ライブコマースは中国で発達した販売方法であり、ライブ配信で商品の紹介や販売を行っていきます。
日本でも徐々に市場が拡大しており、うまく取り入れた企業や販売者は売上や認知度のアップに成功しています。
この記事では、ライブコマースの仕組みやメリットなどをまとめました。
ライブコマースで売上アップやECサイトへの集客を考えている人は、参考にしてください。
中国で人気!ライブコマースとは?
ライブコマースは海外で主流になりつつあり、特に中国では爆発的な人気から市場規が急成長しました。
ライブコマースの基本情報や現在の市場規模について、確認していきましょう。
配信ショッピングの「ライブコマース」とは?
ライブコマースとは、配信プラットフォームを使用して、ライブ配信で商品の紹介を行う販売方法です。
2020年頃から徐々に取り入れる企業が増えており、リアルタイムで視聴者とやり取りする点が好評を集めました。
配信アプリやSNSで商品を売り出す新スタイルのショッピング
ライブコマースでは配信アプリやSNSのライブ配信機能を活用して、商品を売り出していきます。
生配信のテレビショッピングに近い形式ですが、ネットのライブ配信で販売するスタイルは新しい販売方法として受け入れられています。
ECサイトや多くのプラットフォームでも利用されている
企業やECサイトによっては、自社でライブ配信環境を用意して、ライブコマースを行えるようにしています。
ライブ配信さえできればライブコマースは成立するため、目的や使用感に合わせてさまざまな配信プラットフォームが利用されています。
実はライブコマースの市場は拡大している!
ライブコマースは中国では日本円にして90兆円以上の市場規模まで拡大しており、今後も主流な販売方法として継続すると予測されています。
一方、ライブコマースという単語自体は普及していない日本でも、市場規模は拡大傾向にあります。
ライブコマース市場が日本でも普及しつつある
日本におけるライブコマースの市場規模は、2023年時点で約3,000億円と推定されています。
配信プラットフォームの少なさから海外ほど爆発的に流行はしていませんが、近年は配信先の増加から普及し始めています。
特にインスタやYouTubeなどのSNSや、動画サイトで気軽にライブ配信できる環境が増えて、企業や販売者もライブコマースを始めやすい環境です。
購買意欲の高い若年層に注目されている
ライブコマースはさまざまな年齢層が視聴していますが、特に相性がよいのは若年層です。
SNSや動画サイトの主な視聴者であり、近年はネット上で複数の情報を比較してから、商品の購入を考える若年層が増えています。
ライブコマースは画像や説明文以上の情報を確認できる販売方法であるため、購買意欲の高い若年層から注目されています。
ライバルや参入者が少ない今がチャンス!
日本国内のライブコマースは市場は拡大していますが、海外に比べると企業や販売者の参入は多くありません。
そのため、今後の市場拡大を見据えてライバルが少ない今のうちから、参入しておくのも1つの手です。
ライブコマースの仕組み

ライブコマースは簡単に行えますが、初心者からするとどのような仕組みでライブ配信や販売を行うかわからない点も多いでしょう。
ライブコマースの仕組みについて、種類別に特徴やメリットを紹介します。
ライブコマースの種類
ライブコマースの種類は、大きく分けると以下の4つの型があります。
- SNS型
- アプリ型
- ECモール型
- SaaS型
上記の4つにはそれぞれメリットとデメリットがあるため、いずれか1つが優れているわけではありません。
ライブコマースのターゲット層や配信に使える費用など、状況によって適する販売方法が変わります。
1.SNS型
SNS型ライブコマースは、SNSのライブ配信機能を利用する販売方法です。
SNSの登録やライブ配信機能は無料で行えるものが多く、初期費用をかけずにライブコマースを始められます。
一方で、ECサイトとの連携が取れないSNSがあるため、SNSの投稿やライブ配信中の宣伝でECサイトへ誘導する必要があります。
ライブコマースで利用される主なSNSは、以下のとおりです。
SNSによって視聴者層に違いが出るため、販売商品に合わせたSNSを配信先に選ぶとより効果的に宣伝できます。
2.アプリ型
アプリ型ライブコマースは、ライブコマースに特化した配信アプリを利用する販売方法です。
基本的なライブ配信機能はSNS型に近いですが、アプリ型ではECサイトと連携してライブ配信中の販売ページへのアクセスや購入が可能です。
アプリによっては一般的な配信プラットフォームとして利用されている場合もあるため、SNS型に劣らない集客が期待できます。
3.ECモール型
ECモール型ライブコマースは、ECサイトに組み込まれているライブ配信機能を利用する販売方法です。
ECサイトに出店や出品している販売者が利用できる場合が多く、ECサイトへの誘導や購入がスムーズに行えます。
一方で、ECサイトの出店準備や販売者としての審査が必要になるなど、サイト利用に関して準備が必要です。
4.SaaS型
SaaS型ライブコマースは、ライブ配信のプラットフォームや配信ツールを販売会社から購入して自社ECサイトやアプリに組み込む販売方法です。
ライブ配信機能がないECサイトでも、実質的にECモール型と同じような形式で販売できます。
既存のECモール型を利用するよりもデザイン面や配信時間帯などを自由に設定できますが、費用はほかの方法よりもかかります。
ライブショッピングアプリ系ライブコマースの流れ
SNSやライブコマース専用アプリは、アプリで簡単にライブ配信を行える点が共通しています。
ライブショッピングアプリ系として、プラットフォームの例やメリットを確認していきましょう。
ライブショッピングアプリ系ライブコマースの流れ
ライブショッピングアプリでライブコマースを行う主な流れは、以下のとおりです。
- アプリのダウンロードや登録を行う
- ECサイトと連携できる場合は、商品を出品して連携する
- ライブ配信を行う
基本的にはアプリをダウンロードした場合、ライブ配信自体はすぐに行えます。
プラットフォーム例
ライブショッピングアプリ系のプラットフォームの例は、以下のとおりです。
- ミコライブ:指定のECサイトと連携できる
- Peace you LIVE:専用の販売サイトと連携してライブコマース配信ができる
アプリによっては独自の販売サイトも用意していますが、その場合はほかの販売サイトと連携できません。
ライブショッピングアプリ系ライブコマースの目的
ライブショッピングアプリ系ライブコマースを利用する目的としては、以下の点があげられます。
- 視聴者もアプリやSNSから簡単に視聴できるため、敷居が低い
- 配信先で活躍するインフルエンサーを起用しやすい
- ライブ配信に付随して、SNSなどの登録者増加も見込める
アプリの手軽さは視聴者側にもメリットがあり、SNSとの相性もよいプラットフォームです。
メリット
ライブショッピングアプリ系ライブコマースを利用する主なメリットは、以下のとおりです。
次のEC系ライブコマースと比較した場合、配信や費用面のハードルが低く、初心者でも比較的簡単に始められます。
EC系ライブコマースの流れ
SaaS型は配信ツールやシステム導入後、ECモール型とほとんど同じ感覚で使えるため、2つには共通する点がいくつかあります。
EC系ライブコマースとして、プラットフォームの例やメリットを確認していきましょう。
EC系ライブコマースの流れ
ECモール型のライブ配信機能でライブコマースを行う主な流れは、以下のとおりです。
- 対象のECサイトに出店申請する
- 審査に通った場合は、自身の販売ページを開設する準備を進める
- 販売ページの完成後、商品の出品を行う
- ライブ配信機能でライブコマースを行う
基本的にECサイトへの出店が必須であり、審査期間のある関係上、実際にライブ配信を行えるまで1ヶ月前後かかる場合があります。
一方、SaaS型でライブ配信機能を導入する際の主な流れは、以下のとおりです。
- 販売会社から配信ツールやシステムを購入する
- 機能面や配信レイアウトなどを調整して、自社のECサイトに組み込む
- ライブ配信を行う
ライブ配信機能を組み込めた後はすぐに配信できますが、調整段階で時間がかかる可能性があります。
プラットフォーム例
EC系ライブコマースのプラットフォームの例は、以下のとおりです。
- 楽天ショッピングチャンネル:楽天市場と連動する
- au PAYマーケット ライブTV:au PAYマーケットと連動する
どちらも対象のECサイトと連携して、ライブ配信中に販売ページのアクセスや購入が行えます。
上記以外の大手ショッピングサイトでライブコマースを活用したい場合は、SNS型やアプリ型など、ほかの形式を利用しましょう。
一方、ライブコマースで利用できる配信ツールやシステムを販売する会社の例は、以下のとおりです。
月額制の商品を取り扱う販売会社が多く、利用中はツールやシステムに関するサポートも行ってくれます。
EC系ライブコマースの目的
EC系ライブコマースを利用する目的としては、以下の点があげられます。
- ECサイトの販売ページ全体の閲覧数の増加が期待できる
- 公式のライブ配信で安心感を提供できる
- ECサイトに付随した割引やキャンペーンを実行できる
魅力的なライブ配信ができた場合は、ECサイト内で紹介した商品以外も閲覧や購入につながる可能性があります。
メリット
EC系ライブコマースを利用する主なメリットは、以下のとおりです。
準備や費用がかかる分、ライブショッピングアプリ系ライブコマースよりも整った環境でライブコマースを始められます。
ライブコマースをECサイトに上手く活用する方法

ライブコマースは単にライブ配信するだけでなく、商品の見せ方やコメントのやり取りで工夫する必要があります。
ECサイトにライブコマースを導入する際の上手な活用方法について、確認していきましょう。
ライブコマースの目的を明確にする
ライブコマースでは目的を明確にしたほうが、配信までの準備や配信中の立ち回りについて具体的に考えられます。
ライブコマースにおける目的設定の例は、以下のとおりです。
目的 | 達成に必要な条件 |
---|---|
商品の販売数・売上を増やしたい | 魅力的な商品紹介と購入につなげるためのある程度の視聴者が必要 |
販売企業や商品を知ってもらいたい | ターゲット層に合う配信プラットフォームや配信内容が必要 |
配信サイトやSNSに登録してもらいたい | 次回以降の視聴につながるコンテンツが必要 |

目的の達成に必要な条件を考えた後は、配信プラットフォームや出演者の選定、配信内容などを考えていきましょう。
紹介するもののよさを最大限に伝えるための分析・調査を行おう
ライブコマースでは商品の実物や実演によって、画像や説明文だけではわかりにくい魅力を伝えられるのが大きな強みです。
しかし、単にライブ配信上で視聴者に見せていれば、勝手に魅力が伝わるわけではありません。
出演者自身も商品のよさを最大限に伝えるために、事前に紹介する商品の分析や調査が必要です。
商品の分析や調査の例としては、以下の内容が考えられます。
- 類似商品と明確に違う点を探す
- 商品から想定される視聴者からの質問とその回答を考えておく
- 商品の特徴や強みをアピールするために、ライブ配信中にできる範囲内の実演方法を探す
ライブ配信中は商品の特徴や強み、疑問点について視聴者から必ず質問が来ます。

対応できないと販売者や商品に対する信頼度が下がるため、コメントを想定して回答や実演方法を考えておきましょう。
ECサイトへの導線をしっかり引こう
ライブコマースの中にはSNS型のように、配信プラットフォームにECサイトとの連携機能がない場合があります。
魅力的なライブ配信を行っても、ECサイトへのアクセス方法がわからない場合、紹介したECサイトでの購買意欲が薄れてしまいます。
そのため、ライブ配信する際は、以下のようにECサイトへの導線をしっかり引いておきましょう。
- 配信中にECサイトの紹介を入れる
- ECサイトや商品が表示される正しい検索方法を伝える
- 動画や概要欄にECサイトへのリンクをはる
販売者自身でライブ配信する場合でも、商品紹介やコメント対応が忙しくて、ECサイトの紹介を忘れる可能性は十分あります。

配信前に大まかな台本を書いて、ECサイトの紹介や検索方法を入れる場面を決めておくと、紹介忘れを防止できます。
視聴者を分析しよう
ライブコマースを継続的に行う場合、ライブ配信後の視聴者分析が重要です。
視聴者分析をしないままライブ配信を続けてしまうと、改善点が見つからず、ライブコマースを活かしきれない可能性があります。
具体的には、以下の内容をコメント欄やアクセス履歴などから分析していきましょう。
- 想定したターゲット層が視聴やコメントをしているか
- ライブ配信中の実演やコメント対応で盛り上がった部分はとこか
- どの媒体を介してライブ配信まで辿り着いているか
ターゲット層が異なっていたり、視聴数が伸びなかったりした場合は、配信プラットフォームや配信内容を変えていく必要があります。

成功した部分は次回以降の告知や配信に取り入れて、複数回の配信と分析でよりよい配信内容を作っていけます。
ライブコマースならではの販売・集客をしよう!
ライブ配信やSNSなどで告知をする際は、ライブコマースならではの販売や集客を行うと、より効果的に活用できます。
具体的な販売や集客の例としては、以下のとおりです。
- 視聴者の質問や要望に対して、なるべく対応する
- コメントしやすいように、視聴者への投げかけや反応を確認する時間を作る
- 視聴した特典として、割引クーポンの配布や視聴者プレゼントを用意する
- SNSへの投稿やチャンネル登録を絡めてキャンペーンを行う
リアルタイムでやり取りする際も、視聴者のコメントを待つばかりではなく、出演者側から積極的に投げかけると臨場感を演出できます。
ライブ配信内にクーポンコードやプレゼントを用意すると、視聴に対するメリットが生じて次回以降の視聴意欲にもつながります。

割引やプレゼントを行う場合は、SNSなどで事前に告知しておくと、より集客が狙えるため、ライブ配信以外での戦線も積極的に行いましょう。
まとめ
ライブコマースの仕組みやメリットをまとめると、以下のとおりです。
- 大きく分けるとSNS型・アプリ型・ECモール型・SaaS型の4種類がある
- SNS型やアプリ型はアプリのダウンロードから比較的簡単にライブ配信できる
- ECモール型やSaaS型はECサイトとの連携を活かせる
- ライブコマースを導入する際は目的を明確化して商品や視聴者の分析を行う
- ライブコマースならではの販売や集客をすると効果を最大限に活用できる
配信プラットフォームには選択肢があり、目的に合わせて配信先を設定できると、効果的に販売や集客が行えます。

販売したい商品や継続する際の利便性を考えて、自分に合う配信先を選んでください。