食品成分表示は面白いので見たほうがいい

食品成分表、お好きですか? ぼくは好きです。
なぜかというと面白いからです。
でも、まだその面白さをご存じない方も多いかもしれません。
なので、どんなところが面白いのかを説明したいと思います。

百聞は一見にしかず、実際にぼくが面白いと思う成分表をご紹介しますのでしばしお付き合いください。

予想外のものが入っている 〜グミと果汁系〜

グミの成分表

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グミの成分表の面白いところは、原材料に含まれるアレルギー物質です。
卵とかそばとかそういうアレルギーを引き起こすおそれがある成分のことですね。

たとえば今回紹介するグミは温州みかん味とレモン味ですが、どんなアレルギー成分が入っていると思いますか?
普通に考えると「みかんとレモンかな?」と頭に浮かぶと思いますが、実際は……

グミ1

グミ2

りんごなんです。

「なぜみかん味なのにりんごが入ってるの?」と思われるかもしれませんが、実はグミという食べ物の作り方に秘密があります。

成分表をよく見るとわかりますが、「ゲル化剤(ペクチン:りんご由来)」という表記があります。ペクチンには食品をゼリー状に固めるゲル化作用があり、りんごから抽出されることが多いのです。それでアレルギー物質にりんごがあるというわけです。(グミであれば必ずりんごが入っているわけではありません。)

果汁系の成分表

果汁系とざっくり言っていますが、要するに果汁の含まれるジュースやゼリーなどの食品のことです。

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これの面白いところは、使っている果実の種類です。
たとえば今回紹介するのはオランジーナ、蒟蒻畑ぶどう味、ララクラッシュぶどう味ですが、成分表を見てみると…

オランジーナ

蒟蒻畑

ララクラッシュ

・オランジーナはオレンジ以外にもレモン・マンダリンオレンジ・グレープフルーツ
・蒟蒻畑ぶどう味はぶどう以外にりんご
・ララクラッシュぶどう味はぶどう以外にブルーベリー

使っていることがわかります。

予想ですが、商品の開発現場では「ぶどう味のゼリーを作りたいが、ぶどう果汁だけで作ろうとすると甘みがしつこいのでさわやかさがほしい……そうだ!りんご果汁を足してみよう!」といった試行錯誤があったのかもしれません。

ちなみに…

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ポッカレモンは見ての通り果汁100%とうたっているのですが、ぼくにはなんとなく生のレモンを絞ったときとは違う味がするような……気がします。
そこで念のため成分表を見てみると……

レモン

香料が入っています。もちろん、ごまかしとかではなくむしろレモンらしさを出すためのものだとは思うのですが、そのためにちょっと違和感を感じているのかもしれません。

ちなみに、これを見た子供のぼくは親に
「わずかでも香料が入ってる以上、厳密には果汁100%で構成されているとは言えない!」
とかいちゃもんを付けていたことを思い出します。
(ヤな子供だな……)

入っているかと思ったら入っていない 〜蒲焼さん太郎とカニカマ〜

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駄菓子の代表格、蒲焼さん太郎。
うなぎの蒲焼を連想させるパッケージですが……

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成分表を見てもうなぎが入っているのか判然としません。
この「魚肉のすり身」の中にうなぎは含まれているのでしょうか。
実際にメーカーの株式会社菓道に聞いてみました。

結論としては、やはりうなぎは使っていないそうです。
主にたらとほっけのすり身とイカ粉をまぜたものに、醤油やみりんで味付けして蒲焼き風に仕立てたとのことです。
おいしいからいいですけどね。

では、同じように○○風味で連想されるカニカマはどうでしょうか?

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今回は西友のプライベートブランドのものとニッスイのちょっとお高いもの、二種類のカニカマを買ってきました。

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西友のプライベートブランドのものは、かに肉は使用されていませんでした。
かにエキスは使っていますが……。

でもカニカマはかにを使っていない! と結論付けられるかというとそうでもなく、

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ニッスイのちょっとお高かったカニカマにはずわいがにが含まれていました。

ちなみに味の方は好み次第という感じで、個人的には西友のカニカマのほうがTHE・カニカマという感じで好みだったりしました。

菌は生きているとは限らない? ~乳酸菌飲料~

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乳酸菌飲料の成分表の面白さ、それは菌のありかたです。

まずはカルピスの成分表を見てみましょう。

カルピス

乳製品乳酸菌飲料(殺菌)とあります。

当然のように「乳酸菌は生きてるはず」と思ってた身としてはショックを隠せません。

ではヤクルトはどうかというと……

ヤクルト

こちらは乳酸菌が生きたまま腸に到達することをうたっています。

ただ、だからといってカルピスは悪い!とかいう話ではありません。
カルピスのホームページによると、

「カルピス」は、できたてのおいしさを保つために、最後に加熱殺菌をし、密封しています。乳酸菌自体は殺菌されておりますが、発酵によって体によい成分が作られたり、また牛乳の成分がより消化吸収しやすくなっていたりするという特性があります。

とのことで、殺菌されていてもメリットはあることがわかります。

チョコボールはチョコレートじゃない? 〜チョコレート〜

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チョコと言えばのチョコボールと最近人気上昇中の高品質チョコレート The chocolate。

どっちもチョコレートに見えますが、片方は厳密に言うと「チョコレート」ではありません。

チョコボール

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これについては、原材料のところではなく名称のところを見てください。

すると、チョコボールには「準チョコレート」と書いてあることがわかります。

準チョコレートとは、要するにカカオ分の少ないチョコレート生地をつかったものです。
厳密な分類は下記をご覧ください。

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準チョコレートは他にも、

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コアラのマーチとか、

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ブラックサンダーなんかも準チョコレートです。

ちなみに、こういった成分の含有量で名称が変わるものとしては、ほかにアイスがありまして、

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これは乳成分の多寡によって、
・アイスクリーム
・アイスミルク
・ラクトアイス
・氷菓
にわけられます。

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本来の製法は遠く、代用品に屈する。〜片栗粉とわらびもち粉〜

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片栗粉とわらびもち粉。普段何気なく使っていますが、実はこの2つには共通点があります。
それは、成分が名に現れているということ。

片栗粉はユリ科のカタクリという植物の根から、わらびもち粉はわらびの根からつくられるもの……でした。

なぜ過去形かというと、成分表をご覧ください。

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片栗粉は100%馬鈴薯澱粉、要するにじゃがいもから。
わらびもち粉は75%甘藷澱粉(要するにさつまいも)と15%葛澱粉(要するにクズという植物)から作られていることがわかります。

写真はとってないですが、葛粉なんかも、じゃがいもやさつまいもなんかを使ったものが多いです。

要するに、本来の製法で作られたものは生産量が少なく高価だったりするので、代用品のほうがむしろメジャーになっている、ということですね。

まぐろ、だけじゃない 〜ツナ缶〜

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突然ですが、この5つのツナ缶。
おおきく2種類に分別できます。その基準はなにかというと、使っている魚です。
「ツナ缶なんだからマグロじゃないの?」と思うかもしれませんが、見てみましょう。

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このとおり、カツオのものとマグロのものがあるのです。

とはいっても、安心してほしいのはきちんとツナ(マグロの英語名)の表記があるものはマグロでできていたりとルールがあります。
そのほか、ノンオイルだったり食塩無添加だったりと意外とツナ缶は種類が豊富なので、用途や好みによって使い分けたいものです。

答えは裏に書いてある〜オイスターソースとウスターソース〜

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ぼくの知人に「ウスターソースとオイスターソースは読み方の違いで同じものだと思っていた」という人がいます。

そんな勘違いを予防する上でも、成分表は役立ちます。

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こんな感じで、
・ウスターソースは野菜や果実をベースにしたもの
・オイスターソースはその名の通り牡蠣の汁をベースにしたもの
ということがわかります。

余談になりますが、ぼくはウスターソースが大好きですが、成分表を見てもいまだに頭のなかでこの材料をつかってもあのソースが出来上がるというイメージが湧きません。

遺伝子組換えがむしろ気になる〜大豆製品〜

豆腐や納豆などの大豆製品。その成分表の表記で一度は見たことがあるかもしれません、「大豆(遺伝子組換えでない)」の表記を。

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でも、逆に「遺伝子組み換え大豆です」という表記を見たことなくないですか?

大豆の自給率は6%

米国における遺伝子組換えダイズの栽培率93%(輸入元の米国シェアは約65%)

という現状ですから、一個くらいは遺伝子組み換え大豆製品があるのではないかとスーパーをさがしたのですが…

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見つかりませんでした。遺伝子組換え大豆がむしろ食べたくなる……。

ちなみに、家畜の飼料なんかにはさすがに使われているらしいのですが、

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家の卵のパックを見たら、こんなところまで徹底されていました。
遺伝子組み換え大豆を食べられる商品をご存知でしたらご一報ください。

小麦からは逃れられない〜小麦含有商品〜

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一見バラバラのこの3つの商品。
このうち、成分として小麦が含まれるものは何個でしょうか。

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正解は全部です。

グルテンフリーという、ざっくりいうと小麦が含まれる食物を食べないようにするという健康法がありますが、厳密にやろうとするとかなり大変なことがわかりますね。

ちなみにぼくもグルテンフリーを一度試したことがありましたが、すぐにラーメンを食べてしまって続きませんでした。(成分以前の問題)

バキが言っていたことは本当か〜めかぶ〜

ぼくが好きなマンガの、刃牙の一コマにこんなシーンがあります。

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※板垣恵介(2013)『範馬刃牙』30巻 秋田書店より

刃牙が勇次郎と食卓をかこむという非常にシュールなシーンです。
このあと勇次郎から、「防腐剤、着色料、保存料、様々な化学物質が体にいいはずがないが、毒も栄養も血肉に変える度量こそが食には肝要だ」と感動的な説教を受けるわけですが、それはそれとして、実際にパックのめかぶにはそんなにいろいろ入ってるんでしょうか?

調べてみましょう!

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こうして見てみると、うすあさめかぶのほうはたしかに保存料が入っていますが、三陸宮城県産めかぶのほうは調味料くらいしか入っていません。

これからは刃牙くんには、勇次郎の教えを守りながらも、パックのめかぶに含まれているものを気にするくらいならちょっといいめかぶを買って安心して食事を取ってもらいたいものです。

牛乳の成分表

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牛乳の成分表で見ておきたいところは、殺菌方法です。

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メーカーに寄って殺菌方法は異なりますが、120℃〜150℃で数秒殺菌する方法が主流のようです。

そんななか、タカナシの低温殺菌牛乳は66℃で30分間という殺菌方法を取っています。

飲み比べてみるとわかるのですが、タカナシの低温殺菌牛乳はよりフレッシュな感じがして、非常に好みです。
人によっては高温殺菌は牛乳が焦げた臭いがするが、低温殺菌なら大丈夫、と言ったりします。
ちょっとお高いのでツキイチくらいのご褒美にしていますが、いずれはこれを毎日飲めるようになりたいものです。

また、メグミルクは年間の牛乳成分変動グラフを載せたりしていて、「やっぱり冬は味が濃くなるんだなあ」とわかったりして楽しいです。

ただぼくが好きな成分表を3つご紹介〜カレールーと焼肉のタレと緑茶〜

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ぼくが特に好きなのが、カレールーと焼肉のタレの成分表です。

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これについては、見てほしいのはその材料の多さです。

野菜やフルーツを始めとして、非常に数多くの食材が使われているということがわかります。
眺めているだけでわくわくする成分表です。
すみません、それだけです。わくわく、しませんか?

もうひとつだけ!
これが最後ですが、

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緑茶にはだいたいビタミンCが入っています。
それだけ、なんですが、面白くないですか?
レモンが自動的にイメージされるビタミンCと緑茶の組み合わせというのが……

ちなみにビタミンCは酸化防止として保存されているようです。

ようこそ成分表の世界へ

ここまで読んでいただいた方はお気づきかもしれませんが、実は中には「成分表」の枠を外れているものもありました。
正確には「表示事項」といったほうがよかったかもしれません。

でもまあ、お伝えしたかったのは要するに裏の成分表とかの表示を見てみると楽しいですよ、ということです。

みなさんもぜひ、買い物の際には成分表をチェックしてみてください。
きっと素敵な出会いがあるはずです。

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