舗側が設置するメリットやおすすめの自販機などをまとめました。
トレカ自販機とは
トレカ自販機とは、お金を入れることでトレーディングカードが排出される筐体です。
広義的にはバンダイが展開する「カードダス」やポケモン公式が設置している「ポケモンカードスタンド」などもトレカ自販機に含まれます。
一方で、固有の名称で呼ばれないトレカ自販機については、カードショップや中古販売店に設置される筐体となっています。
カードショップ等のトレカ自販機では、多くの場合で店側が任意で選んだカードを箱や袋に詰めた商品が入っているため、公式のカードパックを購入できるわけではありません。
しかし、高いレアリティのカードを始めとした何らかの当たりカードを封入することで、公式のパックとは違った楽しみ方ができるようにしています。
封入されるトレカの種類は統一されている場合が多いですが、カードの枚数やレアリティ、回す際の価格などは店舗によって異なっています。

トレカ自販機の仕組み
トレカ自販機の仕組みとしては、収納数に応じた箱や袋を筐体に入れて、お金が投入されると入れた順番のまま商品が排出されます。
仮に30個の商品を収納できる筐体の20番目に当たりの箱を入れた場合、ランダム排出されるわけではなく、20回目にお金を入れた人が確実に当たり箱を入手できます。
そのため、店側としては当たり箱をなるべく後ろの方に入れて、トレカ自販機を多く回してもらえるようにしているのです。
ただ、当たり箱に辿り着くまでの他の箱が全てハズレではそもそも回してもらえないため、1番の当たり箱以外にも少しレアリティを落とした当たり箱を入れています。
トレカ自販機の表面に封入されている当たりカードを写真などで提示しておくことで、利用者の興味を引く効果が見込めます。
一方で、提示したカードが入っていない場合は店舗の信用を大きく落としてしまうため、複数の当たりカードを封入・提示しておくことが望ましいものです。
利用者によっては筐体の収納数を把握した状態で売り切れまで引く可能性もあるため、場合によっては1人あたりの購入制限をかけておかないと、店舗側が損する可能性があります。
トレカ自販機のメリット
トレカ自販機を設置するカードショップや中古販売店では、トレカを単品で販売している店舗が多く、利用者視点で考えると単品購入の方が確実にカードを入手できます。
しかし、トレカ自販機には店舗と利用者の双方にメリットがあることから、多くの店舗で導入されているのです。
トレカ自販機のメリットについて紹介します。
ノーマルカードの在庫処分に
カードショップや中古販売店では、パックでの封入枚数が多いノーマルカードの在庫を多数抱える可能性があります。
トレーディングカードゲームにおいてはノーマルカードでも使用されますが、価格としては100円以下になる可能性もあるので、店側としては儲けを出しにくいレアリティです。
そんなノーマルカードをトレカ自販機に封入すれば、在庫処分をしながら売上に繋げられる可能性があります。
トレカ自販機の販売形式は、高いレアリティのカードを1〜2枚入れて、ノーマルカードを10枚前後入れるパターンが多くなっています。
当たりカードはトレカ自販機の販売価格よりも値段が高いカードを入れる可能性がありますが、本来はそれほど高くないノーマルカードを入れておけば利益に繋がるのです。
自動で売り上げる
トレカ自販機は筐体にお金を入れて、自動でカード入りの箱や袋を排出するため、店員が購入時を処理する必要がありません。
そのため、トレカ自販機を設置しているだけで、自動的に売上を稼げるメリットがあります。
また、利用者によっては店員に話しかけて購入するよりもトレカ自販機で人を介さず購入する方が利用しやすい人もいます。
設置する前にはカードの梱包や補充の手間が発生しますが、他の販売方法と合わせて営業中の売上を増加できるため、単品購入できる店舗でも設置されているのです。
集客の効果も
トレカを収集している人の楽しみ方の1つに、ランダム性のあるカードパックの中から当たりカードを引くというものがあります。
トレカ自販機に封入する当たりカードは人気や注目度が高いカードを選ぶ場合が多く、一般販売されているパックと違って、筐体内には必ずそのカードが封入されています。
そのため、当たりカードを引く楽しみ方が簡易的にできる筐体としての需要が高く、一定の集客効果が見込めるメリットがあるのです。
一度当たりカードが出れば、知り合いやSNS経由でトレカ自販機の噂が広がり、実際に店舗へ訪れて購入する人も出てきます。
近年では動画配信者やインフルエンサーの中でトレカを収集している人も多く、トレカ自販機は企画として盛り上がりやすい内容になっています。
利用者のメリット
店側のメリットを見ると購入する利用側は損するように見えますが、トレカ自販機の性質から利用者も以下のメリットを感じられます。
- パック開封と同様の楽しさがある
- 公式のパックでは1箱以上購入しないと入手できない高いレアリティのカードを入手できる可能性がある
- 購入後に必要なければすぐに売り出せる
集客効果でも提示したように、トレカを収集する楽しみの1つであるパック開封が簡易的に楽しめるメリットがあります。
また、高いレアリティのカードは公式のパックだと封入率が低く、自力で入手するには箱やカートン単位で購入する必要が出てきます。
しかし、トレカ自販機であれば当たりカードとして提示している限りは、筐体に必ず高いレアリティのカードが封入されているため、公式のパックより期待値が高いのです。
確実に入手できるわけではないので、本気で当てるにはある程度の数を回す必要はありますが、1回あたり500円から1,000円前後で回せる店舗が多いのもメリットになっています。
トレカ自販機はカードショップや中古販売店の近辺に設置されているため、仮に出てきたカードが自分に必要ない場合は、そのまま売り出す選択もできます。
トレカ自販機の選び方
ここでは、店舗がトレカ自販機を購入する際の選び方について紹介します。
サイズを見て選ぶ
トレカ自販機は筐体によって本体サイズが異なるため、設置する店舗の空きスペースによって選択する必要があります。
サイズが大きいものほど客の目を引くメリットはありますが、配置換えする際に少し手間がかかるデメリットがあります。
一方で、サイズが小さいものは配置や移動は楽ですが、収納枚数は少なくなる点はデメリットです。
仕様を見て選ぶ
近年はトレカ自販機も電子化されるなど様々な仕様の筐体が出てきているため、店舗に合わせた機能を持った筐体を選ぶ必要があります。
トレカ自販機の仕様の中で確認しておきたい項目は、以下の通りです。
- 購入時の操作方法:ハンドル操作や電子パネルなど
- 電気代の有無
- 使用可能なお金:硬貨や紙幣、電子決済など
- 屋外対応の有無
- セキュリティ面
トレカ自販機は飲み物の自販機のように冷蔵機能は必要ありませんが、購入時の操作方法がボタンを押すタイプや電子パネルである場合は、電気代が必要になります。
自動で売上を出せるトレカ自販機でも電気代の方が高く付く場合は、費用に見合わない可能性もあるため、その際は電気がいらない筐体を選びましょう。
使用可能なお金については紙幣が使えない筐体だと、販売価格を高く設定できないので、元々の価格が高いカードを封入したい場合は紙幣に対応する筐体がおすすめです。
電子決済まで対応できる筐体を選んだ場合は利用者としては便利になりますが、トレカ自販機の価格が高くなりやすく、電気代も高くなる可能性があります。
筐体によっては外に設置できない仕様の商品もあるため、店舗の外側に設置したい場合は屋外対応の有無も確認しましょう。
ただし、屋外対応でも電気が必要な場合は電源を繋げるための電源工事が必要になる可能性があります。
セキュリティ面については店舗の外側に設置する場合は特に重視した方が良い項目で、元々の価格が高いカードを封入する点も考えると、セキュリティが整った筐体を選びましょう。
おすすめのトレカ自販機4選
ここでは、店舗がトレカ自販機を導入する際のおすすめの筐体について紹介します。
自動販売機-S-28VN
おすすめトレカ自販機その1は「自動販売機-S-28VN」です。
本体サイズ | W800mm×H1830mm×D500mm |
本体重量 | 記載なし |
収納数 | 箱状の商品を最大273個収納 |
電気代 | 必要 |
購入時の操作方法 | 例示されている商品下のボタンを押す |
使用可能なお金 | 紙幣、硬貨 約300枚を収納 紙幣識別装置を搭載 |
価格設定 | 公式サイトの記載なし 100円~1,000円単位で設定できる |
屋外対応 | 可能 |
セキュリティ | セキュリティガード(3.2mm厚焼入れ鋼板)標準装備 上下ヒンジカバー標準装備 内筒焼入れ一体防犯強化キーを標準装備 |
自動販売機JPから販売されている汎用型の自販機で、トレカを始めとした28品目を販売できる仕様になっています。
筐体に商品を入れた紙箱を収納して販売する形式であり、以下のサイズの紙箱を最大273箱を収納できます。
- 高さ:23~30cm
- 幅:71~73cm
- 奥行:111~113cm
- 質量:40~195g以下
自動販売機JPでは、オプションで販売用の紙箱も注文可能です。
見た目や操作感は飲み物の自販機とほぼ変わらず、紙幣や屋外設置にも対応しています。
セキュリティ面もしっかり整っているので、収納数の多さと使いやすさを兼ね備えたトレカ自販機です。

トレーディングカード販売機 DF-5
おすすめトレカ自販機その2は「トレーディングカード販売機 DF-5」です。
本体サイズ | W342mm×D240mm×H550mm |
本体重量 | 18kg |
収納数 | 専用梱包箱を最大70箱 |
電気代 | 不要 |
購入時の操作方法 | 手動前面ハンドル操作 |
使用可能なお金 | 100円硬貨 10円硬貨はオプションで使用可能 |
価格設定 | 100〜600円(100円きざみ) |
屋外対応 | 不可 |
セキュリティ | 本体部分の鍵 |
株式会社ダイトが製造していたトレカ自販機専用の筐体で、カプセルトイのガチャガチャのような操作感となっています。
100円硬貨のみの対応かつ屋内設置不可の商品ですが、電源を必要としないため、電気代を完全にカットできるメリットがあります。
オプションとして梱包用の紙箱や高さ調節に使える専用ボックス台なども同時に注文できていました。
オプション | サイズ |
梱包箱 | W108×D71×H21mm |
専用ボックス台 | W450×D350×H720mm |
専用タテ型台 | W342×D240×H130mm |
しかし、こちらの商品は現在株式会社ダイトの公式サイトからは購入できず、中古販売でのみ入手できる状態です。
中古品の場合はオプションが付いていなかったり、鍵が無くなっていたりと使用感やセキュリティ面に難点が生じる可能性があるため、導入は慎重に検討しましょう。

手動式自動販売機 DF-8A
おすすめトレカ自販機その3は「手動式自動販売機 DF-8A」です。
本体サイズ | W342mm×D220mm×H780mm |
本体重量 | 18kg |
収納数 | 商品サイズによる |
電気代 | 不要 |
購入時の操作方法 | 手動前面ハンドル操作 |
使用可能なお金 | 100円硬貨 10円硬貨はオプションで使用可能 |
価格設定 | 100〜600円(100円きざみ) |
屋外対応 | 不可 |
セキュリティ | 本体部分の鍵 オプションで鍵付き金庫を装着可能 |
DF-5を製造していた株式会社ダイトが販売している筐体で、仕様面は似ていますが、こちらはトレカに限らず様々な用途で使用できる自販機になっています。
公式サイトでは以下のオプションを追加できるようになっており、鍵付き金庫を付ければ安全性を高められます。
- ボックス台
- カウンター
- 鍵付き金庫
販売選択数は1種類のみになりますが、同じ筐体を上に重ねて複数設置することも可能であり、専用のボックス台も含めてドライバー1本あれば組み立てられます。
電気代を必要とせず、本体サイズから設置するスペースも最小限に抑えられるため、費用をかけずに店舗内に設置するトレカ自販機としておすすめです。

AIICO
おすすめトレカ自販機その4は「AIICO」です。
本体サイズ | H1,800㎜×W1,245㎜×D932㎜ |
本体重量 | 公式サイトの記載なし |
収納数 | 詳細不明 |
電気代 | 必要 |
購入時の操作方法 | タッチパネル |
使用可能なお金 | 硬貨、紙幣、キャッシュレス決済(QR決済) |
価格設定 | 公式サイトの記載なし 100円~1,000円単位で設定できる |
屋外対応 | 可能 |
セキュリティ | 詳細不明 |
株式会社ビジョンデジタルマーケティングが販売もしくはリース契約で提供しているデジタルサイネージ型自販機であり、トレカ販売の実績もあります。
デジタルサイネージとは、ディスプレイ等の映像表示を行う装置によって情報を発信するシステム、もしくはその機能を搭載した機械です。
AIICOもサイネージ広告を映し出しながら商品の販売を行えるようになっており、トレカを販売する場合は当たりカードの提示もディスプレイ内に表示できます。
その他にもカードショップ等の宣伝を表示するなど、様々な広告動画が流せるため、店舗から離れた場所に設置しても集客効果が見込めるところが強みです。
商品を購入する際は液晶でタッチパネル操作を行い、購入時には現金以外にもキャッシュレス決済に対応しています。
さらに利用者のデータ分析を行える機能があり、データから需要に合わせた商品や広告の導入を検討できます。
店舗から離れた位置に設置する予定の店舗や機能面の充実を求める店舗におすすめのトレカ自販機です。

まとめ
トレカ自販機はカードショップや中古販売店が高いレアリティのカードを当たりとして箱や袋に入れて販売する形式で、店側には様々なメリットがあります。
一方で、利用者側にもパック開封と同じ楽しみ方や少ないお金で当たりカードを入手できる可能性があるため、導入して損をする可能性は少なくなっています。
販売やレンタルを行っているトレカ自販機には本体サイズ以外にも電気の有無や対応するお金などの仕様の違いがあるため、店舗ごとに合わせた筐体をしっかり選びましょう。
導入するトレカ自販機の種類に迷った場合は、おすすめで紹介した筐体であればこれまで使用された実績や機能面が充実しているので、検討してみてください。