メルカリで不用品を出品しておこづかいを稼いだり、副業として本格的に転売をしている方もいますよね。
しかし「転売は違法」と指摘されたり、アカウント削除や場合によっては通報される可能性があります。
それでは、法律違反になる「転売」とはどこからなのでしょうか。
本記事では、メルカリを利用した転売について詳しく解説し、具体的な違法転売事例や注意点もご紹介します。
不正転売・違法転売にならないメルカリの活用法が気になる方はぜひ最後までご覧ください。
転売は違法になる?
まず転売は違法になるのでしょうか?転売に関連する法律も交えて詳しく解説します。
転売行為そのものは違法ではない
実は、転売行為そのものは法律違反ではありません。
転売とは「一度購入した商品をさらに他へ売却・引き渡すこと」を指します。
もしこの行為が法律違反であれば、仕入れを行い販売している全ての小売業が違法となってしまいます。
メルカリをはじめとしたフリマサイトで不用品を出品したり、古本屋へ読み終わった書籍を売ることもでません。
では、違法となりうる転売行為とは何でしょうか。
違法となる転売行為とは
いわゆる「不正転売・違法転売」に該当するのは、下記の場合です。
必要な許認可を取得せずに行う転売
転売を行う商品によっては、特別な許認可が必要となります。
例えば、お酒類や薬などは購入者の心身に大きな影響を及ぼす可能性がある商品です。
そのため、不利益などを与えないよう、特別な許認可を受けた製造者・販売店のみが取り扱えるよう規定されています。
知らずに無許可で転売し、違法となってしまうケースが多発しています。
買い占めや高額転売など他者の不利益となる行為
希少性の高い限定チケットや数量限定生産グッズを転売する行為は、不正転売・悪質転売として規制されています。
例えば、新型コロナウイルスで品薄となったマスクの高額転売などが記憶に新しいですね。
本当に必要な人が入手できなくなる転売行為を防止するため、政府はチケット不正転売禁止法やマスク転売規制などを新たに整備し、取り締まりを進めています。
商品内容を偽って行う転売
メルカリのような出品サイトに、実物とは異なる画像を掲載していたり、誤った商品情報を掲載して転売すると詐欺罪になる可能性があります。
また、料金を受け取り商品を引き渡さない場合ももちろん違法です。
新品と偽り中古品を出品したり、故障や不備を隠して出品する転売行為が横行しており、「転売」に悪いイメージが広がる原因となっています。
違法な商品を転売する行為
そのほか、そもそも商品自体が違法な場合は転売すると当然犯罪となります。
偽物や危険物、窃盗品などを故意に売りつける悪質な転売はもちろんですが、海外で合法な商品が日本で違法となるケースもあるので注意が必要です。
中には、巧妙に違法商品であることを隠して譲渡し、身代わりに転売させる悪質業者もいます。
転売事業を始めた方を狙う悪徳業者もあるため、気をつけましょう。
違法になる転売事例一覧
ここからは、具体的に違法になる転売事例を一覧でご紹介していきます。
過去には逮捕に至ったケースもあり、懲役や罰金の処罰も定められているので、以下の転売は絶対にやめましょう。
偽物のブランド品・コピー品の転売
ブランド品の偽物やコピー・模倣品の転売は、商標権の侵害、不正競争防止法違反、意詐欺罪など多数の法律に違反する行為です。
10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその両方など、刑罰も大変厳しくなっています。
コピー商品と知らずに転売・出品しても知的財産権の侵害と判断されるので、取り扱う商品は入念に確認しましょう。
「ブランド」と聞くと高級ファッションブランドを思い浮かべるかもしれませんが、おもちゃなどの企業ブランドなど、商標登録している全ての商品が対象です。
ブランドのロゴの無断使用も規制対象となるため注意してください。
さらに、物理的な商品だけでなく、デジタルコンテンツのコピー(海賊版など)も犯罪です。
違法ダウンロードは著作権法で処罰が規定されており、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられます。
チケットの転売
チケットの転売はチケット不正転売禁止法に違反する行為です。
チケット不正転売禁止法(正式名称:「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」)とは、2020年東京オリンピックのチケット不正取引防止を見据えて2019年6月14日に施行された法律です。
つまり、「人気チケットを利益目的で高額転売・不正転売してはならない」といった決まりです。
ただし、急な病気や用事で行けなくなり、定価もしくは割安でチケットを売る行為は「利益目的」とはみなされず、違法とはなりません。
最初から参加する気のないイベントのチケットを購入し、高額で転売する行為は違法と判断されます。
なお、チケット不正転売禁止法の対象となるチケットとして、以下の条件が定められています。
- 興行主の同意なく有償譲渡を禁止する旨が記載されている
- 日時や座席、入場資格者が指定されている
- 座席指定かつ購入者の氏名・連絡先を確認できるものであり、チケットにも記載されている
転売禁止の記載がないチケット、日時や入場資格者がないチケット、無料招待券などは対象外です。
チケット不正転売禁止法に違反すると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が科されるので、十分注意しましょう。
お酒など特別な許可が必要なものの転売
お酒や医薬品、化粧品など、販売に特別な許認可が必要な商品があります。
無許可で転売すると違法になるので注意してください。
販売・取り扱いに許認可が必要な商品
商品 | 概要 |
---|---|
酒類 | 酒税法による規定で通信販売酒類小売業免許などが必要。 違反の場合1年以下の懲役または20万円以下の罰金またはその両方が科せられます。 |
魚・肉類・加工食品 | 食品衛生法による規定で営業許可や製造業許可が必要。 |
化粧品 | 医療品医療機器等法による規定で製造に許認可が必要。 手作り化粧品などに注意。許認可済みで製造された化粧品の販売は可能です。 |
健康食品 | 食品衛生法・医療品医療機器等法の規定で製造に許認可が必要。 |
医療機器 | 医療品医療機器等法により製造・販売共に許認可が必要。 営業所管轄の保健所へ届出を提出してはじめて販売可能になります。 |
製造に許認可が必要な商品の場合、無許可のものを知らずに譲り受けて販売しても違法になります。
取り扱う商品の詳細は必ず確認しましょう。
なお、お酒に関しては、自分で飲むために購入したり、他人から譲り受けて不要になったなど個人の不用品として扱う場合は転売可能です。
継続的に利益目的で販売する場合に許認可が必要になります。
古物商の許可証なしでの中古品の転売
古物商の許可なく中古品を転売する行為は古物営業法に違反します。
古物営業法とは、窃盗品など犯罪被害品の売買を抑制するために制定された法律です。
違反すると3年以下の懲役、または100万円以下の罰金と重い処罰が下されます。
「古物」とは(古物営業法第2条条文より)
- 一度使用された物品
- 使用されない物品で使用のために取引されたもの
- これらの物品に幾分の手入れをしたもの
これらの古物の売買営業を行う場合、都道府県公安委員会の許可(「古物商許可」)が必要、と古物営業法に明記されています。
つまり、許可なく営業すると法律違反です。
この法律のポイントは「営業」とよぶ行為に該当するかという点です。
個人の不用品を売買する程度であれば「営業」ではないので違法ではありません。
明らかに個人の不用品の規模を超えた大量の古物の売買や、継続的に取引を続けていれば「営業」とみなされます。
また、一度人の手に渡ると未使用・未開封の新品でも「中古品」扱いとなります。
新品を転売するなら、古物商許可は不要、と間違えて認識している方も多いので注意してください。
日本において輸入規制のある商品の転売
海外では、販売が許可されている商品でも、日本で輸入規制の対象となる商品は転売不可です。
海外で入手した商品を出品しようとする方は、規定を十分確認してください。
- 麻薬、向精神薬、覚醒剤など
- 指定薬物
- 拳銃
- 爆発物
- 火薬類
- 貨幣・紙幣などの偽造品・模造品
- 児童ポルノ
- 上記の他植物防疫法や家畜伝染病予防法などで規制されるもの
主な輸入規制対象は下記のとおりです。
海外でハーブやアロマオイルなどと称して販売された商品の中に、違法薬物が混入している場合もあります。
故意ではなくても、厳しく罰せられるので注意しましょう。
メルカリで違法にならないための転売の注意点
上記の違法転売事例を踏まえ、メルカリで転売を行う際に注意したいポイントを解説します。
一般的な法律の規定に加え、メルカリで定められたルールにも違反しないよう注意しましょう。
大量の商品をまとめて取引しない
メルカリはユーザー同士で売買取引を行うことが主な目的です。
利益目的の転売手段として利用するとペナルティ対象となり、出品停止やアカウント利用制限を受ける可能性があります。
同じ種類の商品を短期間で大量に販売するなどの行為は控えましょう。
さらに、古物商許可がない場合、利益目的で継続して転売すると法律違反になるので注意が必要です。
メルカリの禁止出品物を扱わない
メルカリでは下記内容を禁止出品物として明記しているため、転売として扱うことは控えましょう。
- 偽ブランド品・権利侵害品
- 医薬品・医療機器
- 薬機法違反(海外化粧品等)に該当する商品
- アダルト・18禁の商品
- 使用済みの制服など・中古下着・児童ポルノ
- 銃刀法違反に該当する商品・武器類
- 現金類・偽造チケット・偽造金券
- 電子クーポンやダウンロードコンテンツなどの電子データ
- 宣伝・探し物・福袋に該当する商品
- 実物の画像がない商品
- その他不適切と判断されるもの
「実物の画像がない商品」の出品が禁止されている理由は、メルカリがあくまで不用品をリサイクル目的で取引するサービスだからです。
画像がない、つまり在庫がない商品を出品する行為は明らかな利益目的とみなされます。
また、実際の取引の面で考えても、在庫がない場合は出荷まで時間がかかるなど購入者に迷惑をかける可能性が高いため、厳しく規制されています。
度を過ぎた高額で転売しない
定価に比べてあきらかに高額で販売すると、利益目的とみなされメルカリ運営からペナルティを受ける可能性が高いです。
さらに、希少性の高い商品を買い占め高額に転売する行為は、迷惑防止条例違反となる場合があります。
迷惑防止条例とは、公衆に著しく迷惑をかける行為を規制する条例です。
都道府県により迷惑防止条例の内容は異なりますが、高額転売は大半の都道府県で規制されています。
転売を行う際は事前に確認しておきましょう。
不誠実な取引をしたり外部サービスへ誘導しない
メルカリでは他のユーザーに迷惑行為を働く出品者を規制しています。
当然のマナーですが、理由なく音信不通になったり、不備のある商品を故意に出品するといった行為は控えましょう。
アカウント利用制限などペナルティにつながります。
また、メルカリでは外部のサービスに誘導・勧誘しての直接取引も禁止されています。
メルカリが代金のやり取りや配送を代行し、出品者と購入者双方が匿名で安心して利用できることが最大のメリットのため、個人情報が流出する可能性のある行為はルール違反です。
悪気なくSNSのIDや連絡先を掲載してしまう方も多いので、注意しましょう。
転売に必要な許可証や資格を取得する
転売を副業や事業として本格的に行うのであれば、転売に必要な資格を取得しておきましょう。
- 古物商許可証
- 化粧品類の許認可
- ブランド鑑定士資格 など
必要な許認可や資格を取得すると、商品に対する知識が身につきます。
偽物ブランドなどを見分けられるようになり、法律違反となる事態を避けることにつながりますよ。
また信頼できる出品者としてほかと差別化できるのもメリットです。
メルカリで違法な転売を見つけたら
最後にメルカリを利用している中で違法な転売を見つけたときの対処法をご紹介します。
自分の出品した商品が違法に転売されたり、購入した商品が違法なものだと困りますよね。
メルカリは違法転売に厳しく対処する方針を示しています。
メルカリ運営事務局へ通報する
メルカリで違法な転売を発見した場合は運営事務局に通報してください。
商品購入前に違法転売を見つけた場合
メルカリ商品ページのコメント右側に「この商品を事務局に報告」ボタンが用意されています。
報告理由がリスト形式で表示されるので、該当する項目を選択して、送信ボタンを押してください。
ただし、通報したからといって、必ずしも商品が削除されるものではありません。
通報をもとに運営事務局が事実関係を確認したうえで対応するので、不審に思った場合は迷わず連絡してくださいね。
違法転売されたと思われる商品が届いた場合
メルカリの取引評価(受取評価)を絶対にしないようにしましょう。
評価をする前に、まずは出品者に返品・キャンセルの申し出をしましょう。
出品者と連絡が取れない、もしくは返品・キャンセルを拒否された場合は、メルカリ運営事務局に報告します。
該当商品のIDと合わせて、お問い合わせフォームから詳細を説明してみましょう。
メルカリでの違反報告への対応
メルカリ運営事務局が事実確認を行った結果、違反転売であることが発覚した場合の対応は以下のとおりです。
- 商品の出品者へメルカリ運営事務局より個別にメッセージで通知。
メルカリのルールに違反している旨を伝え、改善を促します。 - 出品者が改善しない、違反行為を繰り返す場合は運営事務局で強制的に商品を削除します。
- 出品者に改善の傾向が見られない場合はアカウントの利用を制限します。
商品内容によっては、メルカリ運営事務局から通知なく、しぎの商品を削除しても、アカウントが無期限利用制限となることがあります。
無期限のアカウント利用制限となると、解除されることはなく、メルカリでの取引はできません。
もし、身に覚えのない内容で、逆に通報されたりアカウント利用制限となった場合は、メルカリ運営事務局に問い合わせましょう。
知らずにルール違反となっていた場合は、すぐに出品を取りやめ、誠実に対応してみてください。
まとめ
転売そのものは違法ではありません。
しかし、商品の取り扱いを間違えると、法律違反となります。
お酒や食品・医療機器など特別な許認可が必要な商品を扱う場合は関連法規を確認し、事前に準備しておきましょう。
また、メルカリのようなフリマサイトでは、一度に大量の商品を転売したり過度な高額転売は好ましくありません。
メルカリはあくまで個人ユーザーの不用品リサイクルをサポートするのが主な目的だからです。
禁止出品物や取引ルールも細かく設定しており、違反するとアカウント利用制限やペナルティを受けます。
節度や法律を守り、メルカリで安全な取引をしてくださいね。