ふるさと納税は、徐々に知名度が高まり利用者が増えています。その影響から、ふるさと納税サイトも年々増えてきています。
しかし、「ふるさと納税をしたら確定申告が必要なの?」「会社員がふるさと納税をしたら、年末調整がめんどくさいのでは?」といったお悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか?
この記事では、ふるさと納税の確定申告に関する悩みを解決するために
- ふるさと納税後の確定申告のやり方
- 「ワンストップ特例制度」の利用方法
- 会社員がふるさと納税をおこなった場合の注意点
について解説します。

会社員の方はワンストップ特例制度を利用できる可能性が高いです。
ふるさと納税後の確定申告のやり方
ふるさと納税は、自分で自由に選択した自治体に寄付することで、所得税の還付や翌年の住民税が控除される制度です。
しかし、税金の控除を受けるためには正しい方法で控除申請をする必要があります。
この控除申請には「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の2つの方法がありますが、まずは確定申告のやり方を見ていきましょう。
確定申告のやり方まとめ
- 所得控除の情報を入力する
- 寄付金額がわかる証明書を添付
- e-Taxで提出して完了
- 「寄附金控除に関する証明書」で確定申告が楽になる
所得控除の情報を入力する
確定申告をおこなう際、まずはじめに所得控除を入力します。
確定申告は「国税庁 確定申告等作成コーナー」からおこないます。
詳しい入力方法は画像を参考にしながら確認していきましょう。
- 「国税庁 確定申告等作成コーナー」にアクセスし、「申告書等の作成」へ進む
- 「所得控除の入力」画面まで進むと、ふるさと納税の控除申請ができるようになる
- 下の写真のような画面に遷移したら、「寄附金控除」の右側にある「入力する」をクリックする


下の写真のような画面に進みましたら、「入力する」をクリックします。
このとき、自治体から送付された証明書がデータの場合は、「データで交付された証明書等の入力」を選び、該当のデータファイルを選択して入力をおこなってください。


- 「寄附金の種類」は「都道府県、市区町村に対する寄附金(ふるさと納税など)」を選択する
- 複数の寄付先や、同じ寄付先で別件の寄付がある場合は「別の寄附先を入力する」、「同じ寄附先をもう1件入力する」をクリックする
- 入力が完了したら、「入力内容の確認」をクリックする


- 内容を確認して、間違いが無ければ「次へ進む」をクリックする
- 追加で寄付金を入力する場合は「別の寄附金を入力する」をクリックする


入力された金額を基に計算した寄付金控除額が表示されるので、金額に間違いがなければ「OK」をクリックします。


- 合計寄付金額から自己負担額の2,000円を差し引いた金額が表示されていることを確認する
- 間違いがなければ入力完了


寄付金額がわかる証明書を添付
所得控除の入力が終わったら、「寄附金受領証明書」を添付します。
「寄附金受領証明書」とは、ふるさと納税の寄付をしたことを自治体が証明する書類で、普段の買い物でいうところの領収書と考えることができます。
寄附金受領証明書は各自治体から送付されます。
そのため、複数の自治体に寄付した場合はそれぞれの自治体から送られてきているはずです。
全自治体分の証明書があることを確認しましょう。
また、寄附金受領証明書は基本的には書面で送られてくるので、確定申告をオンラインでおこなう場合は、電子版に変換する必要があります。
コピー機などでスキャンをして電子化しましょう。
e-Taxで提出して完了
最後にe-Taxで上記の「所得税及び復興特別所得税の確定申告書」と「寄附金受領証明書」の2つを提出すれば確定申告は完了です。
確定申告書を印刷して税務署へ持参する、もしくは郵送する方法もありますが、スマホやパソコンを使って自宅からでも提出できるe-Taxがおすすめです。
ちなみに、確定申告は2月16日から3月15日までなので、期間内に忘れずにおこないましょう。



ふるさと納税の期限にも注意しましょう。
「寄付金控除に関する証明書」で確定申告が楽になる
複数の自治体へ寄付した方は、「寄附金控除に関する証明書」で確定申告に必要な書類が少なくなります。
本来であれば寄附した自治体ごとに「A寄附金受領証明書」を提出する必要があります。
「A寄附金受領証明書」を用いて確定申告をおこなう場合には、寄付先の自治体ごとに控除申請をする必要があり、書類の管理や申請作業が非常に面倒くさくなってしまいます。
一方、「B寄附金控除に関する証明書」があれば年間の寄付金額を証明する書類が1枚で済みます。
つまり、複数の自治体にふるさと納税をおこなった方でも、確定申告時に必要な書類は「B寄附金控除に関する証明書」1枚で良いということです!
詳しくは国税庁のサイトで確認できます。
また、この書類が発行できるふるさと納税ポータルサイトは決まっていますので、確認しましょう。
ふるなび、さとふる、楽天ふるさと納税、ふるさとチョイス、ふるさとパレット、ふるさとプレミアム、ふるさとぷらす、セゾンのふるさと納税、ANAのふるさと納税、ふるさと本舗、三越伊勢丹ふるさと納税、JALふるさと納税、au PAYふるさと納税、ふるラボ、ふるさと納税ニッポン!、G-Callふるさと納税



返礼品目当てに、複数の自治体へふるさと納税する方もいるかと思います。自治体ごとに証明書を準備するのも保管するのも大変なので、「寄附金控除に関する証明書」で楽に確定申告をしましょう。
確定申告不要!ワンストップ特例制度の特徴とやり方
続いて、ワンストップ特例制度について解説していきます。
こちらの制度は確定申告が不要で、より簡単に税金控除の申請ができます。
この便利な制度を利用する前に、特徴や申請条件、やり方を確認していきましょう。
ワンストップ特例制度の特徴とやり方
- 確定申告なしで寄付金控除を受けられる制度
- ワンストップ特例の申請条件
- ワンストップ特例制度のやり方
確定申告なしで寄付金控除を受けられる制度
本来であれば、1年間の所得やふるさと納税の寄付金額を証明するために確定申告が必要です。
しかし、「ワンストップ特例制度」を利用すれば、手続きがややこしい確定申告をせずに寄付金控除を受けられます。
ワンストップ特例制度の申請方法は「ワンストップ特例申請書」に必要事項を記入して、寄付した自治体に送るだけ。申請書は寄付のたびに自治体から送られてくるので、その都度対応すれば忘れることも少ないでしょう。



会社員の方なら、ワンストップ特例制度を活用した方が申請は簡単ですよ。難しい税金や控除のことを理解しなくても申請が完了します。
ワンストップ特例の申請条件
簡単で便利なワンストップ特例制度ですが、以下の2つの申請条件があります。
- もともと確定申告をする必要のない給与所得者等であること
- 1年間の寄付先が5自治体以内であること
申請条件を満たさない場合には利用できませんので注意してください。
利用する前に、あなたが当てはまっているかどうか必ず確認しましょう。



一般的な企業で勤めているサラリーマンの方は、ほとんどがワンストップ特例制度の対象です。
1. もともと確定申告をする必要のない給与所得者等であること
簡単にいえば、ふるさと納税以外に確定申告をおこなう必要がない方です。
具体的には以下のような方は確定申告が必要です。
- 年収が2,000万円を超えている方
- 医療費控除等で確定申告が必要な方
会社に勤めている一般的な方であれば、気にする必要がありません。
2. 1年間の寄付先が5自治体以内であること
ワンストップ特例制度を利用できるのは、ふるさと納税の寄付先が5自治体以下の場合となっています。
同じ自治体であれば複数回ふるさと納税しても自治体は1つとカウントされますので、6回以上ふるさと納税をおこなったとしても、5自治体以内であればワンストップ特例制度を活用できます。
ただし、同じ自治体に複数回寄附した場合でも、その都度ワンストップ特例制度の申請をする必要があるので注意してください。
多くの自治体に寄付したい方は確定申告で、寄付したい自治体がそれほど多くない方はワンストップ特例制度で控除申請をおこなう、というように使い分けするのがおすすめです。



年収400万円独身の方の寄付金限度額は約3万円です。
返礼品の相場が1万円〜2万円程度のものが多いので、5自治体以内の条件はあまり気にしなくてもいいかもしれませんね。
ワンストップ特例制度のやり方
確定申告は入力内容が多かったり、必要な書類の種類が多かったりと、とにかく手続きがややこしいです。
しかし、「ワンストップ特例制度」は記入事項が少なく、準備する書類も少ないため、簡単に控除申請をおこなうことができます。
- 「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を準備する
- 必要な書類を準備する
- 提出期限までに各自治体へ提出する
そんなワンストップ特例制度のやり方について、一緒に確認していきましょう。



ワンストップ特例制度を使えば、簡単に寄附金控除が申請できます。残業が多く忙しい会社員にもぴったりです!
1. 「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を準備する
まずは手元に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」があるか確認しましょう。
以下の3つの方法で入手できますので、いずれか1通を寄付先の自治体へ送付します。
- 寄付者の必要情報を転記した申請書をマイページからダウンロード
- 寄付時に送付を申し込む
- ふるさと納税ポータルサイトで申請書をダウンロード
申請書の準備ができたら、下の記入例を参考に必要事項を記入していきましょう。
- 提出日
- 住所、氏名、電話番号、個人番号(マイナンバー)
- 寄付をした年月日と金額
- ワンストップ特例制度を利用する資格があるかどうかの確認項目へのチェック



ワンストップ特例申請の書き方がわからない方はこちらの記事で、書き方の見本を確認できます。
2. 必要書類を準備する
申請書の準備と記入が終わったら、マイナンバーカード、もしくは通知カードのコピーを準備しましょう。
マイナンバーカードであれば、表裏のコピーを準備するだけでOKです。
通知カードの場合は、免許証など身分証のコピーを合わせて準備しましょう。
マイナンバーカードも通知カードもない場合は、「個人番号が記載された住民票の写し」と「身分証のコピー」の両方を準備してください。
項目 | マイナンバーを持っている人 | 「通知カード」を持っている人 | どちらもない人 |
---|---|---|---|
個人番号の書類 | 裏面コピー | マイナンバーカードの通知カードのコピー | 個人番号が記載された住民票の写し |
本人確認の書類 | マイナンバーカードの表面コピー | ・運転免許証 ・運転経歴証明書 ・パスポート ・身体障害者手帳 ・精神障害者保健福祉手帳 ・療育手帳 ・在留カード ・特別永住者証明書 | 下記いずれかの身分証コピー「通知カード」を持っている人と同じ |
3. 提出期限までに各自治体へ提出する
申請書と必要書類の準備が終わったら、提出期限までに各自治体へ郵送します。
提出期限は、寄付をした翌年の1月10日必着となっています。
記入漏れや必要書類の添付漏れ、書類不備があると申請を受け付けてもらえないので、申請期限がいつまでなのかを事前に把握し、できるだけ早めに記入・送付をしましょう。
会社員がふるさと納税した場合の注意点
「会社員がふるさと納税する場合、年末調整や確定申告はどうなるの?」と疑問に思う方も多いかと思います。
そこで、会社員がふるさと納税する際の注意点について解説していきたいと思います。
「ふるさと納税に興味はあるけど迷っている」会社員の方は、ぜひ参考にしてください。
会社員がふるさと納税する時の注意点
- ふるさと納税の控除は年末調整とは別物
- 寄付した自治体が5つ以上の場合は確定申告が必要
- 副業は住民税の金額で会社にバレる可能性がある
- ふるさと納税したことは会社に言わなくてもよい
ふるさと納税の控除は年末調整とは別物
ふるさと納税の控除は年末調整ではできないので、会社へ書類を提出する必要はありません。
なぜなら、ふるさと納税を含む寄付金や医療費は、12月31日が終わらないと1年間の総額を確定できないからです。
そのため、ふるさと納税の控除を受けるためには、確定申告をするかワンストップ特例制度を利用するか、いずれかの手続きをしっかり完了させる必要があります。
寄付した自治体が5つ以上の場合確定申告が必要
ふるさと納税で寄付をした自治体が5つ以上の場合には、確定申告が必要となります。
というのも、ワンストップ特例制度を利用するには以下の要件を満たす必要があるからです。
- 確定申告が不要な給与所得者であること
- ふるさと納税の自治体数が5団体以内であること
- ふるさと納税先の自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出すること
ふるさと納税で5つ以上の自治体へ寄付した場合には、2の要件から外れてしまうので、ワンストップ特例制度ではなく、確定申告で控除の申請をしましょう。
副業は住民税の金額で会社にばれる可能性がある
「ふるさと納税をすれば住民税が控除されるから、副業していても会社にバレないのでは?」と思う方がいるかもしれません。
しかし、ふるさと納税で控除していても通知書からバレてしまう可能性もあるので、安心してはいけません。
副業をすると、その分収入が増えるので住民税が高くなります。
会社員の場合、毎月の給料から住民税が天引きされているので、その金額が変わることで会社以外の収入があるとバレるというわけです。
もちろん、ふるさと納税をすれば住民税が減るので、それも会社側から分かります。
そのため、副業で増える分と、ふるさと納税で減る分との計算があり複雑ですが、計算しようと思えば副業していることがバレてしまいますので、注意が必要です。
また、ふるさと納税をお得に利用しようとするほど、副業がバレる可能性も高くなりますので、ふるさと納税のメリットと、副業がバレるリスクを同時に考えましょう。
ふるさと納税をしたことは会社に言う必要はない
ふるさと納税で受け取る「寄附金受領証明書」は、勤務先への提出が不要です。
生命保険料控除など年末調整時に提出する書類とは異なり、ふるさと納税による寄付金控除申請書は、寄付先の自治体へ返送することで手続きが完了します。
そのため、ふるさと納税をしたこと自体も、勤務先に報告する必要がありません。
つまり、会社員がふるさと納税をした場合、年末調整で代用できる手続きはないということです。
まとめ
ふるさと納税による税金の控除を受けるためには、確定申告を行うか、ワンストップ特例制度を利用することが必要です。
ワンストップ特例制度には、利用するための条件が設定されていますので、自分はどちらで控除申請を行えばよいか把握しておくことが大切です。
また、控除申請の期限も設定されており、期限を過ぎてしまうと税金の控除を受けられなくなってしまうので、必要書類の記入・送付はできるだけ早く行おこないましょう。
ふるさと納税の仕組みを理解すれば自治体からの返礼品をもらえて、税金も控除できる素晴らしい制度ですので、ぜひ活用してみてください。
2022年12月3日 17:16