2021年5月現在、副業を認める一般企業同様に、副業・兼業に積極的な地方自治体の発表が注目を集めています。
地方公務員として従事しながら副業に教務があるけれど「どの範囲まで解禁されているかわからない」「認められている副業が具体的に知りたい」など、お悩みではありませんか?
今回は、地方公務員が副業に取り組むうえで遵守すべき法律についてわかりやすく解説した上で、地方自治体の副業解禁事例を3つ紹介し、規則内のおすすめ副業を厳選してご提案します。
この記事を読めば、ルールを守りながら地方公務員としての活躍と副業を兼務するポイントをつかむことができ、トラブル無く副業に取り組むための最大限のサポートとなるでしょう。
東京大学 法科大学院 卒業。モノリス法律事務所 代表弁護士。
イースター株式会社代表取締役。株式会社KPIソリューションズ監査役。株式会社BearTail最高法務責任者。
地方公務員の副業・兼業は法律で制限がある
地方公務員の場合は、一般企業の会社員と異なり、副業・兼業が法律で一部制限されています。しかし、必ずしもすべての副業・兼業が禁止なわけではないのでご安心ください。
地方公務員として従事していても、規則内であれば副業・兼業が可能です。
下記では、地方公務員として把握すべき法律について、具体的に解説します。
国家公務員法 第103条
国家公務員法 第103条によって、公務員の副業は以下のように定められています。
引用元:国家公務員の兼業について(概要)
公務員は「営利企業の役員兼業」と「自営兼業」の2種類を法律で制限されています。
具体的に公務員に許可されている副業とは、社会福祉サービスや、市区町村の地域交流や子育て世帯向けのイベント実施・提供などの公益的活動のみです。
つまり、名義貸出のみや無報酬の稼働だとしても、営利目的の副業は違反に該当するので注意しましょう。
国家公務員法 第104条
国家公務員法 第104条によって、公務員の副業は以下のように定められています。
引用元:国家公務員の兼業について(概要)
と定められています。
公務員が公益的活動で副業収入を得て継続的に従事する場合は、内閣総理大臣及び所轄庁の長の許可が必要です。承諾を得ずに副業を行うと、規則違反で罰則が与えられる可能性があるので注意しましょう。
地方公務員法 第38条
地方公務員法第38条によって、地方公務員の副業は以下のように定められています。
引用元:第2章 公務員の副業・兼業に関する_CC2015.indd|公益財団法人 東京市町村自治調査会
国家公務員法と同様に、地方公務員法でも営利目的の副業は法律で禁じられています。
また、副業を行う際は、任命権者の承認が必要なので注意しましょう。
任命権者とは、一般的な地方公務員であれば市町村長を指します。ただし、組織によって例外がある可能性を考慮して、迷った場合は直属の上長に確認するとよいでしょう。
地方公務員ができる副業の範囲とは?
前章で地方公務員の副業・兼業には、制限があると説明しました。
ここでは、地方公務員ができる副業の範囲をわかりやすく理解できるように、具体的に押さえておきたいポイントをご紹介します。
地方公務員で副業を検討している方は、以下に該当する仕事内容か確認しましょう。
- 公益的活動
- 地方公務員として信用を失わない活動
- 本業の情報漏洩のリスクがない活動
- 本業に支障をきたさない活動
- 上長・任命権者の承認を得ている活動
公益的活動とは、国家公務員法 第103条で説明した通りです。
さらに、公務員の場合は、副業収入は諸経費以下もしくは無報酬でなければ活動できません。
上記に該当しない活動は営利目的と見なされ、上長や任命権者の章だ人を得られない可能性があります。
自営兼業承認申請書の提出について
地方公務員が副業を始めるにあたり、事前に上長・任命権者に申告した上で「自営兼業承認申請書」という申請書類の提出が必要なケースがあります。
自営兼業承認申請書とは、公務員が副業の承認を得るための申請書類のことを指し、人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について 第7項によると、以下のように定められています。
引用元:人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について
人事院規則の通り、副業禁止規定に該当しない場合は、自営兼業承認申請書を提出する必要はありません。
しかし、副業初心者で提出に迷った場合は、トラブルを未然に防ぐために上長や任命権者に必ず相談して指示を仰ぎましょう。
副業・兼業に積極的な地方自治体がある?
一般企業の副業が認められつつある昨今において、副業・兼業に積極的な地方自治体が注目を集めています。
以下では、地方公務員の副業承認を発表している自治体の事例を3つご紹介します。
兵庫県神戸市
兵庫県神戸市は、2017年4月に「地域貢献応援制度」を発表し、神戸市職員の報酬が伴う地域貢献活動を承認しました。
神戸市職員採用ページでは、以下のように発表しています。
引用元:働き方改革 | 神戸市:職員採用ページ
奈良県生駒市
奈良県生駒市は、2018年8月に生駒市職員の副業を承認し、以下のように発表しています。
より一層厳しい自治体経営が予測される少子高齢化時代にあって、持続可能なまちづくり を進めていくためには、市民と行政が互いの立場を認識し、自覚と責任を持ってそれぞれが 役割を担い、協働しながら地域課題を解決していくことが必要である。 職員が、職務外に積極的に地域貢献活動に参加すれば、市民参画は進み、市民との協働に よるまちづくりがより一層活発になることが期待できる。 職員が報酬を得て事業若しくは事務に従事する場合には、地方公務員法第38条第1項の 規定により、任命権者の許可が必要とされている。 職員の職務外における地域貢献活動等を促進するため、特に報酬を得て地域貢献活動等に 従事する場合の許可基準と運用について、職員の営利企業等の従事制限に関する規則(昭和3 5年2月生駒市規則第1号。以下「規則」という。)の規定に基づき、次のとおり定める。
2 対象となる活動
次の要件をすべて満たす活動であること。 (1) 公益性が高く、継続的に行う地域貢献活動であって、報酬を伴うもの。 (2) 市内外の地域の発展、活性化に寄与する活動であること。
引用元:地域貢献活動を行う職員の営利企業等の従事制限の運用について
地方公務員法の法律を遵守した上で、地域の発展・活性化に寄与する活動は好意的に推奨されていることがわかります。
宮崎県新富町
宮崎県新富町は、2018年11月に町職員の副業の承認を発表し、宮崎日日新聞が以下のように報じています。
引用元:新富町職員副業OK 県内初、許可基準を明確化
各地で副業解禁の動きが広まりつつある影響を受けて、新富町は人口減少による人手不足解消の一対策として、副業解禁に踏み切ったそう。
地方公務員におすすめの副業は投資
地方公務員の方におすすめの副業は、投資です。投資は副業規則に違反しない上に、隙間時間で取り組めるため、本業に支障をきたしにくいからです。
下記表では、地方公務員の方におすすめの投資を4つご紹介します。
不動産投資 | 株式投資 | FX | 仮想通貨 | |
サービス名 | 楽待 | LINE証券 | GMOクリック証券 | DMM Bitcoin |
特徴 | 楽待は、国内最大の不動産投資サイトです。 融資の受け方から収益物件を高く売却する方 法までレクチャーしてくれるため、不動産投 資初心者でも挑戦しやすい仕組みが整ってい ます。 | LINE証券は、スマホ1つで株式投資が行える ネット証券会社です。LINE Payで手軽に入 出金できるので、証券口座へ入金する手間を 省いてスムーズに投資活動が行えます。 | GMOクリック証券は、2020年1月~2020年12 月のFX取引高世界第1位の証券会社です。年 会費・口座維持費・取引手数料が無料なので 、投資コストを抑えながらFX取引に挑戦でき ます。 | DMM Bitcoinは、DMMグループが提供する取 引所です。口座開設・維持手数料、出金手数 料、ロスカット手数料、取引手数料が無料な ので、投資コスを抑えながら最大限に利益を 拡大させる挑戦に集中できます。 |
おすすめ度 | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★ | ★★★ |
稼ぎやすさ | 楽待に登録すると、不動産投資セミナー動画 が無料で見放題です。不動産投資で収益を得 るために必要な知識を効率的に獲得できるた め、不動産投資の知識を身に着けたい方にお すすめです。 | LINE証券では、有名企業の株式を1株から購 入できます。企業によっては数百円から証券 投資に挑戦できるため、少額の自己資金から 投資を始めてみたい初心者におすすめです。 | GMOクリック証券は、高金利通貨のスワップ が業界最安水準な上に、取引手数料も無料で す。投資コストを抑えながら高金利収益の獲 得を目指せるため、お得に取引ができておす すめです。 | DMM Bitcoinは11種類もの暗号資産を取り 扱っている上に、数百円から取引できる銘柄 も用意されています。さらに、カスタマーサ ポートはLINEで対応してくれるため、疑問を スピーディーに解消することができて取引初 心者におすすめです。 |
サイト | https://www.rakumachi.jp/ | https://line-sec.co.jp/ | https://www.click-sec.com/corp/guide/fxneo/ | https://bitcoin.dmm.com/ |
下記では、それぞれの投資とおすすめサービスについて、詳しく解説します。
不動産投資|楽待
不動産投資は、公務員が承認されている副業の中で最も代表的な副業のひとつです。株式・FX・仮想通貨の取引のように市場の値動きを毎日チェックする必要が無いため、本業に支障をきたしにくいでしょう。
不動産投資で最大限の収益を獲得するためには、より多くの知識をもとに、将来性のある不動産を見極める力が必要です。
不動産投資初心者の場合は「楽待」の利用をおすすめします。なぜなら、不動産投資の基礎知識から運用まで網羅的に学べるので、初心者を支えるサービスが充実しているからです。
株式投資|LINE証券
一般的に株式投資では、企業が発行する株式を購入し、配当金や売却益の獲得を目指します。国内企業の株式投資であれば情報収集もしやすく、投資初心者でも楽しみながら投資活動に取り組めるでしょう。
株式投資初心者の場合は「LINE証券」の利用をおすすめします。なぜなら、有名企業の株式を1株単位から購入できるため、少額の自己資金でリスクヘッジをしながら投資活動を始められるからです。
FX|GMOクリック証券
FXとは「外国為替証拠金取引」を意味し、証拠金を担保に外国為替を反対売買で取引して、為替変動で生じる差額分の利益獲得を目指します。
FXは少額の自己資金で始められる魅力がありますが、為替市場は目まぐるしく変動するため、FX取引の知識が乏しい状態で取り組むことは一概におすすめできません。
FXの基礎知識を身に着けた上で挑戦する場合は「GMOクリック証券」の利用をおすすめします。なぜなら、高金利通貨のスワップが業界最安水準な上に取引手数料も無料なので、投資コストを抑えながら収益の獲得を目指せるからです。
仮想通貨|DMM Bitcoin
仮想通貨とは、世界中で使える電子通貨のことです。投資対象以外に、インターネット上の送金手段や料金支払い、買い物の際に活用される機会もあります。
一般的な紙幣や硬貨のように形がありませんが、通貨と同等の価値があると考えられており、投資目的で取引する場合か仮想通貨取引所で取引を行います。
FX同様、基礎知識を身に着けた上で初心者が取引する場合は「DMM Bitcoin」の利用がおすすめです。なぜなら、数百円から取引できる銘柄も用意されてる上に、カスタマーサポートがLINEで疑問点や不安要素をスピーディーに対応してくれるからです。
地方公務員が規約内でやりやすい副業
地方公務員は、副業に厳しい規約が生じることを説明してきました。しかし、投資は初期費用の必要性やある程度のリスクを許容する覚悟が無いと始めにくいため、最初の一歩が踏み出せない方も少なくないでしょう。
この章では、地方公務員の規約内で挑戦しやすい副業をご紹介します。専門的な知識や自己資金を用意せずに始められるため、参考にしてみてください。
小規模農業
地方公務員の方の場合は、親族が農業を営んでいるご家庭も少なくないのではないでしょうか。公務員は、特定の条件を満たせば、許可を得ずに兼業農家として働くことを許可されています。
具体的には、農業所得が本業所得を超えないことを前提として、小規模の農業である必要があります。地域によって農家の規模感はさまざまですが、年間50万円以下・耕地面積30a以下の規模感をひとつの指標とするとよいでしょう。
ただし、地方自治体によって解釈にバラつきがある可能性があるため、一度上長に相談してから始めると安心です。
執筆
地方公務員は、事前に上長・任命権者の承認を得た上で、執筆業に携わることが認められています。最近では紙媒体の執筆に留まらず、Webメディアの記事執筆も主流のため、副業案件も見つけやすいでしょう。
ただし、地方公務員としての信用を失うような内容や、本業の情報漏洩の危険性が無い案件を引き受けるように注意してください。
講演の登壇
執筆業同様、事前に上長・任命権者の承認を得た上で、講演に登壇したり、講師を務めたりすることも認められています。講演・講師で人前に立つ際は、地方公務員としてのモラルを守った行動をとりましょう。
また、講演や講師として活動するとなると、ある程度まとまった拘束時間が発生します。
あくまで本業に支障をきたさないよう、無理のない範囲でスケジュールを立てるように注意してください。
地方公務員が副業を始める際の注意点 3つ
この章では、地方公務員が副業を始める際に注意すべきポイントは、以下3つです。
- 判断に迷ったら上長・任命権者に相談
- あくまで本業が最優先
- 副業年収20万円以上は確定申告必須
あなたが地方公務員として働きながら、初めて副業に挑戦する際は必ず把握しておきましょう。
判断に迷ったら上長・任命権者に相談
公務員の副業は、冒頭で解説した通り、国家公務員法や地方公務員法で一部制限されています。そのため、悪意無く違反してしまった場合でも、罰則を科せられる可能性があるため十分に注意してください。
副業・兼業にまつわる判断に迷った場合は、上長または任命権者に必ず相談しましょう。違反して問題になってから後悔しないように、予め不安要素を解消した上で副業に取り組みましょう。
あくまで本業が最優先
公務員の副業に関しては、国家公務員法第96条1項によって以下のように定められています。
引用元:国家公務員の兼業について(概要)
本業に支障をきたすような副業は規則違反と見なされ、場合によっては罰則が与えられます。なぜなら、公務員は国民の税金から給与が支払われているため、一般企業の会社員と比べて服務規律が厳しく定められてるからです。
そのため、本業よりも副業を優先しないよう、くれぐれも注意しながら取り組みましょう。
副業年収20万円以上は確定申告必須
副業年収が年間20万円以上の場合は、確定申告の必要があるため注意しましょう。
また、以下のいずれかに該当する場合は、副業年収が年間20万円以下の場合でも確定申告の必要があります。
- 本業の給与年収が2,000万円以上の場合
- 110万円以上の贈与を受けた場合
- 不動産所得がある場合
- 株・投資信託・FXなどの投資活動で譲渡益が38万円以上の場合
- ギャンブル・懸賞金が一定額を超えた場合
確定申告を忘れてしまうと、無申告として罰則が与えられるため注意しましょう。
地方公務員は法律を遵守して副業に取り組もう
地方公務員の副業について、法律や解禁を発表している地方自治体の事例、おすすめの副業をご紹介しました。「地方公務員に許可されている副業の範囲がわかった」「投資を始めてみたい」など、思うところはさまざまなのではないでしょうか。
地方公務員でトラブルを起こさずに副業を行うためには、法律を遵守した上で必要に応じて上長・任命権者に承諾を得て、本業に支障をきたさない範囲で活動しましょう。
あなたにとってこの記事が、地方公務員として活躍しながら、自分に合った副業探しのサポートとなれば幸いです。