江戸時代の通貨として、現代でも時代劇などの作品で登場する小判。
歴史的に価値があるのはもちろんのこと、古銭や骨董品が好きなコレクターの間で取引されるコレクションアイテムにもなっています。
そんな中で、家で見つけた小判にどれくらいの価値があるのか、古い通貨でも売買できるだけの価値があるのか、気になる人もいると思います。
小判について現在価値があるとされている種類や店舗などが価値を決める際のポイントなどをまとめました。
小判とは

小判(こばん)とは、江戸時代を中心に鋳造・流通していた金貨のことです。
現代では小判形と言われている楕円形の通貨であり、金貨と呼ばれていますが純金ではなく、金銀を合わせた合金で作られています。
基本的には上記の形状と含有量ですが、江戸時代が200年以上続いたことから、小判に複数の種類があり、全体の大きさや金の含有量など細かい部分で違いがあります。
そのため、同じ小判と呼ばれる金貨でも全く価値が変わっており、取引される時の値段もそれぞれ変わっているのです。
価値のある小判ランキング
ここでは、小判に分類される金貨の中でも価値があるとされている種類とその理由、販売価格相場を紹介します。
1位:元禄小判
元禄小判(げんろくこばん)とは、1695年から1718年まで使用された小判です。
慶長小判に次ぐ小判として鋳造されており、長期間使用したことで破損や摩耗が激しくなった慶長小判2枚に銀を混ぜて鋳造されていました。
そのため、元禄小判の方が全体の金の含有量が少なくなっていますが、2枚で3枚分になったことから、目的であった通貨不足の解消には成功しています。
一方で、急激な通貨数の増加からインフレを引き起こした小判にもなっており、歴史的に様々な見解がある小判です。
価格相場では、より年代が古い慶長小判よりも価値が高くなる場合があり、美品であれば300万円以上で売り出されることもあります。
小判の種類 | 価格相場 |
元禄小判 | 1,500,000円~3,465,000円 |
2位:慶長小判
慶長小判(けいちょうこばん)とは、1601年に鋳造されて、1698年・1699年に使用停止が提示された小判です。
関ヶ原の戦いに徳川家康が勝利し、江戸幕府が成立した最初に鋳造された小判であり、同年に発行された大判や一部金などの他の通貨と合わせて徳川の時代の象徴とされています。
最初の鋳造から使用停止が出されるまで90年以上あり、その多くが初期に大量鋳造した小判を修復して使い続けていました。
このように破損や摩耗した小判に金を足すことを「本直し」といわれており、現存する小判の中でも「本」の刻印が残っている小判は本直しされたものです。
使用停止が2回出されているのは、1回目の停止が出された際にそのまま保存する者が多く、2回目の停止でも実際の流通は止まりませんでした。
また、享保小判が現行の通貨だった時に同等の小判として流通し、今度は価値の割増を停止する知らせが1736年に出されます。
それでも金の含有量多さなどを理由に使用は停止されず、幕末まで使用されました。
価格相場では、長期間使用された小判として保存状態の差が激しく出ていますが、低い値段でも80万円台で取引されるなど、高い価値があると見られています。
小判の種類 | 価格相場 |
慶長小判 | 880,000円~2,598,000円 |
3位:宝永小判
宝永小判(ほうえいこばん)とは、1710年から1738年まで使用された小判です。
元禄小判に次ぐ小判で、通貨の増加と小判の補修を目的にしていた元禄小判とは異なり、こちらは金貨としての価値を取り戻す目的で鋳造されました。
しかし、慢性的な金不足や自然災害などから慶長小判と同じ金を集めるのは難しかったため、小判自体を小さくして、1枚あたりの価値を高めようとします。
ただ、金の含有量で見ると元禄小判よりも下がっているため、目的通りの小判としては受け入れられませんでした。
それでも価格相場では、古い年代の小判として希少価値が高い通貨として高い値段になっています。
小判の種類 | 価格相場 |
宝永小判 | 1,430,000円~1,970,000円 |
4位:天保小判

天保小判(てんぽうこばん)とは、1873年から1874年まで使用された小判です。
江戸時代における後期の小判で、技術進歩によって、少ない材料からローラーで引き延ばして、上質な小判を鋳造できるようになっていました。
しかし、直近の文政小判の時期から名目貨幣の流通が増加して、天保小判の時期には主流な通貨です。
価格相場では、比較的新しい小判であることから他の小判よりも低めです。
一方で、献上用の小判として鋳造された「大吉」の刻印が付いたものは、希少価値が高く見られています。
小判の種類 | 価格相場 |
天保小判 | 176,000円~1,870,000円 |
5位:安政小判
安政小判(あんせいこばん)とは、1895年6月1日に鋳造されて、同年8月11日の鋳造停止、1874年に使用停止された小判です。
米国の黒船の来航から海外との交易を始めた江戸幕府ですが、その交易の中で国内の金が海外に流通してしまうことを危惧していました。
その対策として、直近の天保小判よりも金の含有量を下げたこの小判を現行の通貨にしようと考えます。
しかし、この政策は米国から抗議を受けてしまい、3ヶ月という期間で鋳造を停止させられてしまいました。
価格相場では、上記の時代背景から鋳造数・流通数共に少ない小判として希少価値が高くなっています。
小判の種類 | 価格相場 |
安政小判 | 880,000円~1,650,000円 |
6位:享保小判
享保小判(きょうほこばん)とは1714年から1827年まで使用された小判です。
金貨としての価値は以前として慶長小判が最も良いとされる中で、江戸幕府は新しい小判や別の通貨で金の価値を高めようとしましたが、状況は変わりませんでした。
享保小判はそんな慶長小判に並ぶ価値の小判とするために鋳造された小判ですが、含有量が減った元禄小判や宝永小判を原料として使用したため、通貨数が減少させてしまいます。
それによって、発行後にはデフレを引き起こしてしまう結果になり、目的を達成する小判としても不十分でした。
価格相場では、希少価値のある通貨として扱われており、100万円台での販売も行われています。
小判の種類 | 価格相場 |
享保小判 | 650,000円~1.300,000円 |
7位:元文小判
元文小判(げんぶんこばん)とは、1736年から1827年まで使用された小判です。
小判が鋳造される前は、武士や農民が財政難に陥っていた時期で、江戸幕府は様々な政策を講じていましたが、思うような成果は得られませんでした。
そこで、幕府は金の含有量を下げた通貨にして、通貨量を増やす政策を実行することになり、旧通貨にあたる享保小判と慶長小判と交換してこの小判が鋳造されました。
結果として通貨の数は増大して一時的にインフレが起こりますが、少し経つと相場は安定して、80年以上使用されることになりました。
価格相場では、値段が保存状態に大きく左右されており、高ければ100万円台で売り出されています。
小判の種類 | 価格相場 |
元文小判 | 230,000円~1,150,000円 |
8位:文政小判
文政小判(ぶんせいこばん)とは、1819年から1842年まで使用された小判です。
元文小判に次ぐ小判であり、当時の幕府が財政悪化の状態で、元文小判が長期間の使用で損傷が激しくなったことから、新たに鋳造されました。
金の含有量は元文小判と同じですが、金の含有量は下がっており、江戸時代に流通した小判の中でも最も低い含有量になっています。
このことから損傷した元文小判と無料で交換できたものの、実際に引換はあまり進んでおらず、文政小判の鋳造後も暫くは元文小判が流通していました。
さらに、発行されてから後半の同じ時期からは、名目貨幣の流通が増加し始めており、小判は徐々に使用されなくなっていきます。
価格相場では、比較的新しい方の小判であるため、他よりも少しだけ値段が低くなることがあります。
小判の種類 | 価格相場 |
文政小判 | 217,800円~550,000円 |
9位:万延小判
万延小判(まんえんこばん)とは、1860年から1874年まで使用された小判です。
江戸時代最後に鋳造された小判で、新小判(しんこばん)や小判としての大きさから雛小判(ひなこばん)という別称があります。
海外との交易が始まって以降、国内小判の流出は継続しており、対策として鋳造した安政小判や二朱銀は、海外の反対から鋳造停止に追い込まれました。
そんな中、金の価値を下げないようにしつつ、重量を3割以下に減らした万延小判が鋳造されますが、旧小判を所持していた者達が両替を行ったことでインフレを発生させます。
そこから金貨等の引換は大きな混乱を呼び、結果的に江戸幕府が財政を制御できないほど力が衰えたことを証明する状態になりました。
販売価格相場では、年代的に新しい小判であるため、他よりもやや値段が下がる場合もありますが、30万円前後で取引され、美品であればさらに高くなる可能性があります。
小判の種類 | 価格相場 |
万延小判 | 297,000円~308,000円 |
小判の価値が決まるポイントは?
小判の価値が決まるポイントとしては、流通数と鋳造年度の2つがあります。
流通年数
流通数については、鋳造された枚数が少ない小判ほど価値が高くなりますが、それと共に現存する枚数がどれだけあるかも価値を決定する要素です。
小判のように400年以上も前の金貨になると、実際の鋳造枚数分が保存されているわけではなく、発見された中でも状態が良い物は限られてきます。
その中からコレクションアイテムとして市場で取引される枚数は、さらに少なくなるので、当時は大量に鋳造された小判でも、現存する枚数によって希少価値が高くなるのです。
醸造年度
鋳造年度については、基本は古い年代の物ほど価値が高くなりますが、小判が鋳造された歴史的背景も価値に関わる要素になります。
そのため、後に鋳造された小判でも古い時代に並ぶ価値が付けられる場合があるので、古ければ絶対に良いというわけでないのです。
金の含有量は意外と小判の価値に反映されにくい
一方、当時の小判は金の含有量によって小判の価値が上下していましたが、現代の価格相場だと純金ではないので値段を大きく左右する要素ではありません。
金の含有量が流通数や鋳造年度に影響する可能性はありますが、含有量の差では価値がそれほど変わらないことは覚えておきましょう。
小判の価値を上げるコツは?

小判の価値は種類ごとの流通数や鋳造年度によって決まってきますが、現存する小判の価値を上げるコツもありますので、見ていきましょう。
鑑定書などの証拠品はしっかり保管しておく
現存する小判は、物によって保存用のケースや鑑定書が付いている場合がありますが、小判を売買する際はそのような付属品が小判の価値を底上げしてくれる可能性があります。
小判を始めとした通貨は非常に高い値段で取引されることから、偽造品も出回っており、正式な小判であると判断できるケースや鑑定書は重要な判断材料になるのです。
小判の保存方法に気を付ける
小判の価値を上げるコツは保存の仕方に気を付けることです。
実は、小判のような骨董品では、年代の経過によって付着した汚れがあった方が価値を見出される場合があります。
そのため、家で見つけたり、購入したりした小判は、なるべくそのままの状態で保存しておきましょう。
小判についた土やほこり、錆はついたままにしておく
先ほどの保管方法同様、小判に土埃や錆などの汚れが付いている場合がありますが、この汚れについては自分で落としてはいけません。
綺麗な状態の方が良いと思うかもしれませんが、汚れを落とす際に傷が付いたり、本来の模様が落ちてしまったりすると、価値を大きく下げてしまうのです。
基本的には、そのままの状態で保存して、仮に汚れを落としたい場合は専門業者に頼むようにしましょう。
まとめ

小判は、鋳造された年代によって大きさや金の含有量が異なっており、保存状態と共に小判の種類の価値が取引価格に大きな影響を与えています。
その中でも、古い年代に鋳造された小判や鋳造数・現存する枚数が少ない小判が希少価値が高い小判として見られており、価格も高くなる傾向があります。
家で小判を発見した際は、そのままの状態で店舗へ売り出すか、さらなる価値の上昇を見込んで、付属品付きでの保存を検討してみてください。